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ホットギミックを観てきた



ホットギミックを観てきた。


と言っても観にいったのは公開されてすぐだったので、もう一ヶ月弱経っているのだが、生まれて初めてnoteに自分の文章を載せる決心がつくまでかかった時間ということで大目に見て欲しい。あんなにインスタで大々的に感想載せます!とかほざいてたけど。




隠してもしょうがないので正直にいうと、この映画、めちゃくちゃ好みがはっきり分かれると思う。内容的にも、表現の方法的な意味でも。


まず何がすごいかって、カット数がえげつない。1秒で2カットくらい切り替わったりする。映画はもっぱら見る専門で撮る側のことなんて何も知識がない私でもわかる、えげつない。この監督、やばい。


そんなカット割に加えて要所要所で出てくるロケーションや照明も、俗に言う「エモい」が不自然なまでに凝縮されていて、ああ、この監督MVとか撮るの上手いんだろうなと感じた。短い時間で多くのことを詰め込むのが上手い。



例えば、この物語の舞台でもあるオリンピックに向けて急速に再開発が施されていく豊洲の、コンクリートが織り成す夜の無機質な明るさと、私をもっと見て、私を見て!と言わんばかりの派手なネオンに染められた渋谷の街。こういうひとつひとつの対比を、監督も短いシーンの中で全力で見せつけてくるから「エモい」が大渋滞を起こす。エモいが高濃度すぎる。

この目まぐるしいカットと監督こだわりの映像美が、映画の最初から最後までの2時間ちょっと、フルスロットルで繰り出されるもんだから大変。内容云々の前にこの時点で性に合わない人は席を立ってしまうかも。





肝心のストーリーはというと、自分の価値を自分自身では見出せない自己肯定感の低い女の子が急に3人の男の子に言い寄られたことで「愛されてる」という意識にほだされ、3人の間をふらふらする話。




もしかしたらこんな薄っぺらい内容じゃない!ガキがイキって要約すんな!って怒られちゃうかもしれないけど、現役高校生の頭ではこれが限界。既にもう頭パンクしそう。




主人公成田初のどっちつかずな態度や、それでいて他人に依存するのもさせるのも上手い、他人をとことん巻き込むスタイル。


結局愛されているのが一番気持ち良くって、誰かに見ていてもらわないと、肯定してもらわないと不安になって、可愛いって言ってもらえるなら裸だって見せちゃう。


初の行動はどれも私には正直理解し難かったし、分かりたくもない。



けれど、そんな相反する彼女の姿に心のどこかで共鳴しているのは確かで、どこか自分の心の中に土足で入られて、舐め回すように観察された後中身を晒されているような気分。

居ても立っても居られない恥ずかしさがこみ上げて来て、胸の奥がむず痒くなった。



自分とは何か。自分だけでなく周りにいる誰も彼もがふわふわして、彷徨ってる高校生という生き物には、存在価値を自分で見出すなんて難し過ぎる。

まだ高校生だから、他の誰にも真似出来ない誰かになりたくて、でも全然なれなくって、だからこそせめて誰か一人のとっての唯一無二になりたい。けれど、されど、もう高校生だから、その関係すら永遠じゃないことくらいわかっている。

このもどかしい気持ちが、同世代だからこそ痛いほど共感できたし、17歳の今、この映画に出会えてよかったと思う。




ラスト数分で畳み掛けてくる怒涛のポエムチックなセリフの応酬では、永遠じゃなくてもいい、「今」一緒に居たいと思わせてくれる相手に出会えたことで、そう思える自分の価値に気付くことができた初をみて素直におめでとうと言いたくなったし、それと同時にそんな初が羨ましくなった。




鑑賞後、情報量の多さと大変な物を観てしまった…という達成感みたいなものでぐったりしてしまったし、観るのに体力がいる映画だった。それくらい、伝えたいことが詰まってる作品だったのだと思う。

理性を通り越して心臓に直接訴えかけてきたからこそ、映画を観て感じたことを風化させないために感想を残しておきたかった。



ひょえ〜〜!なんか読み返したら小っ恥ずかしくなりそう!お読みいただき有難う御座いました。







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