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VUXとは?現在と未来

Voice User Experienceの魅力

こんにちは。Voicyでデザイナーをしている京谷です。
私はiPhoneが発売された翌年の2008年からGUI(Graphic User Interface)を中心とした、UI/UXデザイナーとして10年以上仕事をしてきました。

しかし、街中のどこを見渡してもスマートフォンのモニターを見ながら生活をしている人たちの姿を見て、「これは本当に豊かな生活なのかな?」と、自分がUI/UXデザイナーとして提供している価値について疑問に思うようになりました。

そうして、いくつかのプロジェクトを経て「世の中の情報の半分くらいが音声で提供されるようになれば、人が視線を上げて生活できる未来がやってくる」と考え、音声プラットフォームVoicyにジョインしたのが今から5年ほど前です。

私たちが目指したい世界については、Design Ship2018で登壇させていただいた時の資料に述べていますが(以下の記事です)、その時描いていた未来が少しずつ実現した兆しを感じています。


そこで、改めてVUX(Voice User Experience)の可能性についてこの記事で紹介していきたいと思います。
今後、UXデザイナーが体験設計をしていく際に、インタフェースに用いる媒体として一部「音声」を選択することにより、ユーザーの体験がより豊かにすることができると信じています。

VUI/VUXとは

VUI(Voice User Interface)とは、スマートスピーカーや音声アシスタントに代表される音声によるユーザーインターフェースのことを指します。また、VUX(Voice User Experience)とは、VUIを利用したユーザー体験全体のことを指します。

VUI vs GUI

VUIとGUIを比較すると、それぞれを用いることへのメリット/デメリットがあります。一般的に、VUIとGUIは相補的な役割を果たすため、目的に応じて使い分けることが重要です。

VUIのメリットとデメリット

メリット

1.自然なコミュニケーション
特別な操作を学習することなく、会話によってデバイスを操作することができます。

2.ハンズフリー
運転中やランニング中など手が塞がれている状態でも、デバイスにインプットしたり、アウトプットされた情報を受け取ることができます。

 3.バリアフリー
視覚的な制限や、識字能力に不安がある方でも使えます。

デメリット

1.誤認識
音声認識の精度により、発音が似ている単語を誤認識することがあります。

2.環境による影響
大勢の人がいる場所では発話しづらかったり、騒音の中ではマイクが正しく音声を拾わないことがあります。

3.人が処理できる情報量
人が大量で複雑な情報を音声だけでインプットして、正しい情報を選びとるのは困難です。

VUXのデザインとは?

VUXはVUIのを利用した体験全体のことを表しますが、私は「従来のUXデザインの中で、適切な箇所でGUIとVUIを使い分ける」イメージをしておくのが良いと思います。ユーザーが操作したり、情報を得たりする体験の一部に音声を選択できるオプションが増えたと考えています。

VUI、GUIをそれぞれ選択するポイント

サービスやプロダクトのUXをデザインするとき、全体の体験設計の中でユーザーとのタッチポイントとしてどちらが適切な方法かを選択できると良いです。
前述の通り、VUIとGUIのメリットとデメリットは補完関係にあることを意識します。

1.ユーザーの目的と利用状況
どのような目的でサービスを使用するのか、そのサービスを使うユーザーがどのような状況にいるのかによって選択します。たとえば、車の運転中にはVUIが適していますが、オフィスでの作業中にはGUIが適しています。

2.操作と情報処理の複雑さ
操作が簡単で、ユーザーが迅速に目的を達成できる場合は、VUIが適しています。一方で、複雑な操作を行ったり、多くの情報をインプットしなければならない場合、GUIが適している場合があります。

3.利用者のニーズ
利用者が視覚的な制限のあるユーザーであったり、視覚を使うことが困難な状況でサービスを利用する場合、VUIが適している場合があります。

どちらか一方を選択するというより、場面によって変えることをイメージすると良いでしょう。

スマートスピーカーも、発売当初はVUIのみで操作を行うスピーカー型がメインでしたが、最近はモニターと一体となったタブレット型が主流です。
これは、VUIとGUI両者とも利用できるデバイスの性能の中で、ユーザーのコンテキストによってVUIとGUIを使い分ける想定をしているからです。

例えば、自分が住んでいる地域の天気を知りたいのであれば
「渋谷の天気を教えて」→「渋谷の天気は晴れです」
のようにVUIのみで完結しますが、全国の天気を知りたい場合
「全国の天気を教えて」→「北海道は….」のような場合は全て読み上げられると時間もかかるし、覚えていられません。パッと画面に表示されるほうが全体を把握できます。

この場合、インプットは音声(VUI)アウトプットは画面(GUI)で設計されているということです。

VUIのデザイン

VUIデザインは、音声によるインタラクションを設計することを指します。VUIは複雑な情報処理に向いていないので、設計する際には、ユーザーが自然な言葉で話すことができるようなシンプルなインターフェースを提供することが求められます。具体的には、以下のような要素が考慮されます。

  • ユーザーのニーズに合わせた会話フローの設計

  • ユーザーが理解しやすい言葉やフレーズの選定

  • ユーザーにフィードバックを提供する方法の検討

  • 認識精度を高めるための発話の調整

これは実際にVoiceflowなどを使って、プロトタイピングをしてみると具体的なイメージがわきます。
ユーザーのインプットと、インプットによる反応をシナリオとして設計していきますが、例えば言い方の揺れを数パターン考慮することで、ユーザーのストレスを軽減できます。
ユーザーが求めているものを発話するときにどんな言葉でそれを表すかを高い確度で設計することが大事です。

VUI/VUXの展望

AIの進化により、VUIはますます重要になってきています。特に自然言語処理技術・言語認識技術により、システムとのより自然な対話ができることが期待されます。

また、IoTとの統合も進んできています。最近では、家電に音声アシスタントが埋め込まれていて、VUIによる操作を可能にした製品を目にする機会も増えてきています。VUI単体ではモニターがない製品でも利用できるので、IoT家電への組み込みは加速しそうです。日本でもVUIで操作できる洗濯機やテレビが家電量販店に並ぶようになってきました。

ビジネスにおいても、例えばコールセンターなどの業務の一部が自動化され、顧客との対話が効率化されることが期待されています。

VUIの普及を願っている私個人としては、現在視覚で処理している情報の半分は音声化され、モニターから解放される生活が普及する日が早く訪れることを願っています!



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