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マネーフォワードが目指す、これからのデータ分析組織

はじめまして!マネーフォワードでデータ分析をしている、酒井と申します。

今回は、私たちが目指している「これからのデータ分析組織」について、マネーフォワードにおける実際の取組みを交えながらご紹介しようと思います。

まずは、スコープを広く持つ

皆さんは「データ分析」というと、どんな業務を思い浮かべるでしょうか?
ABテストやログ解析のようなグロースハック、AI/機械学習を活用したデータマイニングのイメージを持たれることが多いのですが、私はよりスコープを広くデータ分析をし、その組織知化を推進してます。

例えば、予算策定もデータ分析と私たちは捉えています。予算策定には、過去のトレンドをKPIに分解し、将来の施策を織り込んで事業の成長を予測することが求められますが、これは立派な「予測タスク」です。
このプロセスで、事業ドライバーとなるKPIを丁寧に分解してあげれば、その予実を追って事業進捗をモニタリングできるのみならず、より高付加価値な事業経済性の分析(*1)もできるようになります。

*1 ユニットエコノミクス(LTV/CACや回収期間)や、Sales Efficiencyのような投資対効果指標など。

他にも、M&Aにおける事業価値算出(いわゆるバリュエーション)もデータ分析だと考えています。バリュエーションでは、企業や事業が生み出す将来キャッシュフローの分析を行いますが、これも立派な「予測タスク」だからです。(限りなく”アート”(*2)ですが…)
実際に、モデリングのスキルはシナジーしますし、ファイナンスのコアにある概念は、日常的に行う事業経済性分析でも活きます。

*2 科学的・統計的な分析をサイエンスというのに対し、対義語として一部界隈でよく使われます。

実際に、当社のデータ分析チーム(今は、ほぼ私ひとりですが…w)ではこういった領域にも取り組み、組織のデータドリブンな意思決定を牽引しています。

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これからは、上流に行く

「スコープを広く持ったらキャパオーバーしない?」というご指摘がありそうです。幅を広く取れば取るほど、当然に作業量は増えます。そこで、逆説的ですがむしろ、上流まで手を出すことでそれを解決し始めています

データ分析は、得てして最下流の業務です。マーケ、営業戦略、経理…いろんな部署の「ありもの」の、「寄せ集め」のデータをなんとか料理することが求められます。しかし、その現状に甘んじていると、スピードは出ず、精度が低い、できないことだらけの分析しかアウトプットできません。

当社の分析チームはスピードや精度を上げるために、当然SQLは自分たちで書きます。データウェアハウスやデータマートを自分たち自身で作ります。経理のデータ粒度が理想でなければ、経理処理自体を変更したり、集計も場合によってはSQL化します

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すると、上流の処理を待つ時間や、欲しいデータの要件定義のような付加価値の低いプロセスが大きく削減されました。その上で、精緻で細かい粒度のデータ分析もできるようになり、レポートの質が大きく向上しました。

業務改善的なおまけ

ここまでやりきると、結果的に業務改善も推進されます。特にいまExcelでやっているような作業が、SQLなどのスクリプトに置き換えられ、具体的には経理処理の業務改善とシナジーが高いです。

現在、マネーフォワードでは、Excelでやっていた経理処理をどんどんSQLに置き換えています。SQLに置き換えることで、Excel操作がなくなってミスや作業時間が削減されます。また、Excelは変更履歴を追うことが難しいですが、SQLをGitHubで管理することで、いつ・何が・どうして変更されたかをトレースできるようになりました。

また、経営企画、営業戦略、マーケなどが運用しているダッシュボードも、どんどん自動化・精緻化することができるはずなので、より広範に価値を届ける予定です。

「データ分析」を超える組織に

ここまでの通り、最速で最大の結果を得るためには、テクノロジードリブン~ビジネスセンスまで、全部持っている必要があります。

具体的には、下記のようなスキルでしょうか。

- 分析ニーズの理解 (現場~経営・IRまで)
- 分析力(SQL、Python/R/JavaScript、基礎的な機械学習/AIの知識)
- ビジネスロジック実装力 (経理処理など)
- 分析基盤設計力 (RDB/GCP)

こういったことができる、データアナリストでもデータエンジニアでもない、いうならば「データジェネラリスト」は特に分析組織立ち上げ期には重要だと考えています。そして、立ち上げ後も、組織としてデータジェネラルなチームにするのが良いはずです。

最後に

今回は、組織の概念的な部分でしたが、今後様々な取り組みについて具体的にご紹介したいと思います。

とはいえ、マネーフォワードの分析組織はまだまだ立ち上げ段階です。
コンセプトに共感してくれる方、語り合いましょう!
こんな大風呂敷広げたチームにジョインしたい方はこちらからご応募ください m(_ _)m




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