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IT業界でSESがクソって言われるのに対して実体験を元にした反論

自己紹介

筆者はIT業界10年目でインフラ構築運用からシステムやアプリケーション開発までをエンジニアとして経験してきました。小規模な受託もやってましたが、SESの方が規模が大きいものが多いのでSESで育ってきたと言っても過言じゃありません。使用していた技術はCiscoのiOSから、AppleのiOSまで実務でやってました。今はマンハッタンコードというスマホアプリ専門の開発会社を経営しています。

この記事を書くに至ったきっかけ

最近IT業界でSESを叩く風潮にあるのですが、声の大きなものは感情論だったり、極端な例外に向けられた警鐘であったりしてビジネス的に理解できるものが少なかったので、私の実体験と弊社のSESサービスを元に反論していきたいと思います。
同じ仕事をしてない方に自分たちがプライド持ってやってる仕事を否定されて笑えるかっていうのが正直な動機ですw

SESとは何か

まとめて見たので下記の記事をご覧ください
弊社のサービスを参考に金額の目安なども記述しています


SESへの暴論に対する反論

上記のまとめは非常によくまとまってましたので参考にさせていただきます。あくまで反論であって悪意はありません、むしろ問題点をまとめていただけているのは非常にありがたいと思って敬意すらあります。

[本文引用] SESは何の価値も生み出さない

反論:価値はあるよ
エンジニアがシステム開発という仕事や業務を経験し、スキルアップやキャリア形成になります。未経験からでもプログラムの勉強をはじめ、自分でサービスを作れる人はいらっしゃると思いますが、何百・何千万というサービスへのアクセスをコントロールする経験は誰にでもできることではありません。また我々の仕事はチーム開発で行うことが多く、これらの仕事は1人で行うことはできません。お客様とのやり取りなどが独立後にはとても良い経験になります。
SESでも、請負でも仕事をすればエンジニアの糧になり、成長していくことができます。エンジニアが成長することが価値だと考えることができます。

またお客様が出来ないシステム開発という役割を代行することにより、お客様が本来の業務に集中できるため十分に社会的な価値はあると思います。

なお記事内で米村さんは「派遣法を完全無視して節度のないピンハネを行なっている」ということが価値がないことだと言われていますが、そもそもSESは準委任契約によって結ばれますので、労働者派遣法ではありません。単なる民法ですので双方ともに関連する法律が違います。
準委任契約の内容は当事者間の自由ですので、自社、エンジニアの都合、お客様のご要望を十分に加味して契約を結ぶことができます。

[本文引用] 偽装請負が横行している

反論:偽装請負は違法行為ですが、横行はしてないよ?
弊社のSESサービスでは管理責任者が日々エンジニアが何の作業をやってるか把握しています。お客様にもこの契約の性質をご理解いただき、お互いに相互協力のもと業務にあたっています。
指揮命令権についてはお客様が誤解をなさるケースが多いのだと推察しますが、説明するとご理解いただけるケースが大半です。もしご理解いただけないようであればリスク回避のため契約を終了するだけです。
IT業界だけでなく、一般的にどの世界でも同じだと思います。
労働者を守るための義務や責任を果たすために会社や責任者は毎日努力しています。

[本文引用] まともな労務管理が不可能

反論:弊社は労務管理できてるけど、まともに管理してないところもあるんじゃない?
弊社では毎日現場に着いたらSlackで勤怠連絡を入れてもらって、業務が終われば日報を提出してもらっています。超過労働は会社始まって以来、代表の私が月182時間という不名誉な記録を作った以外に従業員では発生していません。
3年間で従業員の平均月間勤務時間は160時間です。
有給取得などでお客様と調整が必要だと言われていますが、自分の業務に他人や他社が関われば基本的にどの職種でも休みの取り方は同じです。営業でも役員でも同じように調整して休みをいただいてます。
体調不良に関しては弊社にいる管理栄養士が健康指導をして、風邪を引かない身体作りを行なっています(私は筋トレアドバイス担当)

実は出勤や退勤時間に対して他社からあれこれと言われたことはあります。
その時の内容は「業務委託の人の休憩時間は12時から1時間と決める」という通達を頂きました。
営業経由で「派遣契約と委任契約は内容が違うので、休憩時間をお客様が定めてしまうのは違法行為になってしまうのでダメです」とお伝えしたところ、なぜ違法になってしまうのかをご理解いただけました。誰にだって間違いはあります。これは実績として3年間で1社だけでした。

現実的な問題としては米村さんの言われる通り全ての会社が弊社のような対応を行なっているかはわかりません。
所属しているエンジニアがビジネスとして関連する法律の内容と、取引契約の内容を理解して行動し、お客様へのご説明を丁寧に行えば問題になることがないです。
違法になるようでしたら我々ではなく弁護士や相応の機関に相談します。

[本文引用] 長時間労働になりやすい

反論:場合によるけど、やり方次第でならないケースがほとんど
我々は基本的に契約によるお仕事をしています。長時間労働にならないように不利益を取り除いて契約を結ぶことはビジネス上では基本的なことです。
お客様だって長時間労働は好きではないのです。
プロジェクトのタスクを整理して優先順位を提示し、1日に自分たちができる作業量を伝えてお客様に選択してもらいます。無理なことは早めに無理と伝えて調整をしてもらいます。
仕事の流れをスムーズにすることで長時間労働になること自体があまりないです。もしなる場合はエンジニアの働き方に問題があるので、弊社では個人に指導しています。
お客様の中にはご自身のやり方をどうしても通したいという方もいらっしゃいますが、話し合いで解決できないようであれば契約を更新せずに取引を終了します。我々は文化を壊したいのではないので、相容れないのであればお互いを尊重するために一度距離を取ることは仕事以外でも同じです。

経験上、自分が開発しているシステムやサービスがリリースしようとしているときや、どうしても実現させたい機能がある場合などはある種のお祭り状態なようなものなので、確かに「気づいたら22時!」なんてこともありびっくりするときはあります。こういう時は振り返って自分のタイムマネジメントを反省します。これは個人の問題です。

[本文引用] 構造的に生産性を下げる

反論:生産性を下げることはない
業務効率化をして嫌われた経験は皆無です。もしお客様からそのようなことを言われたら思想や文化の違いですので契約を更新せずに取引を終了します。

契約時間の縛りのために無駄に残業することもありません。
確かにカレンダー通りに出勤すると1月、2月、5月、8月、9月、12月の半年間は連休や指定休日などがあり160時間に届かないこともあります。
ですが従業員に無理を言って出勤させたり、無駄な時間に残業させることはしていません。お客様のお金だって無駄にするわけにはいかないからです。
こういった条件を加味した上で金額や契約内容を調整して、お客様との契約を結ばせていただいております。

組織的な経験値が積まれにくい構造となってしまうこともありません。
弊社ではエンジニアが現場で経験してよかったことは自社内のLT大会やプロジェクトの振り返りで共有されていますし、調査や機能検証のために作ったサンプルアプリなどはgitに保管して共有しています。
これによって他のお客様にも良い提案をすることができたり、工数圧縮になったりするので、非常に喜ばれていることでもあります。
ただプロジェクト解消以外にも転職や退職によって経験が失われることはあります。しかし、これはどの業界でも同じ悩みだと思います。
働く人が喜ぶ環境を作ることは経営者や管理者として大切な役割です。

[本文引用] エンジニアをダメにする

反論:ダメにならないです(断言)
エンジニアとしてスキルが足りてないことはたくさんあると思います。
もっと意のままにプログラムを操ることができたら、もっと効率の良いロジックを組めたら、もっと耐久力の高いシステム構成を設計していれば、などなど。
私も未だに自分のエンジニアスキルが足りてないと痛感することは多々ありますが、エンジニアは魔法使いではないですし、神様ではないので当然です。そして能力を上げるためには仕事や業務で経験を積んだり、自分で勉強をしないといけません。

スキルに見合わないプロジェクトに放り込まれたらスキルアップしないのでしょうか?
私はこの因果関係がわかりませんでした。むしろ逆だと思います。出来ないことに挑戦するのだからスキルアップするのではないでしょうか。
ただお仕事なので、出来ること・出来ないことを整理してお客様に説明し、出来ないことはどうやったら出来るようになるかを模索するしかないと思います。これはエンジニアでなくても何の仕事でも同じです。

以上の理由からなぜ未経験でSESに行くのがエンジニアをダメにするのかは私には理解できませんでしたが、米村さんが警鐘していた無料プログラミングスクールには確かに注意が必要だと思います。

プログラミング=エンジニアリングではありません。個人差はありますが、スクールを卒業したからといってすぐにエンジニアとして働くことはあまりオススメしません。コーディングするだけがエンジニアの仕事ではないからです。
「焼く」という作業だけ覚えれば料理人と言えるでしょうか?
食材を加工すること、味付けをすること、盛り付けをすることなど、これらのスキルを合わせて料理人と言える人材が誕生するのです。
コンピューターの世界は幅広く、それぞれの分野が深いので、焦らずにエンジニアになることをオススメします。

[本文引用] 日本のIT業界をダメにする

反論:IT業界をダメにしてないよ
なんだか米村さんの記事を読むと弊社のサービスとは違うSESが世の中に存在しているように思えてきました。
弊社のサービスでは、SESに価値がありますし、偽装請負にならないように契約結んでおりますし、労務管理は行えてますし、長時間労働は発生してませんし、生産性を上げるように行動していますし、エンジニアをダメにしてもいません。
広く技術が浸透するように無料でセミナーを開催したり、毎週土曜日に有志で勉強会を開催したり、Qittaなどで技術的な記事を書いていたりと、我々は我々で世の中に貢献しているつもりです。
これらの行動のどの点がIT業界をダメにしているのかは疑問です。
業界に対する啓蒙が主旨だということはわかりますが、些か声が大きすぎるのではないかと思います。
また否定をするのであれば提案をするのが大人のマナーだと思います。

まとめ

米村さんの記事を使って反論をしてみたのですが、SESサービスに問題があるというよりも、別のところに問題が介在しているのではないかと考えることができました。
今回の記事はあくまでSESサービスに付けられてる暴論だと思ったことに対してを経験と共に反論してみよう企画です。なのでSESに付帯する問題については別で記事を書こうと思います。
確かに思う節は色々とありますものでw

私はSESというサービスを通してエンジニアとして育ってきたので、良いも悪いも経験してきました。その経験からより良いサービスを提供しようと仲間たちと会社を立ち上げています。このサービスが多くの経験と技術の発展により昇華して、新たなIT時代に価値のある商品になるビジョンを提案し続けています。

最後になりますが、私は私でIT業界の行く末を思って米村さんの記事についておかしいと思う点を反論しただけであって、米村さんをディスっているわけではありません(名前出せば反論して良いって書いてあったので)
これは私の実体験や経験から記事を書いているので真似をなさるようであれば、その時は自己責任でやってください。


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