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ヒトの反応速度は0.6秒?

こんにちは。倉増哲州です。

人が物事を見て、考えて、反応するのに0.6秒かかると言われている。
0.6秒。

よくお芝居などを見ていて違和感を感じるとき、このことが原因の場合が
割と多い気がする。
所謂、予定調和ってやつです。

俳優はもちろんあらかじめ台本を読んでるから、会話の先を知っている。
自分が何か相手に言葉を投げかけて、相手が何を言うかも知ってるし、
それに対して自分が言う言葉ももちろん知っている。

普段の僕たちの会話なら、自分が言葉を相手に投げかけたとき、
相手はその言葉を聞いて、考えて、そして何かを答える。
さらに自分は相手から帰ってきた言葉を受けて、リアクションを考えるといった具合に流れるのが一般的だと思う。

とても簡単に言ってしまえば、何かを受けてそのリアクション(心の動き)がないまま、セリフを言っているのが
予定調和といわれるもので、
僕たちが何か違和感を感じる原因の一つ。

でも、一方で野球の話になりますが、
ピッチャーが140キロでボールを投げて、キャッチャーのミットに収まるまでが0.4秒らしい。
普通なら人間が見て、反応できる時間より短い。
でも、バッターはそれを打ち返している。
これはどういうことかというと、もちろん才能とか技術という理由もあると思うけど、多くは普段の反復練習によって、
考えるより先に体が先に動くようになっている。
いわゆる【無意識】に体が動くようになっているからだと聞いたことがある。

面白いですよね。

特に演劇なんかだと、稽古期間というのがあって、何度も反復練習をする。
もちろんその中で感情の流れ、感情の加減、アウトプットの加減などなど、
沢山のことを調整していくんですけども、
同時に反復練習によって、体が【無意識】に反応するようにしていく。
でもそれは、相手から何かを言われと時のリアクション(心の動き)を無くすことではなく、それを残したままに。
時にはきっと人間の反応速度0.6秒を超えてやりとりすることもあるんじゃないかと思う。
でも、ちゃんとリアクションをしていたらお客様に違和感は感じない。
特に演劇だと、舞台という絵面は変わらないし、生身の人間、あるいは物語を見せるという意味で、極限までこのリアクションをどこまで削ぎ落して
テンポやら物語のグルーブ感を出すかという演出もある。

だから、逆に言えばもちろん僕も含めて多くの俳優が反復することによって、どんどん予定調和になっていったりする危険性はあるし、そこはかなり気を付けていることだと思う。

一方で、特に映画。
よく監督が「自然」な演技という言葉を使うことが多い気がする。
これが、僕がとても頭を悩ませるところ。。。

舞台やってる俳優さんで、映像業界のこの「自然」っていう言葉に頭を悩ませたことある人多いんじゃないかなぁ。

できたらこの「自然」という言葉を、もうすこし分解して説明していただきたい気持ちはあるのですが、、笑
人によってその「自然」のニュアンスも様々だと思いますし。

さっきのリアクションの速度のお話をしましたが、
演劇は割とリアクションを削ぎ落すことに時間を費やしたりすることが多い一方、
この「自然」という言葉は
相手から何か言われたときのリアクションをしっかり見たい。
という意味の時も多いのかなぁなんて僕は思ったりしています。
映像だと、カメラで顔に寄ったりできるので、このリアクションだけで十分ドラマチックに見せることができる。

もちろん映画業界で直面する
この「自然」な演技。
永遠の課題です。

ただただ僕のお芝居が不自然だって可能性ももちろんありますけど 笑

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