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北海道には、無料で雪道講習をしてくれるレンタカー屋さんがある。

雪の降らない地域で暮らしていると、自動車にABSという機能が付いていることを忘れる。ABSとは、アンチロック・ブレーキシステム(Anti-lock Brake System)の略称だ。凍結した道で急ブレーキをかけたときなどに作動する(参考:国土交通省 ”ABS” 自動車総合安全情報)。

私は自動車免許を岩手県盛岡市の教習所で合宿で取得した(実家はグンマーで、住んでいるのは都内だったのになぜ盛岡で取ったか? それは、講習の合間にあるお休みの日に宮沢賢治記念館へ行きたかったから……)。

教習には、地域特性に応じた「特別項目」という科目がある。都内で免許を取った友人は、首都高速を走らされたと言っていた(なんて恐ろしい)。グンマーの友人は、山道のカーブ走行をひたすら練習させられたそうだ。

盛岡の場合、教習生は特別項目でABSを体感する。私が合宿したのは真夏だったけれど、あえて滑りやすくした道が用意され、思いっきりブレーキを踏み込んでみるよう指導される。

ABSが作動すると「ガガガガガ」とブレーキが細かく振動する(もう十年以上も前のことだから、どんな感じだったかすっかり忘れてしまったが)。もし、ABSがなかったら? 急ブレーキをかけるとタイヤが完全に固定されてしてしまうから、ハンドル操作もできず大変危険だ。ABSは、タイヤの固定と解除を小刻みに繰り返してハンドル操作が利くよう調整し、スリップを防いでくれる。でもこの感覚に慣れていないと、ブレーキが壊れてしまったかと思って動揺するようだ。

新千歳空港の近くにある「ニコニコレンタカー千歳美々店」では、雪道に不慣れな旅行者が車を借りることも多い。知らずにABSが作動して、ブレーキが故障したと思って慌てて戻ってくるお客さんも少なくないという。

そこでこのお店では、出発前に無料の雪道講習を提供するようになった。講習時間は10分程度。この講習を始めてから、冬の事故率はぐっと下がったという。

お店にとって、無料の講習を提供することは一時的には負担になる。でも、事故による車体の損害が減るならメリットは大きい。普段から運転していて慣れている人ほど、雪道運転の前にABSの感覚をしっかり体に刻み込んでおくことが大切。ぜひ広まって欲しいサービスだ。

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