縁の下をどう支えるか~CI/CDプロダクトのDeveloper Advocate

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はじめに

この記事は
DevRel Advent Calendar 2020の19日目の記事 であり
CircleCI Advent Calendar 2020の25日目の記事
です。

縁あって、2020年6月15日、CircleCIというCI/CDの会社にDeveloper Advocateとして転職してきました。以前は別の会社でDigital AdvisorというDAつながりなコンサル寄りのお仕事をしてきたので、より開発者寄りな、我が家のような場所に帰ってきたと思いながら、半年ほどお仕事してきました。

コロナ禍で面接もすべてオンラインという中でのDeveloper Advocateへの転職だったのですが、しばらくは同じような状況であれば、私の「立ち上がり」を残しておけば、後に続く後輩たちに何か残せるかと思い、クイックに書いてみました。

これまでの履歴との重なりは?

Developer AdvocateなりEvangelistという職種は経験したことはなかったものの(ただし非IT的な元々の意味でのevangelistだったことはあります)、古くはベンチャーで製品の開発からプリセールス、ソリューションの有償インプリからコンサルまであれこれやってきた中で、パブリックであれ、プライベートであれ、イベント登壇や記事書き、サンプルコード書き等は割とやってきた方ではあるので、まぁ、(いろいろ学ぶことはあるにせよ)その延長でできるのではないか、という読みはありました。

職種というよりはプロダクト/サービスの重なり?

30歳でDejimaという今のSiriに繋がる自然言語対話エンジンを開発するベンチャーに転職し、その会社がSybaseというデータベースの会社に買収され(さらにSAPというERPの会社に買収されるという)転職活動のない転職をしてきました。

Dejimaという自然言語インターフェースであれ、Sybaseの扱うデータベースであれ、

・それ自体が外から見える製品やサービスではなく、裏側で使われるもの
・マーケットシェア1位ではないが、コアなファンに支えられている

というプロダクトを扱ってきた経験(売り方、開発者への近づき方、支え方、感謝の伝え方)は共通する点があり、それが現職(というよりは現会社、現プロダクトなり現サービス)でも行かせているのではないかと考えています。

プロダクト/サービスの立ち位置

私くらいの世代(笑)だと、データベースといえば、OracleとMS SQL Serverが熾烈な(マーケティング)バトルを繰り返しており(よってもって、MS SQL ServerとSybaseってナントカカントカ)、新バージョンが出るたびに、機能比較表を基にアル/ナシ比較を繰り返していたわけですが...あるところまで行きついてしまうとアル/ナシ比較、しなくなっちゃいますね。

Sybaseのデータベースは早々に(笑)アル/ナシ競争から一歩引き、Sybase IQというデータウェアハウス系のマーケットと、モバイルや製品組み込み市場(iAnywhere, SQLAnywhere)にフォーカスしていったわけですが、そもそもデータベース、どれが1つに決めなければならないというほどのものじゃないわけです。

ギリギリのところを突いて使うような場合はともかく、O/Rマッピングはさんでしまえばデータベースが何なのか、エンドユーザーはもちろんですが、開発者にはどうでもいい話題(一方で運用する側からみると、気にすべきポイントはまだまだある気もします)。データベースの良し悪しというよりは、ビジネスが抱える制約条件を考えて決めましょうね。全社で一つに統一しなくても、Plan A、Plan Bくらいに習熟しておいたほうが場面によって使い分けできますよ。コモディティな世界にようこそ、です。

さて、現職で扱っているCI/CDですが、機能比較を語るのもいいのですが、まずは現場の開発者や、開発をマネージする立場の方(もっと言えば、企業の経営層であったり、開発を発注する側)にCI/CDの価値を伝える、そこに時間なり費用なりスキルを投資しなければいけないのだ、ということをご理解いただくのが喫緊の課題であり、他社を蹴落して自社のシェアを広げなくても、「社内で使っているCI/CDツール2つのうちの1つ」くらいの立ち位置をまずは得たいと(私は)考えています。プランでも選択肢でも、手元に2つ持っていると強いですよ。

Developer Advocateの立ち位置

さて、「2つのうちの1つ」になるべく活動しているわけですが、CI/CDなりデータベースといった「縁の下支える系」プロダクト、サービスの場合、2種類の開発者がいるように思われます。

開発者1
そのツール(データベース、CI/CDツール)が大好き。知識・経験・小技/大技極めたい!
開発者2
あんな製品・サービスを世に出したい、先走る思いを満たすには、自分で何でもやるのではなく、スピードや品質などの面で支えてくれるツールとの組み合わせの妙を習得したい!

私個人の話をしてしまうと、開発者1というよりは開発者2のタイプ。とはいえ、開発者1も素晴らしいと思うし、知恵を拝借したい場面は多々ある(CI/CDをネタに幅広の技術トレンドも追っていきたい、手を動かし続けていたい)。したがって、自分のやりたいことばかりやっていると、開発者2に優しく、開発者1に冷たくなってしまいます。その一方で、製品紹介、機能紹介ばかりしていると、開発者1には既知であったり、開発者2には具体性が欠けていたりで、実はメッセージがうまく届かない、ということもあり得ます。

現状はマーケット認知を高め、「CI/CD、当たり前じゃん」という状態に早くたどり着くには、

・開発者1を育成すると同時に、常に新たな開発者1の参入を促す
・開発者2を育成すると同時に、常に新たな開発者2の参入を促す
・開発者1のなかでの「教えあい・学びあい」を促す
・開発者2のなかでの「教えあい・学びあい」を促す
・開発者1と開発者2の間での「助け合い・助けられ合い」を促す

のがこの会社での私のお仕事と思い、半年間、活動してきました。

開発者1へのアプローチの半年間の集大成は、CircleCI Advent Calendar 2020の25枠の技術記事かと思います。CircleCIが主語になるようなエントリが多い、開発者1タイプの方の書かれた記事が多いかと思います。

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一方で開発者2へのアプローチに関しては、様々な言語やフレームワーク、クラウド環境や企業様ごとのAdvent Calendarに取り上げていただいたことのまとめが一つの形かなと思っています(いろんなAdvent Calendar 2020からCircleCIトピックご紹介)。

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開発者1と開発者2とのクロスオーバーに関しては、オンラインミートアップや、先日試行した「朝練」という名の「オンラインもくもく会」(今後は「昼練」「夜練」も企画中)など、これまでにやったこと+これまでにリーチできていなかった層に届くことを意識した活動を2021年は行いたいと考えています。

さいごに

私は日本のDeveloper Advocate枠での入社ではなく、JAPACのDeveloper Advocate枠での入社なので、日本で打ち立てた(あるいは必ずしも日本ではうまくいかなかった)モデルを、他地域に拡げる役割も果たしていかねば、ということで、来年は日本でも、アジア・太平洋地域でも、CI/CDという観点からソフトウェアエンジニアが勇気がでるような活動を続けられたらと思っています。

中の人は私だけではありませんが、
・中の人としての活動は @CircleCIJapan にて
・舟木将彦 個人としての活動は @mfunaki にて
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