完結その2〜好きな歌詞について

前回のnoteに引き続き、チャットモンチーへの未練をタラタラに垂れ流す「完結」のお時間です。ここからは、好きな歌詞について徒然なるままに書いていきます。

夢が夢でなくなる東京
おいしそうな花のミツ
私はまだまだ世間知らず
甘い匂いに負けそう
ハチの巣みたいだ東京
働きバチの行列だ
私はまだやわらかな幼虫
甘い甘い夢を見てる
『東京ハチミツオーケストラ』

就活のために毎日のように東京へ向かっては、慣れないオフィス街をピカピカのスーツとボロボロになったパンプスで走り回った。そんな東京に憧れた就活生の日々に寄り添ってくれた曲、「東京ハチミツオーケストラ」のサビ。まだまだ記憶に新しい出来事だけど、この曲を聴くたびにあの時のワクワク感と不安に交互に襲われるような、あの感覚が蘇ってくる。今こそ「甘い夢」を見せてくれる東京も、住めば「辛い現実」を突きつけてくるのかもしれないな。

起きたら忘れてるくらい
おいしいご飯が食べたい
理不尽でむかつく話でも納得してみたい
瞼の裏をスクリーンにして
明日の予告が観たい
楽しみで待ちきれないほどの
今日の続きがいいなあ
『余談』

「余談」の最後のサビの歌詞。最初のサビでは現実ではありえないとか言っていたのに、最後のサビに向かうにつれてどんどんポジティブに、そして欲深くなっていくところが好き。「夢のような現実」をまだ見ぬ明日に夢見ちゃうところにすごく共感する。小さな欲望にも。

月を見て綺麗だねと言ったけど
あなたしか見えてなかった
『8センチのピンヒール』

早すぎる3日間
あなたを見送った帰り道
何度も後ろ振り返り無言で歩いた
『バスロマンス』

…そんなこともあったなぁ、と。
もう彼しか見えなくなったあの瞬間も、遠距離の甘酸っぱい記憶もなんだか懐かしい。

はじまりの鐘が鳴り サヨナラの味を知る
22歳の 私 yeah
(中略)
まだ見ぬ私へ あなたをつくるのは私だけ
マジョリティマイノリティ
あなたを守る人は私
『majority blues』

私ごとですが、先日22歳になりました。この曲がリリースされたのは2年前。ついに歌詞の年に追いついてしまったなぁ。それまで何気なく聴いていたはずなのに、なんだか重みが違く聴こえるから不思議だな。今の私なら「はじまりの鐘」の音も「サヨナラの味」もちょっと分かる気がする。
来年の今頃、一体どこで何をしているかなんて見当もつかないけれど、まだ見ぬ私をつくるのも守るのも、今の、22歳の私らしい。

さて、ここまで5曲から好きな歌詞を紹介してきましたが、これもほんの一部です。彼らがつくる歌詞は、耳触りは軽くてポップなのに、心にはズシンと響く重さがあって。こんな言葉を使うと薄っぺらく聞こえてしまうのだけどあえて使うならば"エモい"なぁと。
アルバムの中には楽しかった思い出ばかりじゃなくて、心に刺さるような歌詞もまたそんな私の思い出に寄り添っている。

私にとって「坂下食堂」みたいな存在だったチャットモンチー。「さようなら」って言えそうにないなあ。

『サラバ青春』