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プラットフォーム最高額を調達した「ミニシアター・エイド基金」プロジェクトに学ぶ配信のコツ

これまでさまざまなクリエイターのクラウドファンディングを掲載してきたMOTION GALLERYがこの困難を乗り切るためのナレッジをシェアするマガジン、『MOTION GALLERY ACTION』。よりよいACTIONをサポートするために、MOTION GALLERYを運営する私たちのナレッジをシェアします。

今日は、MOTION GALLERYで主にイベントを担当しているコミュニティディレクター、アーヤ藍による、『オンラインイベントでファンを作るナレッジ 〜ミニシアター・エイド基金の事例を交えて〜』。

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こんにちは、MOTION GALLERYで主にイベントを担当しているコミュニティディレクターのアーヤ藍です。

コロナウィルスの感染拡大により苦しい状況にある、全国の小規模映画館を応援するため、立ち上げられた「ミニシアター・エイド基金」プロジェクト。今回のnoteは、このプロジェクトのコミュニケーションのかな目、配信についてのナレッジを書きたいと思います。

映画と映画館を愛する人たちの応援がどんどん集まり、当初の目標1億円は開始3日で達成。しかし、先行きが見えない状況のなか、参加劇場へのヒアリングも改めて行ない、ストレッチゴールを立てて、最終日まで約1ヶ月走り続けることになりました。

そこで、ファンディング期間中に行なったのが、YouTube配信企画、①参加劇場を1劇場ずつ紹介する「オンラインでミニシアターを旅しよう」(全6回)と、②6時間に渡るラストスパート企画「ミニシアターエイドLive #ミニシアターと私 」でした。

①は毎回600〜800回の再生数を獲得、②は著名な方々にも多数出演いただいたこともあり、2.8万回の再生数を得ることができました。Twitterでも好評の声が多数寄せられた、この配信企画の経験から「ナレッジ」を共有したいと思います。

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(6時間に渡って配信した「ミニシアターエイドLive #ミニシアターと私 」より)

その1 「視聴者に何を感じて欲しいのか」目的の設定を大切に

リアルな場でのイベントは参加者を物理的に「拘束」できるのに対して、オンラインの、特に一方通行の配信イベントの場合、つまらないと思われたら、すぐに離脱してしまいます。あとから挽回したとしても、もう戻ってきてはもらえません。だからこそ一層、限られた時間のなかで、何を話すのか、何を伝えるのか、を丁寧に設計しておくのがオススメです。

たとえば①の企画。
ミニシアター・エイド基金は、100以上の劇場を束ねてファンディングしたのが「肝」でしたが、一方で、ミニシアターの魅力とも言える、ひとつひとつ異なる個性は伝わりにくい面がありました。

いつも、クラウドファンディングでは「顔」が見えるコミュニケーションを大事にするようアドバイスしているのですが、本プロジェクトは見えにくかったわけです。そのため、それぞれの劇場ごとにフォーカスし、支配人さんたちの「顔」を前面も出したのが、この企画です。

そして、インタビューのなかでも、ただ劇場の紹介というよりは、支配人さんたちの人生哲学や、映画との個人的な思い出などを語ってもらうようにしました。

(「オンラインでミニシアターを旅しよう」企画、大分の日田シネマテークリベルテさんと、東京にあるシネマ・チュプキ・タバタさんの配信。少し長いですが、半ばあたりを聞きかじっていただくと、それぞれ異なる個性が見えてくるかと思います。)

また、①②どちらのイベントでも私が意識していたのが、「映画館に対する愛情や、映画館の存在意義を、観ている人に思い出してもらう/再認識してもらう」ということです。

基金自体は、コロナウィルスによる被害を補填するためのものですが、当時、全国的に外出自粛下にあったなかで、「大変な状況であること」は、多くを語らずとも想像しうるものだと考えていました。

そのため、トークの中では被害の話は一部に留め、それよりも、支配人さんたちがどれだけ愛情を注いできた場所なのか、映画に人生を懸けているのはなぜなのか、どんな役割を地域で担っているのか…といった内容を話してもらえるようにしました。

…と、さらっと書きましたが、いきなりぶっつけ本番で聞くのではなく、インタビュー相手の下調べをするのも大切です!限られた時間のなかで、深い言葉を引き出すためにも、ツボを狙った質問を投げかけることは欠かせません。(私もうまくできないことが多々ありましたが…)

そんな戦略的な目的だけではなく、下調べをして相手のことを深く知るほどに、きっと、さらに相手のことを知りたい!というワクワクな気持ちが湧いてくるはずです。そしてそのワクワクは、画面越しの視聴者にも伝わるはずです。

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「ほとり座」さんとのライブ配信に向けて準備していた資料の一部。このまとめ方がベストではないと思いますが(笑)想定質問と、過去のインタビュー記事から「こんな言葉が聞けるんじゃないか?」という想定回答も用意しておきました。とはいえ、「台本」になってしまうとつまらないので、ライブ中はほとんど見ずにやっていました。)

その2 入り口は簡単、でもシステム周りは事前練習を

YouTubeでのトークイベント配信の場合、よく使われるのは、Zoomという会議ソフトとYouTubeを繋ぐ配信システムではないかと思います。

詳しいやり方は、こちらのページなど、多数紹介されているので、そちらをご参照いただければと思いますが…

最初の細かい設定だけ少し頑張れば、配信自体はとても簡単にできます!

しかし、イベントにトラブルはつきもの!
もし主催者のPCが落ちてしまっても配信は続くのか?
そのときYouTubeのURLは変わらないのか?
ゲストのPCのほうが落ちてしまった場合には…?

…など、考えうるトラブルを想定して、対処策を確認しておくと安心です。


(6時間のLive配信、15分30秒あたりで、音声トラブルが生じています(笑)。事前にいろいろ練習をしておくと、原因の想定がしやすかったり、慌てずに対処しやすくもなります。)


また、Zoomで「ギャラリービュー」から「スピーカービュー」に切り替えるとYouTube側でも話している人がアップで映ったり、「スピーカービュー」にしているときに、咳払いをした人などに画面が切り替わってしまわないよう「ビデオの固定」をしたりすることもできます。

そうした「小技」を挟むと、より飽きさせない配信になるはずです。
しかし、トークで一番大切なのは、何よりも中身。テクニックを意識しすぎて、話に集中できない…なんてことが起きないように、事前に友人などに協力してもらって実験と練習を繰り返しておくと安心です。

その3 視聴者との双方向コミュニケーションで「ライブ感」を楽しもう

YouTubeのライブ配信の場合、設定にもよりますが、アーカイブして、後から見てもらうこともできます。それは便利な一方で、「後で見られるから今は見なくてもいいか…」と思って、そのまま忘れられてしまう…なんてことも起きがちです。

できるだけライブでリアルタイムに参加してもらうためにも、チャット欄のコメントを読み上げたり、質問を受け付けたりして、ライブ参加の「メリット」を用意しておくのがオススメです。

ライブ配信に限らず、SNSでも言えることですが、双方向のコミュニケーションがあったほうが、関係性の密度が濃くなり、より愛着をもって応援してもらいやすくもなるでしょう。

配信を終えた後には、SNS(主にTwitter)で感想をエゴサーチして、見てくれていた人に、お礼のコメントをすると、さらに良いでしょう。

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ミニシアター・エイド基金が行われていた4月〜5月の頃に比べれば、外出しやすい状況になっていますが、まだまだ予断を許さない状況です。オンライン配信のコツを押さえて、ぜひ皆さんのプロジェクトを盛り上げるのに活用してくださいね!

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