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ガルパイベスト「ブライア・ローズ~今日に捧ぐ夜想曲~」感想

こんにちは。Meziroです。
ほぼ一年ぶりの更新ですね。やりたいことがたくさんあって大変です。

今回の記事も、いつものガルパイベストの感想です。時期的にはちょっと前になるのですが、11/8~11/17に開催されたイベント「ブライア・ローズ~今日に捧ぐ夜想曲~」の感想になります。
今回のストーリーは、例に漏れずRoseliaメインかつ白金燐子メインのストーリーですが、どちらかというとRoseliaに主軸を置いたストーリーであり、今まで感想記事を投稿した際のストーリーとは少々毛色が異なります。

では、今回のストーリーで燐子はどんな影響をRoseliaに及ぼしたのか、さっそく見ていきましょう。

あらすじ

 無事プロデビューを果たし、その勢いのまま全国ツアーを開催することとなったRoselia。初日の東京公演は大成功を収め、その熱を感じながら大阪へ乗り出す。
 また、Roseliaのブログにも各地のファンからの多くのコメントが寄せられており、それに触れる中で、燐子は『どんな場所でも自分たちの音楽をお客さんに届けよう』と次のライブに向けて意気込むのであった。

 しかし、いざ迎えた大阪公演のライブ本番では、東京公演のような熱や盛り上がりを感じることはできなかった。
 決して悪い演奏ではなかった。しかし、何かが違った。そんなライブの出来に納得のいかないRoseliaのメンバーたち。
 結局、その日の夜に反省会をすることとなった。

 宿泊先のホテルの一室で反省会を始めるRoselia。そこで友希那は今回のライブをこう振り返る。

 『初日のライブを再現しようとしていた』。つまり、初日のライブの成功に固執しすぎたがゆえに、無意識のうちにそれをなぞってしまっていた。そして、そのせいで、大阪という異なる環境に合わないライブとなってしまったのだ。

 そんな反省会のなか、友希那がそのことについて燐子に意見を求める。しかし、燐子は口ごもってしまい、なかなか自分の意見を言い出せなかった。
 すると、それを見たリサは休憩を提案する。紗夜と燐子はコンビニへを買い出しに行くことに。

 買い出しを終え、ホテルに戻る前に、コンビニ前で一息つく二人。紗夜の気遣いにつられてか、燐子は会話の中でこう言葉を漏らす。

 この反省を聞いたとき、紗夜は、はじめこそ今日のお客さんの感想を気にしても仕方がないと思っていたが、聞き進めていくうち、『お客さんには「今日」しかなかった』ことを再確認する。

 そんな話をしながらホテルに戻った二人。紗夜は晴海さん(Roseliaのマネージャー)に連絡するため一旦席を外す。
 ロビーに残った燐子は、周りを何気なく見渡す。すると、そこには屋根の開いた一台のグランドピアノが。しかも、どうやら自由に弾いていいらしい。ついつい近づいて触れてしまう燐子。
 そこに紗夜が戻ってくる。燐子も慌ててピアノから離れようとするが、紗夜は是非一曲聴きたいと促す。燐子もそれに応え、演奏することに。

 ピアノを弾いている最中も、ライブでのお客さんの顔が頭をよぎる燐子。

『もう、こんな思いはしたくない』。そう思ったとき、燐子は先ほどまで演奏していた曲を止め、突然別の曲を弾き始める。
 それは、幼少期に挫折し、しかし時を経て再び向き合うことのできた、あのコンクールの課題曲。
 何故その曲を選んだかわからないまま、本能のままに彼女は弾いていた。
 そして、燐子は演奏が終わると、紗夜だけでなく他のメンバーもその演奏を聴いていたことに気づく。

 その後、自分の反省をあらためて皆に伝える燐子。それを聞いたあこは「今日のライブをもう一回やり直したい」とつぶやく。しかし、友希那はメンバーの気持ちを理解しながらも、こう返す。 

 すると、それを聞いた燐子は、自分がどうしてピアノでコンクールの課題曲を弾いたかを紐解き始める。

 それに対して、紗夜もこう付け加える。

 その後、部屋に戻った一行。反省会の続きをするのかと思いきや、友希那は『「今日の後悔」としっかり向き合うこと』を皆に宿題として課し、この日は解散することに。

 迎えたライブ2日目。昨日燐子の演奏を聴いた友希那は、あるルーティンをライブのリハーサルに組み込むことを皆に告げる。それは『リハーサル開始前に燐子にコンクールの課題曲を演奏してもらい、その曲に「昨日のような後悔を二度としない」と誓いを立てる。』というものだった。

 結局、その後の大阪公演day2が成功したかは描かれていないが、また一つ成長したRoseliaならきっと心配ないだろう。

やり直せる後悔、やり直せない後悔

 さて、今回のストーリーについてだが、やはり核になっているのは、イベント「再演のプレリュード」のストーリーで登場したコンクールの課題曲だろう。
 「再演のプレリュード」のストーリーは、簡単にまとめると、

燐子は幼少期にコンクールでトラウマを抱えてしまい、ずっとコンクールに出場することを避けていた。しかし、弱い自分を克服するため、彼女は勇気をもって一歩を踏み出し、再びそのコンクールに向き合うことを決める。そして、自分の音楽の原点に立ち返りながら、見事コンクールで成功を掴む。

というものである。(詳細は以下の記事を参照してもらいたい。)

 このストーリーは、燐子を語る上で欠かせないものであり、「自分の弱さを見つめ、向き合う」彼女の強さを象徴するストーリーである。私も大好きなストーリーだ。
 また、そんな大事なストーリーを今回引き合いに出してくれたことに、個人的にはとても感謝している。

 しかし、今回のストーリーでは、「再演のプレリュード」で登場したコンクールの課題曲の「役割」が大きく異なるのである。

 まず、「再演のプレリュード」での課題曲の「役割」について説明する。
 先ほど述べたように、「再演のプレリュード」は燐子がかつての失敗により逃げてきたコンクールに再び向き合い、自分にとっての「音楽」を取り戻しながら成長していくストーリーである。
 そして、その中で、幼少期の挫折のきっかけとなってしまったこの課題曲を「やり直す」ことで、彼女は成長し、コンクールでも優秀な成績を修めることができた。
 つまり、「再演のプレリュード」でのこの課題曲は、彼女の「成長」の象徴であり、ポジティブなイメージが強い。

 では、今回のイベント「ブライア・ロード~今日に捧ぐ夜想曲~」ではどうだろうか。
 まず、今回のストーリーでこの課題曲が登場したのは、ライブ後の反省会の休憩中、燐子と紗夜が買い出しから戻ってきたところだ。そのシーンでは、はじめは落ち着いた音色でピアノを奏でていた燐子が、『自分にもお客さんにも申し訳ないライブはもうしたくない』という思いとともに、突然コンクールの課題曲を演奏し始める様子が描かれている。聴いているだけでも激しい感情の変化がうかがえる。

 そして、燐子はこの曲を演奏した理由について、「この曲は、弱い自分から逃げたくなくて、もう一度やり直そうと決めた時の曲だから。今日のライブをやり直したかったのかもしれない。」と答えている。やはり、「やり直し」という言葉が、この曲に関係している。

 しかし、その直前に友希那が言ったとおり、「今日」のライブは「今日」しかない。もうやり直せない。同じお客さんが同じ会場に集まることはもうないのだから。

 つまり、「ブライア・ロード~今日に捧ぐ夜想曲~」でのこの課題曲は、彼女たちの「後悔」の象徴であり、ネガティブなイメージが強いのだ。
 そして、だからこそ彼女たちは、この曲に「やり直しのできない『今日』に全てを賭ける」という誓いを立てることにした。そうやって、この曲に別の「役割」を持たせた。

 ここからは筆者の感想になるが、「やり直す」こと自体は決して悪いことではない。現に、「再演のプレリュード」での燐子は、過去と向き合い、「やり直す」ことで、大切なものを取り戻すことができた。また、過去の演奏を振り返って、ブラッシュアップしていくことも、完成度を上げるためには重要なことだ。
 しかし、それが意識の甘さにつながってはいけない。「またやり直せる」ではいけないのだ。「今日」は「今日」でしかなく、「過去」でも「未来」でもない。まさしく、「今に全てを賭ける」べきなのだ。

 「再演のプレリュード」を決して一つのハッピーエンドで終わらせず、その続きをこのような形で描いてくれたガルパには感服するばかりである。

Dear Gleam

 今回のイベント曲は「Dear Gleam」という曲である。

 例のごとく題名の真意を考えたのだが、なかなか難しい。
 単語の意味を調べると、"dear"は「親愛な、いとしい、貴い」、"gleam"は「微光、薄光」と出てくる。"dear"はまだしも、"gleam"なんていう単語は初めて見たので、イメージがしにくかった。
 筆者はしばらく空っぽの脳をフル稼働させて考え、なんとか一つの結論にたどり着いた。

 まず、"Gleam"「微光、薄光」の部分について。
 光というものは光速で動き、最もタイムロスなく「今」を伝える媒介である。つまり、「光」が象徴するのは「今」である。
 そして、「微光、薄光」ということは、その光はとても小さく、儚いものである。それは、Roseliaが過渡期にあることを表していると考える。F.W.F.を終え、プロデビューを果たし、成長を続けるRoselia。しかし、まだ高みには程遠い。そうやって迷いながら、もがきながら、しかし確かにそこにある誇りを胸に、一歩ずつ踏み出していく。そんなRoseliaを表現しているのだと考える。

 そして、"Dear"「親愛な、いとしい、貴い」について。
 今回は「貴い」が一番ふさわしいだろうか。上記の「微光、薄光」を貴く思いながら、大事にしながら、これからも「今」に全力で演奏していく。そんな彼女たちの想いを表しているのではなかろうか。

(おまけ)今回の燐子の音への印象

 燐子を語る上で「音から伝わってくる感情」を無視することはできない。今回もそんな描写があったので、ここにまとめておく。

 燐子の「やり直したい」という気持ちが強く伝わる一言である。

おわりに

 さて、今回の記事はここまでにしたいと思います。
 正直なところ、今回のストーリーは一件落着ハッピーエンドではありません。この「ブライア・ロード」、まだまだ続きそうです。「ノーブル・ローズ」を思い出しますね。
 ちなみに「ブライア・ロード」、意味は「茨の道」です。不穏ですね~。

では、また次の記事でお会いしましょう。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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