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JOHNNYS' Word Next Stage 2023──帝国劇場

 秋頃から界隈を賑わせる大きなニュースが続く中、個人的になかなかの衝撃があったのがこの公演のお知らせだ。
 開催自体は想像内であったが演出が3人となり、昨年の公演からは人数を絞っての開催となった。
 ※印以降、キャストを記載


公演概要

期間
 2023/1/1~1/26 於帝国劇場
 ※一部公演にメンバーの抜け有、11~16日の公演は中止
出演
 HiHi Jets 美 少年 少年忍者(所謂5忍者7忍者) Go!Go!Kids
 フレッシュJr.
メイン演出
 東山紀之 堂本光一 井ノ原快彦


物語

 想像の中の人物となってしまったジャニー氏の教えを伝える というのが大筋としてあり、これを軸に様々な物語が展開される。帝国劇場で歌われてきた曲をアレンジしたり、昨年とは違うメンバーで歌い継ぎつつ、和の要素、中国武術、ジャニーズの歴史等が織り交ぜられてた。
 何より13月を探さないことの衝撃が強く残る。

 御大の教えを伝えるのは台詞だけではない。新曲の「天からの手紙」もだ。(作詞 堂本光一)
 これを歌うときにジャニーさんのことを思い出してほしい、歌い継いでほしいと願う詞には御本人の言葉やインタビューから抜粋した単語を織り交ぜてあるという。
 直接話を聞き、教えを請うてきた時間の長い目線で捉える輪郭は私たちがYouTubeや雑誌などを超えて見る印象よりも堅実で言葉に重厚感があった。


─戦争

 昨年のIsLAND公演では1月から12ヶ月を順に回っていく中に混ぜ込んだ戦争のシーン。華々しいジューンブライドや魅せ場のひとつだったSWING SHIPを削り、戦争のシーンをかなり濃くしているのが今年の公演だ。ジャニー氏が度々舞台作品の中で伝えてきた強い反戦への思いを若い世代へ伝えたいのだろう。


 そのうちの一つ、東京大空襲。逃げ惑う人々の中での兄弟のシーン。
小さな男の子がはぐれた兄を探す。やっとの思いで見つけた兄は横たわっており、話すことすら精一杯。そんな兄が最期の力を振り絞って「俺はお前の姿がもう見えない こんな兄が居たことも思い出してくれ」とつぶやき息を引き取る。

 冷たく放たれた四肢にしがみつき「お兄ちゃん」と叫ぶ幼い声がまた切ない。

 弟役は昨年からの続投となった上原と岡橋。2人で役について語ったこともあるという。何が語られたのかは分からないが学校教育でも濃く学ぶ年ではないだけに考え出して導いた解がこの演技。語らずとも継がれる思いがあるのだと感じた

 そしてこのシーンが後の猪狩の台詞に直結する。
 ※兄:豊田 弟:上原/岡橋



 原爆投下は昨年はなかったシーンだ。 
 痛いほどの熱さとはどのようなものなのか。息が熱い、水深の浅い川に飛び込むほどの熱さとは。火傷を負い、服の繊維が肌につき、煤だらけになった身体は。
 曇りがかったオレンジ色の背景に飛び込んできたのは作間。そのまま『急げ!若者』を歌い出す。

 普段、淡々と踊る印象なだけに演技でみせる悲しみの表情で歌われると感情が揺さぶられ、つい見入ってしまう。だがソロパートが終わりダンスやアクロバットが絡んでくると一変して"いつもの淡々と歌って踊るさくちゃん"に戻るのが愛らしい。
 それにしても皆が肩で息をするほどきつそうなナンバーも淡々と踊る作間……さて何者?

短い命なら
せめて散るときぐらい
美しく散りたい
恋人よどうか泣かないで

急げ!若者 作間ソロパート



 猪狩の台詞も印象的であった。昨年、本当はラップがやりたかったと話していたシーン。言葉選びが大変だったと語った公演を終え、それを基盤に大きく変わった社会情勢を踏まえて今年の台詞を作ったのだろう。
 それにしてもここで猪狩と上原の絡みがあるのはとんだ伏線回収だった。 猪狩を尊敬する先輩だと慕う上原、そんな上原を本当に可愛くてと語る猪狩、この関係性を知っているとより深みが増す──



 継続で言えば手紙のシーンも挙げられる。今年は穴澤利夫さんを井上、若松藤夫さんを引き続き川﨑が演じる。

 「今は徒に」で始まる静かな場面。昨年とは違い椅子に座り淡々と読み上げ、最後に『君にこの歌を』をアカペラで歌う。※舞台袖演奏:青木
 これがまた切なく、手紙の最後に少しこぼれる本音がより一層儚さを孕んでいた。

 インタビューなどでは特攻隊を演じる姿を自身の注目ポイントとしていた井上。稽古場では感情が高まって感極まることもあったが、ここはお客さんが泣くところだからと、演出家東山からの助言も明かされた。

 
 一方の川﨑は若々しく、フレッシュに家族への感謝を述べていく。優等生なイメージのある川﨑によく合う役だと、映像や舞台で見るたびに感じている。
 手紙の終盤、トランペットの音と共に彼がまだ少年であったことを思い出させる台詞に入る。「死にたくない、生きたい」どんな思いを抱えていても刃向かえない現実に彼は飲み込まれていってしまう。
 ※穴澤利夫:井上/浮所

 
 白の軍服に身を包み、全員が定位置に着いたあとさっと登場する髙橋。ここからはライフルのシーンに突入する。この寸分の違いも許されないような緊張感の中で0番髙橋優斗、格好がいい。纏うオーラや圧倒的な存在感で目を奪われた。
 ダンスでセンターという不安感を与えさせない正確さ、まっすぐ前を見つめるまなざし、若さの中に意志を感じさせる表情が強く優しい本人にぴったりだ。



 そしてGo!Go!KidsとフレッシュJr.によるTriangleに繋がっていく。
大人びている衣装や舞台のイメージと声の高さとのギャップがぐっとくる。ここではソロパートもあり、今までどんな声で歌うのか分からなかった子どもたちによる緊張感のある生歌がより涙を誘う。

 私は個人的に、大人になったときにはこの歌詞をもう一度読んでほしい。この歌を、帝国劇場で歌ったんだと思い返してほしい、そんな願いまで抱いている。



─平和

 パッションガチャと呼ばれしシーンがここ。暇だ暇だと嘆く若者の中で熱く未来を語ろうとする橋本。そして"気付かせて"あげるのが織山だ。
 これを読んだだけでは何のことだか分からないだろうが、劇場に足を運んだ私もよくは分からなかった。

 ただ、井ノ原快彦が目をさらに細めて微笑みがら平和を語ったであろうことと、このシーンを同様に歴の長い井上と日替わりで演じさせたことには熱い意図を感じる。
 ※橋本チーム:ヴァサイェガ、黒田、
  井上チーム:井上、金指、内村

 その中でジャニー氏を演じる(?)のは昨年、7 MEN 侍の演奏の後ろで13月ってなんなんだよ!とキレ散らかしたのも未だ記憶に新しい織山。「その通り~!」黒い帽子をかぶりゆったりとしゃべり出す様子がどことなく怪しい。

 散々パッションだ怪しいだと書いてきたがおそらくこのシーンはおそらく"先人たちがやっとの思いで手にした平和を守って次の世代へ繋いで行こうぜ"、という彼の教えの根本に追求したシーンだ。演出井ノ原快彦、婉曲のクセ。

 ここで橋本は織山からかぶせられた黒のキャップを十輝へ受け継いでいく。公演の趣旨"思いを伝える"を帽子を用いて可視化させたのだろう。
 まだ小さな身体にかぶせられた黒のキャップが異彩を放つ。不格好ではあるがそれが良い味をだしている、といったところだろうか。

そして入る休憩アナウンス
 十輝「YOU、休憩行っちゃいなよ」





SHOW TIME

 2幕は一言で表すと怒濤。
各曲で細かく導線が割り振られており、早替えもあり相当リハーサルは過酷だっただろうと考えている。

 Act-Show、宙船と開幕早々踊り狂う出演者たち。やや不可思議でもジャニーズエンタメをみているなあという実感が募っていくのがこの2幕の楽しさだ。屋良、五関、岩本といった先輩方の振り付けが盛り込まれ、一体感をも感じさせる。
 H・A・Fの端くれの私があの振り付けガリさんっぽいなあと感じ、後に伝記や雑誌でそうだと明かされるように、彼らのファンにとっては見たらわかる!といったところだろうか。


 中でも「夜空ノムコウ」はジャニーズファンに限らず多くの人にとって耳なじみのある曲だ。それをGo!Go!KidsとフレッシュJr.で歌う。これまた変声期前後の歌声が染みる。

 すでに歌に定評のある大東、十輝を除いて個人的に一際目立っていたのは三村航輝くん。公演パンフレットにてハイトーンボイスを挙げていたがまさしく将来が楽しみな歌声だった。たったひとフレーズでも昨春のExperienceのステージには立たなかった所謂兄組の歌声が聞けるのが趣深い。

 怒濤の2幕のなかで原点回帰の曲でもあり、これから始まる若い世代の始まりをも示しているようだった。



─伝統の継承

 WorldやIsLANDに限らずジャニーズ事務所では数々の舞台作品を上演している。今作ではPLAY ZONE、ジャニーズ伝説、SHOCK、DREAM BOYSの楽曲も採用された。
 ステージの後ろには作品の映像が映し出され、その前で今回の出演者が代表曲を歌っていく。

 PLAY ZONE、通称プレゾンの概要について以下にWikipediaの情報を引用する。参考程度にはよいだろう。
 披露したのは『Lets Go To Tokyo』 昨年の公演でも披露してきた楽曲だ。やはり冬の帝国劇場でこれを聴かないわけにはいかない。

 少年隊デビューの翌年1986年夏に青山劇場で初演され、毎年夏に上演し続けているオリジナルミュージカル。2008年8月31日をもって23年続いた少年隊出演の『PLAYZONE』は終了。少年隊の通算公演は957回、観客動員数は138万465人となっている。
 2009年からも『PLAYZONE』の名前は残したまま後輩が受け継いで上演してきたが、2015年、青山劇場の閉館に伴い公演も終了した。通算公演回数は1232回、動員数は173万7450人を記録した。

Wikipedia


 続くのがジャニーズ伝説。「伝説」や「ジャニ伝」の愛称で親しまれている。22年の公演にはジャニーズJr.から7 MEN 侍、SpeciaL、少年忍者(一部)が参加した。

 ここから耳なじみのあるイントロで『Never My Love』が始まる。橋本、岩﨑、浮所、北川という優しい歌声で歌う英詞がバックで流れる映像とリンクし帝国劇場を自分たちの速度に変えていく不思議な力があった。


 SHOCKからは『SOLITARY』を披露。堂本光一代表作と言っても過言ではないこのシリーズは23年の公演も発表され、いつかこの作品にこの子たちが……!という淡い期待を抱かせた。
 作間担が好きそうな作間くん、ここにいます。


 DREAM BOYSの『Next Dream』は優斗懇願の一曲。もう一度言う。髙 橋 優 斗 懇 願 の 一 曲 だ 。ねえどうする?昨秋のRivalからドリボが見えた話でもしますか?(しません) ※HiHi JetsはDREAM BOYSのために呼ばれたグループです。
 HiHi Jetsからは猪狩も参加。あまりの感慨深さにNext Dreamで泣けるようになりました。私が。


 最後にジャニーさんへ語りかけてこのコーナーが終了する。
これは優斗と劇場でともに時間を過ごした人との秘密にしておこう。円盤が出たら買った人とも。



─新曲 NEVER STOP -DREAMING-

 私のメモ書きにはSMAP、ゆったり の二つのみ書き残されたこの新曲。コンサートで頂く新曲の系統が定まってきただけに舞台や映像作品で頂く新曲へ変化球を求める、その欲を満たしてくれた。

 歌詞はタイトルよろしく、夢を諦めない を強調している井ノ原快彦プロデュースの新曲。近年SMAPの楽曲を選んでカバーしてきただけに妙に腑に落ちる。三宅担の私、あの人こういうの好きよねぇ、とも納得できてしまえている。 CRUSH THE FRONTLINEのメドレーのように原点回帰の一曲となりそうだ。

 久しぶりの5着お揃い衣装



 公演初年度から出続けたメンバー、途中参加、何公演か開いての参加。
それぞれ冬帝劇にかける思いがすれ違うだけにここから育っていく出演者たちの未来がそれぞれの作品のように花開く未来があることを願うばかりだ。 



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