着物の事なんて全然わかっていなかったのに
呉服屋さんのひと言によって出場した
きものの女王というミスコン。
そこでの「へーんしん(変身)！」体験が
着物との本格的な出会いとなりました。
いつかは着付けを勉強してみたい。


けれど、その”いつか”は随分先の事となりました。


というのは
ミスコンに出場をした翌年には地元札幌の百貨店に就職。
恋も仕事も全力投球。(自分で言うか)
そのため、着付けを勉強してみたい！なんて気持ちは
いつの間にかどこかに消えていたし
花火大会などで浴衣を着る機会はあっても
そのシチュエーション自体にテンションが上がって
そこから先には進みませんでした。(若かったなぁ自分笑)


その後、札幌の百貨店から東京のラグジュアリーブランドへ転職。
憧れの東京、憧れのラグジュアリーブランドでの勤務は
全てが新鮮で、とにかく東京生活をエンジョイしていました。
けれどそのうち
バリバリ働いて出世しなければ
いい生活を送らなければ
素敵な旦那さんを見つけなければ
というしがらみにがんじがらめになり
自分を追い込みまくりました。
その結果、体を壊しドクターストップ。


今思えば、笑ってしまうような”しがらみ”だけれど
その時の自分には、それがデフォルトでした。
そのため、それまで正社員としてバリバリ働いていたのに
会社を辞めて、失業保険をもらう事になった現実が
全く受け入れられませんでした。
毎日泣いては自分を責め、気づいたら
体重が４キロも減少。


でもその時
このまま落ちていくのは簡単だけれど
こんなに笑えるほどスムーズに落ちていいの？
本当は新しい事にチャレンジして
キラキラしたいんじゃない？
ふとそんな声が聞こえてきました。


そこからなぜか
「着付けを習いたい！！」と急に思い立ち
着付け教室を探す事に。恐らくは
大学４年時のあの変身体験や
祖母、母の着物姿に憧れていた自分が
グイグイ出てきたのだと思います。



様々な着付け教室を調べる中で
ワンコインで着付けが学べるとか
全６回で着物が着られるようになるとか
そういった所には全く惹かれませんでした。
初期費用はかかっても、安心できる場所で
自分が納得のいく学びをしたい。
そう思った瞬間、直感で”ここだ！”と思った
着物教室にコンタクトを取り
体験レッスンへ行く事になりました。

ちなみにその着付け教室は
自分に叙勲をあげたくなるほど
素敵な所でした。笑


たいてい着付け教室というのは
複数の生徒に対して一人の先生が
授業を行うスタイルが多いらしいのですが
そのお教室はマンツーマンで１レッスン２時間。
それが計１６回続くので、約３～４ヶ月で
お洒落着、浴衣、留袖までを一人で着られるようになる
コースでした。(留袖=既婚女性が着用する最も格の高い礼装)
また、ただ着られるようになればそれで終わりではなく
着物の歴史や背景を学べる他、
様々な反物にも触れさせてくれる場所だったため
着物で仕事をしていきたい方も多く通う教室でした。
(反物=巻物のようにくるくると巻かれた仕立て前の布)


そして何より私が幸せだったのは
とっても素敵な講師の方々との出会い。
全国各地にあるお教室を統括する校長先生はもちろんの事
私が通っていたお教室の先生は
噓でも何でもなく太陽みたいに輝いていて
私はその先生の事をパワースポットと呼んでいました。
そんなパワースポット先生が
会社を退職してお先真っ暗だった私を
新しい世界へと連れて行ってくれたのです。



正社員として働いていた頃は
アレもできていないコレもできていないと
できない事探しをして自分をいじめ続けていました。
それに追い打ちをかけるように、様々なアクシデントや
クレーム対応に追われ、毎日心は悲鳴を上げている状態。
けれど、着付教室では
コレができるようになった、アレもできるようになったと
できる事を一つ一つ褒めてもらえる
まるでパラダイスのような時間でした。笑
そのおかげで、体調を崩して退職した自分自身の事も
少しずつ認めてあげられるようになり、しまいには
そんな自分を笑い飛ばせるようにまでなっていました。
あ、私ってダメダメ人間だと思っていたけれど
案外できるじゃん！着物は私にそう思わせてくれる
きっかけを作ってくれました。

この体験がきっかけとなり
私は着物にのめり込み始めました。
もちろん、すぐに着られるようになれるワケでもなく
また、自信をもって着られるようになるには
時間もかかったけれど、だからこそ着物は
私にとってのパワークローズだと気づく事ができました。



て、なんだか、身の上話をたくさんしてしまったけれど
次回からは、「しゃなえ的着物解釈」と題して
着物の事を全くご存じない方にもわかるような
着物のアレコレをYoutube動画と合わせて
ご紹介していきたいと思います！



最後に余談ですが
パワースポット先生が私に会った時の印象について
下記のように語ってくれたので、そちらをご紹介。


「２時間のマンツーマンレッスンを受けるだけの
体力、気力があるのか始めは本当に心配した。
(それほどに生気がなかった笑)
けれどこの子の中にある失いかけた光を見つけた時
絶対にこの子に光を取り戻させてあげなければ」

そう思ったそうです。


今思い出しても号泣できるそのお言葉。
そんな言葉をかけてもらえる方と出会えて
私はなんて幸せなんだと思いました。
そして、人とのご縁って
本当に大切だなぁと、かみしめたしゃなえでした。