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終わりははじまり。

彼は2023年度末で転勤と言われていた。
こどもの卒業と同時に彼も転勤。
この先もう会えない現実が確定していた。

2022年度も絶対転勤だと言われていた。
その時も私は彼と離れ離れの未来に不安で包まれていた。
転勤はほぼほぼ確定なんです。。。と彼も言ってたし。
教師は1学年x3年のサイクルで通常回るので
同じ学校に10年目はあり得ないとされている。
けど奇跡は起こりあり得ない10年目を宇宙は用意してくれた。
しかし。
宇宙ではなくこれはきっと彼が起こした奇跡だと思ってる。
彼は子どものクラブの顧問であり、それだけの接点。
しかしこの10年目はなんと子どもの学年を受け持ち
しかも主任先生として。
彼は要望を出して学校に残ってくれたんだと思ってる。
だって彼は「まさかなぁー」なんて呟いていたけど
「まさか(私の子どもの)学年受けもつことになるとは想定外だった」
と言ったからそれ以外は想定内だったんだ。

そんな彼に私は大きな嘘をついていた。
それは私の離婚について。

彼からたくさんの電話やメッセージを通して
急速に惹かれてしまった私だったけど
彼から急にもうおしまいにしようというメッセージが来た。
私は焦り、不安に駆られた。
と同時にその少し前から夫に離婚したいことを打ち明けていた。
実はこの夫と離婚を申し出るのは2回目。
1回目は全くどうにも進まず、それどころか宇宙も反対だったのか
ことあるごとに不幸や災難、トラブルに遭い続けたが
今回はどういうことか、あまりにあっけなくとんとん拍子にスムーズに進み。
駆け込みで慌てて何か買いに行くかのように
一目散に区役所へ飛んでいき離婚届を提出。
その場の駐車場から彼に電話で打ち明けた。
彼に離婚届出せたことを誰よりもいち早く知らせたかったから。
「実は離婚してるんです、私…」と切り出した。
「今したばかり」なのにあたかも離婚して数年歳月経ているかのように。
彼は絶句だった。
沈黙開口一番、「いつ離婚してたの?」だった。
これに対して私は正直になれなかった。6年前だと言った。
6年前は離婚をめぐって元夫とは色々本当にあったから。

「あなたに惹かれたから」
「あなたが好きだから離婚したの」なんて
当時の私は絶対に言えなかった。
何度も何度もその電話内で彼は離婚の時期を尋ねてきた。
「僕のために離婚したんでしょ? ね!?そうなんでしょ?」
と言いたかったのかな…そうだといって欲しかったのかなと今は思う。
答えはそうなんだけど素直に言えなかった。
その言えなかったことを2年の歳月を経て卒業が近づく。

教師と保護者という立場の違い。
年齢も10歳違う。
幾度ももうやめよう、離れようの繰り返し。
無理やり理由つけて学校に行かなかったこともしばしば。
本心に蓋をして当たり障りのない関係性を保つべきだとも考えた。
けれど私が死ぬとしたら?という仮定を自問すると
伝えることに決意した。手紙で。
ずっとメッセージだったけどあえて手紙にした。

もしこの「伝える」が間違えていたら宇宙は全力で止めに入ってくる。
そんな確信もあった。
今までに何度も何度も起こった。
もうこんな思い、やめにしよう、終止符打つために彼に連絡しようとしたら
覆面に捕まる、
急に現れたお巡りさんに尋ねられる、
いろんなシンクロニシティ、アクシデントが起こった。

書くといってもペンのインクが滲む、折れる、掠れるとか起こるのかな、
書けども誤字まみれになるのかな、書いてる最中になんか邪魔入るかな
と思ったら一向にそんなこと、一滴も起こらず、むしろ誤字無しでスラスラ書けたことに驚いた。
うまく手渡しすることができてもトラブルでどこかに行ってしまわないか、
彼に読んでもらえるだろうか。
返事はもらえるのだろうか。どうやって返事くれるのかな。
渡してからというもの、ずっと心ここあらず状態だったが
2時間後。彼からLINEが入ってきた。
そこには一切、一滴も手紙の核心には触れられておらず、
教師目線からの子どもとの思い出話と
私にそんな苦労があったなんて…などが綴られていた。

国語の論説文で
「主人公の意図する行動を本文から抜き出せ」という問題を完全に履き違えてるような答えだった。

読んですぐさま心拍数が上がり、血の気が引く感覚が今でも思い出せる。
すぐさま
「教師の体裁的な答えは求めてるわけではないです。
私は未来へ進みます。
この思いは私の一方通行ですか?」と尋ねた。

「気持ちはありがたいですが…すみません。。。」とだけあった。

気持ちはありがたいって何? すみませんってどういうこと。。。
そして
完全に私の一方通行な想いで彼に気持ち悪い思いをさせて申し訳ないという感情が生まれ、
「気持ち悪い思いさせてごめんなさい。
本当にごめんなさい。」と入れた。

しばらくして
まるでお歳暮のお返しのお礼か何かのように
「そんなことないですよ^^ ありがとうございます^^」と
かわいい絵文字付きで返ってきた。

そのあまりにドライで軽く
爽やかさも彷彿とさせるそのメッセージに最初は涙も出なかった。

今から振り返ると
手紙を手渡ししたその日はクラブ最後の日。
髪はボサボサ、目は腫れていた。
声は小さく生徒からも2度聞きされることしばしば。
彼と話していた私の隣にきた一保護者が
「先生ー 先生って二重だったっけ!?」と尋ねた。
彼は切れ長い細い目をしていたが
明らかに片目は奥二重。
「僕、いつからか片目だけ二重になってしまって。。。」
そう力なく答えていた。
いつからこの人、こんなに覇気のない人になってしまったんだろう。
最後の言葉も同じ教育者として全く賛同できないことを平然と生徒に
はなむけの言葉として述べていたので理解に苦しんだ。

約2年半の想いは私の直感からの行動で
儚く終わってしまいました。
久しぶりに泣き明かしました。

しかしそれは始まりのきっかけの一つと知れたのが
その数日後です。

今日はここまでにします。
たくさん読んでくださいましてありがとうございます!



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