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【2018年版】IT業界のSESについて

SESとは

はじめにIT業界をよく知らない人向けにSESを説明します。SESとはSystem Engineering Serviceの略称で業務対象の納品などを目的とせず、技術者としての労働を提供するサービスのことです。
もっと砕けて言うと作ったものを納品しないで、お客様のオフィスにお邪魔して一緒に仕事をするってことを提供するサービスです。


SESの契約について

SESの契約形態は原則として準委任契約です。派遣契約の場合はSESと呼びません。最初に説明した通り請負契約とは違って納品がありませんが、準委任契約ではどうやってお金を貰うのでしょうか?

答えはパートやアルバイトと同じように「働いた時間を清算する」です。
契約内容はだいたい月に140〜180時間、お客様先で働くと定めます。
150〜190時間とか、160〜200時間の契約もあるみたいです。
作業した月の末日に作業報告書を書いて「働いた時間」をお客様に報告します。お客様の同意が取れれば、請求をして支払いをしていただくという流れです。契約時間より少なければ金額は控除となりマイナス、契約時間より多ければ加算されて金額がプラスになります。

よく勘違いされるのですが、派遣とは違い準委任ではエンジニアへの指揮命令権はエンジニアが所属する会社にあってお客様側にはありません。労働時間や作業内容について決めるのはエンジニアが所属している会社の責任者です。指揮命令権がお客様側にある場合は派遣契約です。


なんでSESが存在するの?

エンジニアを採用して育成することは非常に大変なことです。
システム開発を本業としていない会社はどうやってエンジニアを採用や育成をしたらいいかが、わからないことが多いのです。
大きい会社には情報システム部やシステム開発部という部署が存在しますが、これらは会社の本業に対しての貢献がゴールであってシステム開発そのものがゴールではないのです。
エンジニアを採用できたとしてもシステム開発を本業としない会社がどのようにエンジニアを評価して育成していくのでしょうか。
会社で評価されないので転職するというのはエンジニアも一般的な職業と同じなのです。
そこで我々のようなプロがシステム開発業務を代わりに遂行するのです。
運送業は物を運ぶのが本業ですが、車を修理したり、ガソリンを管理したりすることは本業ではありません。車を修理する役割は自動車整備士にお願いしますし、燃料はガソリンスタンドにお任せします。
このようにシステムを開発したり使用するにあたって、SESの需要というものが存在するのです。


SESのお金と契約期間

弊社のSESサービスを基準にして月額の目安を作ってみました。
複数社による多重構造による中抜きもありますが、ここでは純粋にエンジニアの価値についてお話するだけに留めます。
IT業界は未経験に厳しいという声を何度も耳にすることがありますが、実際にはその通りだと思います。
調理場に立って1年目の新人料理人と、何年も勤めている料理長とではスキルと知識に圧倒的差があります。専門性のある職業では弁護士や医師だって同じです。難しい仕事にはお金がかかりますし、難しい仕事をできる人は少ないのです。なので価値が生まれます。

契約の期間は3ヶ月からのところが多く、最長で1年は見たことあります。
契約期間中は月ごとに請求と支払いが発生します。
契約期間で1ヶ月のものはほぼ存在しないです。1ヶ月〜2ヶ月の契約なんてエンジニアは仕事しながら次の仕事探さないといけないので、業務で成果が出せないのが目に見えてます。断言しますが1ヶ月〜2ヶ月の契約内容は働く人の行動を妨害しています。もし利用されているお客様がいらっしゃったら、直ぐにでも契約内容を見直すことをお勧めします。


どうやったらSESは利用できるの?

開発会社に対してSES契約での仕事依頼は営業を通すルートが大半です。Sler(エスアイヤー)と呼ばれる会社や、エンジニアを紹介するエージェント会社がお客様の業務やシステムにスキルマッチしたエンジニアを参画させるという流れが現在は主流となっています。
SESが多重請負となる構図はこの営業を通るルートが必要になってしまうからです。営業だって仕事すれば人件費が発生しますし、契約手数料や管理費だって必要になりますから当然のことです。

お客様側のアプローチとしては図の青い線と赤い線の2種類があります。
青い線のルートとしてはオフィスで一緒に働いているエンジニアに直接相談します。エンジニアは取引や契約のことについて知らないことが多いので相談を受けた後は上司に相談し、営業に話がいき、新たな契約からサービス利用開始までの流れとなります。

一方の赤い線は直接開発会社に問い合わせ行うルートを示しています。
実は我々はこのお客様からの問い合わせに胸を踊らせ、十分な歓迎の用意をして、いつでもお待ちしているのですが、残念なことにお客様から直接開発会社に問い合わせがあったことは皆無です。

上記のことからお客様からの相談ルートは青い線が99%を占めています。
もしお客様が少しでも費用圧縮を考えているようであれば赤い線のルートを使用してみることをお勧めします。弊社に限らず小さな開発会社でも優秀なエンジニアは沢山います。
エンジニアがオフィスに来て作業してくれることをゴールと定めないで、自社のプロジェクトのゴールを思い出して効果的なアプローチをすることを提言します。スタートアップの会社や、新規自社サービスの開発の際は特にお勧めです。


まとめ

実はSESのメリデメの記事を書くことを準備していたのですが、その前に説明しておかないといけないことをまとめてみました。
また弊社では新しいエンジニアリングサービスも用意しているので、その前段階の説明記事として書かせていただきました。
ご質問などがありましたらTwitterでもお気軽にお問い合わせください。


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