見出し画像

さよならはどこかへ 番外編

私はフライドポテトが好きである。
みんな一度は人生で食べたことはあるだろうし、幼い頃から食べている人も今や多い時代だ。今回は日記ではなく、私はポテトへの気持ちをぶつけてみた。

マクドナルド、ロッテリア、バーガーキング、モスバーガー、ケンタッキーフライドチキン、ウェンディーズ、フレッシュネスバーガー、ファーストキッチン、サブウェイ、ドムドムハンバーガー、コンビニのホットスナック、それら思いつく限りの、ファーストフードのポテトたち。全部好きだ。
そのほか、家でジャガイモを細く切って揚げたお手製のポテト、レンジでチンするチンチンポテト、ファミレスのポテト、居酒屋のポテト、ハッシュドポテト、濃厚なチーズがかかっているポテト、紙袋に粉を入れて振って食べるポテト、ハンバーグのデミグラスソースを吸い込んだ付け合わせのポテト、ビジネスホテルの朝食バイキングに並んでいるひどく冷めたポテト、残り物のポテトをクリームソースで覆って焼き上げたグラタン仕立てのポテト、そうしたありとあらゆるポテトの類、その全てが大好きだ。
太さ細さ、サクサク感もホクホク感も、揚げていても焼いていても、塩でもケチャップでもディップでも、ジャガイモを調理したポテトであれば、その一切を問わない。どれもがポテトとして、ただただ尊い。
昔は、もっとポテトに好みがあった。できれば細くて柔らかい、皮なしのポテトが良かった。例えばマクドナルドやロッテリアのポテトを、持ち帰りのビニール袋の口を結んで、閉じ込められたポテト自らの熱気で「しなしな」にさせたものが好きだった。それでもいつからか、私は満遍なく全てのポテトを愛し始めた。

あれはシェーキーズの食べ放題だった。シェーキーズといえば私の周りでは中学校の体育祭や文化祭の打ち上げ場所に選ばれた記憶がある。ここはピザやパスタなどのほかに、フライドポテトも並んでいた。輪切りにしたジャガイモをそのまま揚げた、フライドポテトと呼ぶべきか子供心にも戸惑いが生じるような荒々しいポテトだ。「フライドポテトも食べ放題!」と聞いてウキウキしていたのにこれなのかと思っていた。
しかし今では、あの荒々しいポテトのことが、何だか無性に恋しい。ろくでもない油で、チキンとかと一緒に揚げた時の風味がそのままこびりついたような、輪切りの雑なポテト。あんなポテト、あれ以来なかなか出会えない。

フライドポテトを食べるとき、私はポテトを自動的に口へと運び続ける、単一機能のマシーンになる。
一人で食べるときはいいが、誰かと一緒に食べる場合は、注意が必要だ。気付いた時には、風前の灯火になっていることがある。「食べていいよ」と言われたポテトに手をつけていたら、あっという間に無くなってしまい、「全部食べていいとは言ってない」と悲しそうに嘆かれたこともある。
ここがファミレスや居酒屋なら、何品も料理が並んでいる状態にして、ポテトだけに意識が集中しないようにしたい。ここではあえて「最初から注文しない」という選択肢もある。

ポテトは私を狂わせるのだ。

毎月1回、25日ごろに配信される『イエローページ』というメルマガに寄稿した文章です。最新のメルマガを読みたい方はこちらのフォームよりお申し込みください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?