僕はどこに就活するべきか

 就職したくない。社会人になって、毎日の中心が仕事になるなんて。
ぎゅうぎゅうの埼京線に、両手を挙げて乗り込むなんて。仕事終わりのサウナが幸せだなんて。
 人生で最初の夢は、お笑い芸人だった。はねトびのキングコングがかっこよくて、M-1でも一番面白くて、吉本に入ろうと思っていた。中学生の時安室ちゃんに出会い、高校生の時星野源のライブに行き、ミュージシャンを志望した。部活を辞め、カラオケとボーカルスクールに通う高校時代だった。
 渡辺高等学院に行きたかったが、特待生になれなかったからやめた。ESPという専門学校に行きたかったが、北山家のルールとして大学には行けというので、大学生になった。受験勉強は楽しかったから、浪人までして、志望校に入った。大学生になり、バンドサークルに入ったが、ギターはうまくならなかった。パソコンも苦手で、DTMも続かなかった。今でも作曲とギターは苦手だ。
 大学受験をしている中で、駿台の先生と出会い、予備校講師に憧れた。ミュージシャンになれなかったら、予備校講師になろうと思った。アルバイトの塾講師も、もう4年続いている。
 もうすぐ大学3年生が終わる。カラオケ通いはやめられないのに、就活も始めている。就活から逃げるために、20万円払って公務員試験の予備校に入った。
 僕はいつもそうだ。勉強をしていろんなことから逃げてきた。音楽が怖いから浪人もしてきた。勉強は嫌いじゃないし、まあまあ楽しいから。
 就活エージェントサイトに大量に登録した。いろんなアドバイザーが、次々に知らない企業を紹介してくれる。年収がいいのは、商社、コンサル、金融らしい。どれもピンと来ない。メーカー勤務の父に勧められて化学メーカーの採用情報を見たが、楽しそうじゃない。どうしよう。ポリエチレンを売りたい人が、ポリエチレンを売るべきなのではないか。土地開発に興味がないのに、デベロッパーになるべきではないのだろう。
 本命は公務員。せっかく勉強しているのだから、合格を勝ち取りたい。できれば市役所か県庁に入って、教育事業に携わりたい。対抗は塾講師。生徒の人生を直接変えられるのが魅力だし、学校教育の面白さをわからせる。単穴は鉄道。電車楽しそう。連下にヨガインストラクター、予備校講師。もしかしたら、自分の力で戦うフリーランスに挑戦したいのかもしれない。ミュージシャンと書けなくなったから、僕の人生は消化試合だ。裸で生まれてきました。裸で死んでいきます(さっき見た2時間ドラマで言ってた)。
 フリーランスに憧れすぎて、働いたら負けという価値観が染みついてしまった。YouTuberを真剣に目指してみようか。

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