Windows 10とWindows 2003 Serverの組み合わせで発生する動作障害

2020年6月11日時点のWindows 10の最新バージョンは、2020年5月に配信されたMay 2020 Update(2004)ですが、Windows 2003 Serverのネットワークドライブでアクセスしている場合、エクスプローラーがほぼフリーズ状態になります。
皆さんの身の回りで10年近く使っているシステムであったり、積極的な設備投資を控えているのであれば、Windows XPやWindows 2003 Serverを利用されていないか、確認されては如何でしょうか。

SMBv1に原因があるのだとすると古いNASでも発生するかもしれません。NASを持っていないので確認できませんが。(2020.6.26追記)
複合機のスキャンやFAX受信でSMBv1を利用している場合もあります。(2020.6.30追記)

1.問題の動作

Windows 2003 Serverファイルサーバーのネットワークドライブが設定されたWindows 10のパソコンをMay 2020 Update(2004)にバージョンアップし再起動させた後、エクスプローラでネットワークドライブが表示されると、エクスプローラがほぼフリーズ状態となり、シャットダウンや再起動を含むWindowsの操作が極端に低下します。
この症状が出るまではUNC(\\hostname\sharedfolderのように入力して)でファイルやフォルダアクセスできましたし、その状態でネットワークドライブの追加することもできました。
Windows 2003 Serverのネットワークドライブの設定を全て解除した後、再起動するとエクスプローラの動作は正常に戻りました。
Windows Server 2012 R2のファイルサーバーのネットワークドライブを設定されていたとしても、エクスプローラは通常通り動作しました。
この問題はWindows 10及びWindows Server 2012 R2の組み合わせでは発生せず、Windows 10及びWindows 2003 Serverの組み合わせで発生するため、Windows 2003 Serverの問題と考えています。Windows XPはWindows 2003 Serverと同世代なので、Windows XPをネットワークドライブで利用している場合にも発生する可能性が高いと考えています。

2.対策案

以下のような対策が考えられますが、(1)を選ぶべきです。リスクを理解した上でも利用を止めることができないのであれば(2)を選ぶことになりますが、いつか脱却する必要があるのでできる限り早く(1)の状態を目指したいです。(3)を選ばざるを得ない場合でも、いつかくる日に何ができるのか考えておきましょう。
(1) サポートが終了しているWindows Server 2008 R2(Windows 7)世代以前の業務利用を止め、最新のシステムだけに移行する。
(2) サポートが終了しているWindows Server 2008 R2(Windows 7)世代以前を隔離し、他のシステムから完全に独立されたネットワークでのみ利用する。
(3) Windows 10のバージョンアップを停止させ、更新プログラムや次回以降のバージョンアップで解消することに期待する。但し、Windows 2003 Serverは既にサポートが終了しているため、この問題が解決する可能性は低いです。

対策案(2)と(3)のリスク
Windows 2003 ServerにはSMB v1という仕組みでアクセスしますが、2017年に感染を拡大させたランサムウェア(WannaCry)の感染経路になっています。ランサムウェアが組織内で感染した場合、全ての情報を失う可能性があります。感染は気づきにくく、気づいたときには手遅れになりやすいので、ネットワークで繋がっていないバックアップを定期的に取っておくことをお勧めします。

対策案(3)で保留した場合
(1) 今後購入するWindows 10パソコンはMay 2020 Update(2004)が適用されたものになり、購入しても業務利用が困難になります。
(2) 既存の導入済みWindows 10パソコンはバージョンアップできないため、November 2019 Update(1909)を使用したとしても2021年5月にサポートが終了してしまいます。

3.Windows 10のバージョンアップ

Windows 10のバージョンアップは毎年3月と9月の年2回、リリース後から18か月のサポート期間が設定されています。

Windows ライフサイクルのファクト シート
<https://support.microsoft.com/ja-jp/help/13853/windows-lifecycle-fact-sheet>
使用しているバージョンのサポートが終了している場合は、Windows 10であってもサポートを受けられなくなります。同時に、(Microsoft 365のようなクラウドサービスを含め)ほとんどアプリケーションもサポート外となります。
例えば、2018年7月10日にリリースされたOctober 2018 Update(1803)は、2019年11月12日にサポートが終了しています。

実行している Windows 10 のバージョンを確認する
<https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4027391/windows-10-see-which-version-you-have>
以下のように表示された場合は、November 2019 Update(1909)です。

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4.相談しましょう

このような内容でお困りの方は、お近くの情報処理安全確保支援士に問い合わせしてみましょう。
経済産業省とIPAが実施している「中小企業の情報セキュリティマネジメント指導業務」や「中小企業デジタル化応援隊事業」に申し込んでみてはいかがでしょうか。(2020.9.25追記)
専門家の中でも、情報処理安全確保支援士に登録している人は、秘密保持義務(情報処理の促進に関する法律 第二十五条)が課せられているので、特別な契約がなくても相談しやすいですよ。
情報処理安全確保支援士検索サービス<https://riss.ipa.go.jp/>

5.サポート終了後の脆弱性

CVE-2020-1350の脆弱性は、Windows 2003 Serverでも含まれているようですが、更新プログラムは提供されていません。
このように、サポートが終了しているものは脆弱性が存在していても、対策されない状態です。
サポート切れのOSやアプリは使用しないようにしましょう。
(2020.7.20追記)

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