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存在

高知県は存在している。
それは私が今日現在、高知県の地に両足をつけて立っているからだ。

さらに広い範囲を考えてみると、日本も存在している。
もっとも、私にとっての日本というのは中四国と九州と近畿と関東の一部であり、それより北の地であるとか、ましてや沖縄県なんてものは架空の存在である。

時々テレビでアメリカンファッションであったり、イタリアのミシュラン特集などを拝見する機会もあるが、これも全てフィクションであり出来の良いモキュメンタリーのようなものであろう。

人々は自分の訪れたこともない地について嘘の知識を得意げに語り、あたかもそれが存在しているかのように振る舞う節がある。

たとえば、馬鹿でかいハンバーガーをSNSにアップロードしては「ハァ〜アメリカ!アメリカハァ〜ヨイショ〜!」と騒ぎ立てているが、
アメリカもアメリカの馬鹿でかいハンバーガーも実際にその目で見たことがないくせに、それをリアルだと信じきっている様は非常に滑稽に見える。

一方で、ハナゲモチョモチョは存在している。

先日、中国山地の山間でハナゲモチョモチョに遭遇した際、私はそれまで「ハナゲモチョモチョは存在しない」と思い込んでいた自分をとても恥ずかしく思ったのを覚えている。

私はハナゲモチョモチョをよく観察してみることにした。ハナゲモチョモチョに遭遇することは二度とないだろうと必死になってスケッチを取った。

ハナゲモチョモチョは長い鼻毛を風に靡かせ、二頭身の体をその短い足で必死に持ち上げている。
体の色は黄色人種のそれに近く、人間をそのまま縦に潰したようなフォルムをしていた。

また、ハナゲモチョモチョの鼻毛はとてもモチョモチョしている。この世で最もモチョモチョしているものはなにかと問われた際には検討の余地もなく「それはハナゲモチョモチョの鼻毛です」と返答することを、人類の共通認識にすべきだと私は思った。

「ハナゲモチョモチョのモチョモチョを見ていると、なんだかモチョモチョしてくる」と、幼少の時に読んだ妖怪図鑑の解説を思い出した。

かくいう私も、ハナゲモチョモチョのモチョモチョをまじまじと観察していたため、なんだかモチョモチョしてきた。

ハナゲモチョモチョのモチョモチョを見ていると、私の鼻毛もモチョモチョして、まるで私もハナゲモチョモチョになったかのような感覚に陥ってしまった。

私の鼻毛のモチョモチョを感じ取ったのか、ハナゲモチョモチョはハナゲモチョモチョのモチョモチョをさらにモチョモチョさせて、ハナゲモチョモチョのようになった私のモチョモチョにモチョモチョを絡めつけてきた。

これはハナゲモチョモチョの求愛行動であることを私は知っていたので、ハナゲモチョモチョが絡みつけてきたモチョモチョにハナゲモチョモチョのようになった私のモチョモチョで応えることができれば、ハナゲモチョモチョのことをもっと知ることができるのではないだろうかと思い、ハナゲモチョモチョのようになった私のモチョモチョをハナゲモチョモチョのモチョモチョとさらに絡み合うようモチョモチョした。

その刹那ーーーーーーー!

アーーーーーーハナゲモチョモチョーーー!!
もうモチョモチョの事しか考えられないーーー!!
ハナゲモチョモチョのモチョモチョをハナゲモチョモチョのようになった私のモチョモチョにもっとモチョモチョしてモチョモチョモチョモチョしておくれーーー!!!
ハナゲモチョモチョのモチョモチョをハナゲモチョモチョのようになった私のモチョモチョにモチョモチョモチョモチョさせればハナゲモチョモチョのモチョモチョもハナゲモチョモチョのようになった私のモチョモチョももっともっとモチョモチョモチョモチョモチョモチョモチョモチョできるよーーー!!!
I SAY MOCHO MOCHO!!!
YOU SAY  MOCHO MOCHO!!!
YEAH!!!!!
MOCHO MOCHO IS MY MOTHER!!!
ARE YOU MOCHO MOCHO!?!?
YOU ARE MOCHO MOCHO!!!
YEAH!!!!!

そこにアメリカは存在した。


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