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自治体が富裕層観光に取り組むべき理由

日本のツーリズム産業の課題

2018年の年間訪日観光客(インバウンド)数は初めて3,000万人を突破しました。

順調に増加するインバウンドに大きな期待を寄せられていた一方、日本各地の観光地でオーバーツーリズムの問題が表面化するなど、観光客の「量」から「質」への転換が求められていた矢先、COVID-19が世界を襲いました。

足元、ツーリズム産業は大変厳しい環境下にありますが、日本のツーリズム産業が取り組むべき課題は、COVID-19以前とCOVID-19終息後とでは変わらず、「質」の向上にあると考えます。

大量生産が可能な製造業では、良い商品をいかに安く提供するかが評価され、日本の得意とするところでしたが、サービス産業において、良いサービスを安く提供すれば、働く人々は疲弊してしまいます。

上質なサービスを、適正な価格で提供するよう、ツーリズム産業として構造改革を進めるべきです。


拡大する富裕層観光需要

世界に目を向けてみますと、富裕層人口は年々増加傾向にあり、富裕層観光の需要の取り込みをそれぞれの国や都市が戦略的に取り組んでいます。

日本は、成長著しいアジア諸国の近くに位置し、地理的にも有利であり、また、食や自然、文化など、魅力的なコンテンツに恵まれていますが、富裕層観光への取り組みは遅れているのが現状です。

「富裕層」を一括りにして、5つ星ホテルの誘致やプライベートジェットの発着受入など、単に高価格帯のサービスを揃えれば良いという訳ではありません。

勿論、必要条件として、富裕層のニーズを満たすハード面の整備も進めるべきですが、それ以上にサービス開発や人材教育など、ソフト面の充実が極めて重要です。ハコモノを優先して、人材の供給が追いつかないと、結局、失敗に終わってしまいます。


自治体が富裕層観光に取り組むべき理由

ツーリズム事業者のみならず、地域の自治体の取り組み姿勢も問われています。

住民サービスを優先し、観光政策が後回しにされたり、これまでのの延長線上として観光を捉えていては、時代から取り残されてしまいます。

観光産業が主力産業である地域こそ、富裕層観光に取り組むべきです。

国内外の先行事例を研究し、それぞれの地域の特性を生かしたサービスやコンテンツの造成を地元事業者と連携して行い、率先してプロモーションすることが求められます。

富裕層観光は、地域内で高い経済効果を見込め、地域社会や住民にも大きな恩恵があります。観光政策は産業政策であり、等しく平等に提供する住民サービスの発想で考えてはいけないのです。

産業として捉えた時、どのような人に来てもらいたいのかー。自明のことではないでしょうか。

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