ちょっとしたサービスも、値段がついていたほうが頼みやすい

値段のついていないサービスをお願いすることに、なんだか気が引けてしまうのは、私だけだろうか。

メガネショップでメガネを洗浄してもらう時、
化粧品売り場で美容部員の方にメイクしてもらう時、デパ地下の菓子コーナーで試食する時…。
先方としては、それが必ずしも売上につながるわけではないのは承知の上で、少しでも接点が増えればということでやっているんだろう。
「タダでやれ」と言ったわけではなく、「(タダですが)いかがでしょうか」と言われてのことだから、きっと気にしなくていいのだろうが、
サービスを受けたら買わずに去るのは失礼な気がしてしまう。
なぜなら、このサービス自体に対価を払えない以上、お返しの方法は何か商品を買うことしかないからだ。

最近は、これがこじれて、できるだけ「サービスを受けない」ようにふるまうようになってしまった。
「お礼」のために、それほど買いたくないものを買っていたのだが、そのために買い物が楽しくなくなってきたことに気付き、
それでは本末転倒なので「ならば接点を持たなければいいのでは?」と思ったのである。
だから洋服屋に行っても、話しかけられないように素早く見て回るし(自分の頭の中で比較検討したいから、というのもあるが)、
「何かお手伝いしましょうか?」と言われても、よほど困っていなければ「大丈夫です」と言ってしまう。

もちろん、これはこれで過剰な方法だとは思うのだ。
自分がサービス業のアルバイトをしていた時のことを思っても、よほどのクレーマー客でなければお客さんと接するのは楽しかったし、
手持無沙汰な時間帯などでは、来てくれてむしろありがたいとも思った。
ただそれは、私がお金の収支を考えなくてもいい立場だったからかもしれず、どうふるまうのが互いにとっての最適解なのか、いまだに答えを出せずにいる。

似たような理由から、対面での購入がおっくうになって、ネットショッピングの割合が増えたという友人もいる。
できるなら、タダで提供されている「ちょっとしたサービス」にも「ちょっとした価格」をつけてもらえないものだろうか。
あるいは、ちょっとした「お礼」ができるシステムを。
私は頻繁にネットでものを買うけれど、やっぱり目で見て、手で触れるものを、そこにいる人から買いたいから、買い物のすべてをネット上でしようとは思わない。
「ちょっとした、けれど良いサービスをするお店」には、本当は通いたい。
だからこそ、「いらないものを買う」以外の方法で対価を払えるような、そんなシステムができたらいいのにと思う。

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