前髪


紛れもなく、
ちょっとくらい後悔してほしい
どこかでそう思っていた

前髪さえ長ければ、色っぽくなるでしょう
いい女だと思ってよく見ると

あなたがかつて愛した人

なんて茶番になればいいのに
なるわけ無いのもわかっているのに


誰かの後悔だけの為に伸ばされた私の前髪
世界で65番くらいには哀れな前髪ではなかろうか


そう思っているのは私くらいで

あの人以外の大衆は、ピッタリだよと言う

あんな哀れな前髪も
私にかかってみればピッタリらしい

光栄じゃないか


だけどある日なんだか、うんざりして

きっとそんな自分にさえ飽きてしまって


今、あの伸び切って傷んだ前髪はない

こんな可愛らしい前髪、
なんて不釣り合いなんだろう

そう思うはずなのに、口角は上がる

なんだか新しい自分になれた気がして
これから新しい世界に飛べる気がして

きっと誰にも何にも触れられることはない
女子同士のかわいい合戦に巻き込まれるくらいだろうか

それでもいい、さっぱりしたの、それでいいの

そう思っていたのに

「可愛かったぞ」

と最近話題の変な人は言うもんだから、変な話だなあと思う

思ってないくせにと
心の中で毒づく私も

なんだか新しい自分を認められた気がして

無性に嬉しくなるあたりはきっと


誰よりも変な人なのだ

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面白かったら嬉しいなあ
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マ ホ

97 / osaka / film / digital *** 撮ったり書いたり笑ったり泣いたり

lumière douce

柔らかいおはなし、あるようでないような、ないようであるようなおはなし
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