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【北欧留学】あの場にしかない、あの時しかない。唯一無二の学校「フォルケホイスコーレ」


デンマーク独自の民主主義的思想を育む
通称人生の学校「フォルケホイスコーレ」

「そこで何を学べるの?」

行く前に聞かれて「ん〜、説明できない」と答えた。

行った後の今、聞かれるとしたら
「ん〜、、、言葉にできない」と言うだろう。



一言では伝えきれない


行く前は何も想像すらつかなかった私の頭に、心に、
一言では表せられない溢れんばかりの想いが募る
きっと一言にしたら、沢山の漏れがでると思う。

ただ、フォルケホイスコーレ(以下フォルケ)というのは
極論ただの建物であり、外枠でしかなく
学べること、感じることはその中の”人々”によって、
180度、いや360度変わってくる



デンマーク国内約70校あるフォルケは
選べる科目も全然違えば
例え同じフォルケで何ターム過ごしたとしても
実際の授業内容もその都度そのとき、そこにいる人々に合わせて変わる


例え同じフォルケで
同じタームを過ごした人同士で見たとしても
そのときその人がキャッチし感じる物事は、
一人ひとり全然違うと思う。


自分とそこに共にいる仲間(先生も含め)で
創り上げて行く、唯一無二の空間とクラス

そこからわたしが学び感じることもまた、
唯一無二なんだ。




クラスについて

subjectA,B,C,Dまで4つの科目を選択する。
1つずつ記録に残しておこうと思う。


SubjectA「life education」

福祉やスポーツ、気候変動など様々なメイン教科があるなかで私が選んだ「人生教育」

1週間の内、最も授業数の多いこのクラスは、
2人の先生が担当してくれた。


フォルケ愛の強い、熱い想いが溢れ出す先生
デンマークでは有名な教育思想家「グルントヴィ」についての授業や、
豊富なコネクションで様々な現地の学校見学に連れていってもらった。
毎週月曜日の朝担当だったこの先生は、
毎週必ず「週末はどうだった?」から始まる

生徒数約10人前後の全員一人ひとりに
惜しみなく時間を与え、向き合い、生徒の様子を確認する

”みんなが私の話を聞いていてくれる、
私はここに居ていい、居るべきなんだ。”


そんな感覚を覚え、
今の時代に、人間の本能的に
とても大切なものは何かを
先生の在り方から教えてもらったように思う。


社会人一年目、誰にでも平等で対等に
弾ける笑顔が印象的なもう1人のこのクラスの先生

「教育」を学びたいとの私たちの要望に、
Podcast作りやツアー、ゲーム作りなど、
実際の教育現場で活かせるスキルをプロジェクトを通して学んだ。

先生もちょうど私たちと同じタームで先生デビュー!
最初の方はたどたどしい印象を受けた。

だけどその先生はいつも、
私たちと同じ生徒のような感覚で
一緒に試し、一緒に探究する


私たちとともに、明らかな成長を魅せる先生は
本当に愛おしくかっこよかった。




SubjectB「culture&Xpress」

Aの次に授業数の多い科目。
自然、環境、自己理解などこれまた様々な教科があるなかで、文化表現を選んだ。

身体を使って、思いっきり騒いだり、何かを演じたり、表現してみたかった。


今までの私にとっては小っ恥ずかしいことばかりで
前に出るのを拒む私とは裏腹に

テーマである状況や心情、特徴を汲み取って
声や表情、身体を使って全身全霊で表現するデンマーク人のクラスメートの姿
プロでなくてもそれはもう圧巻だった。


「お母さん、喜び、スキップ」
をテーマに4人ひと組でショートストーリーを作った時だったと思う。

子どもの頃、学校から家に帰ってきた時に
お母さんを喜ばせる方法として
日本人の私は、100点のテストを見せる子どもを演じ、
デンマーク人の友達は、新しい自作ダンスを見せる子どもを演じた。
文化的違いまでも沢山感じさせられるクラスだった。


途中で先生が違う人に変わることもあり、
授業内容やスタイル、生徒の様子もまるっきり変わった。
フォルケらしさを表すような、おもしろい変化だった。





SubjectC,D

さらに、C、Dでは、ジュエリーやディスカッション、乗馬や料理、DIYなど
多岐に渡る種類の科目が用意されていた。

それと同じようにフォルケの先生は、
1人ひと科目だけじゃなく多岐にわたって授業を持つ

もうただの趣味じゃん、って見ていて思うほど
先生が一番楽しんでるのも
フォルケの先生の素敵なところ
である

ちなみに、
「フォルケの一番好きなところは?」と聞かれたら
先生同士が本当に仲がよく、先生たちが一番楽しんでるように見えるところ
と答えると思う。
それくらい人間的に全員が平等なその姿勢から、
学ばされることも多くあった。


1番覗き込んでるのが一応、先生
すごく素敵な、先生



授業以外の時間


放課後の復習タイム

3時半に終わった後の放課後は、
基本的に授業の復習タイム
他のクラスの友達と情報共有をしたり、
さらなる対話した。

「日本をよりよくしたい」
そんな想いを抱く日本人の友達とは、
「教育や福祉のこの制度、日本にも欲しいよね」
「その文化について、どう思う?」など
目を擦りながらでも沢山、対話をした。


総勢約60人の生徒のうち、日本人は20人弱と
比較的多かった2022年秋ターム。

本当に本当に素敵な出会いをした。
とんでもなく素晴らしい人たちである。
出会ってくれてありがとう、ここで共に学んだ同志が
日本各地で羽ばたいていることがとても心強い



夕飯終わりのアクティビティ

とにかくもう、やりたいことをやりたいだけ。
数年ぶりのニッティングやアート。
スポーツ、音楽やゲームに映画鑑賞。

その時の感情にただただ従う。
それはやるべき、やらないべきじゃなくて
やりたいか、やりたくないかって

小さなことだけれど、日々の小さな積み重ねで
鈍っていた直感が
閉ざされていたような心の声が
びんびんに聞こえるようになった。

そしてひとりではなく誰かと
その時間を共有する愛おしさと尊さを強く噛み締めた




その他多くのイベント

  • 1週間のスタディートリップ

  • 約30キロのウォーキング

  • チームワークを試す1週間のテーマウィーク

  • 地域の人と一緒にケーキパーティー

  • 選挙開票と擬似選挙

  • 授業そっちのけ1日クリスマスデコレーション

  • 夕飯終わりのアクティビティー

先生たちが沢山用意してくれたイベント。

どれも密かに隠れている先生たちの伝えたいこと
先生たちの予測を遥かに超える一人ひとりが得るもの
が沢山詰まった時間だったと思う。




シーソーのような感情

よく泣き、よく笑った
毎日新しい感情に出会っては、
自分自身と、他者と対話し続けた日々


「人間の悩みは全て、対人関係の悩みである」

嫌われる勇気/ 岸見一郎,古賀史健


約60人の生徒たちとの共同生活
その約4ヶ月の自身の感情は
シーソーに乗っているかのように
常に浮き沈みを繰り返していた。


できるだけ人に悩む姿は見られたくない性格だけど
何せフォルケは四六時中どこかしらに人がいる学び舎兼宿舎であり、ある意味逃げ場がない。


それでも劣等感や自信の無さという
長年の悩みの根源を、
やっっっと、ここであぶり出すことができた。

頭でわかっていても人はすぐに変われるものじゃないと思う。

だけどここで、諦めずに自分と対話し続け
見つけられたことは、
今後の自分自身の大きな救いになる。



私がいた、みんながいた。


とにかく”あったかかった”
幻のようなフォルケでの133日

毎日の朝の歌が、一緒に食べるご飯が、
沢山のイベントが、ハグが、

もうとにかくあったかかった。
楽しかった。居場所だった。

学んだスキルや知識は、大小含めると本当に言い切れない。

だけど一番忘れたくないのは、
そこに、私がいた、みんながいた。
そしてみんなで笑っていた、その事実だけ。

その記憶だけで心が満たされる気がする。


それでも時は変わらず流れ、
道は前にどんどんと広がっていて
みんなはそれぞれの道に進む。


そっと、決して消えないように、
あのあったかかった日々の記憶を
心の引き出しにしまって、時には引き出しながら
私も前に進んでいこうと思う。

最終日の朝。
一人ひとりの目を見つめて
心からの、“tak for nu”
本当にありがとう。

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