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Puppet in the Dark Part2 (Buried Away)- FELT【和訳】

疑いも戸惑いももう捨てよう
全ての時間を賭けて、ここまで来たのだから

東方アレンジサークルFELTの16th Album“Sevens Head”の収録曲です。
アルバムのナンバリングがヤバいですが、FELTは現在28th Albumまでリリースしています。その数、質ともに文句なしの大手同人サークルです。
曲は半端ないサウンドと変拍子とクソかっこいいヴォーカルです。これ以上曲について何も説明することはない。クロスフェードでも良さが分かる。


子供のころは何でも試してみたいと思うものです。
暗いところでも高いところでも、痛みや苦しみを知らないが故に。
無知であるが故に飛び込める。無垢であるが故に足を止めない。行動力としては最強でしょう。

では、恐怖を知ってしまった僕たちはどうすればいいのか。
二度とあの頃の好奇心は取り戻せないのか。
知ったが故の恐怖に押し潰されるのが大人なのか。

知識を半端に持ってしまった大人でも、ワクワクを取り戻す考え方はある。
それを所々で教えてくれる歌です。


There is no time to spare,
and The stage has been set.
I cannot hold back the need to know.

舞台の幕は降りた
好奇心と知識欲のままに動こうじゃないか

Curiosity got to me.
The question's been asked.
I can't take it back again.

私の好奇心を掻き立てた問題は
もう解かれてしまったけれど
あの取り憑くような湧き上がる感情は
もう取り戻せないけれど

The falling stars align,
With darkness close behind.
Locked up in my mind,
With solace, I'm confined.

暗闇を裂きながら、流星が真っ直ぐ落ちてくる
気持ちを切り替えよう、心を落ち着けよう
私は悲しみを携えて囚われているから

Can destiny define The silence in the night?
And so, I've become A puppet in the dark.

この夜の静寂が運命なのなら
運命が私を変えてしまったんだ
暗闇に彷徨える操り人形へと

I know I've made up my mind
For something to do,
To clean out all of their stupid rules.

こんな訳のわからないルールなんて
何とかして全部断ち切ってやる
私はそう決意したんだ

Been avoided for so long, I'm tired of lies And moving on for the truth.
ずっと長いこと避けてきた、もう嘘はうんざりだ
本当の気持ちで生きたいんだ

Simple, like a drop of sun,
And the world spun on,but upside-down.
Is this what they'd call a miracle?

陽が落ちるというありふれた現象がありながら
世界は“上下方向に”回転し始める
あなた達が奇跡だと呼んだもの
その正体がこれなのか?

Falling, each and every one.
Like a house of cards, it's been undone. Taking a leap without sound...

全てが、何もかもが落ち行く
砂上の楼閣が崩れ落ちる前に
音もなく飛び立つんだ

I'll shout just a bit louder,
fight a bit harder. I will go on.
I'm undefeated. Can't feel the hunger.
I won't go under. I'm my own person.
I feel it.

少しだけ大きく叫ぶんだ
少しだけ力を込めて戦うんだ
それを続けてやる
負けてなんかいない、空腹も苦しくはない
諦めはしない、私は私なんだ
それを知っているから

Little bit stronger, going on farther.
No longer do I fear the darkness.
I can fly beyond the distant,
new horizon forever.

ほんのすこしだけ強く、遠くへ
もう暗闇を恐れることはない
遠い距離を越え、地平を越え、新たな未来へ飛び立つ

All this time, reality's been fake.
Now I'm breaking through the tempered glass.
Set aside my doubts, won't hesitate.
I've been waiting through all of my life.

いつだって現実は欺瞞だらけだけど
私は今、ガラスを突き抜けていく
疑いも戸惑いももう捨てよう
全ての時間を賭けて、ここまで来たのだから

From today, I've buried it away.
In the end,
I just might have to face
Something new with every passing day.

今日からはそんな世界とはオサラバ
これから毎日、新しい何かに出会ってしまう
きっとね

Now there's nowhere to run to.
I'm feeling alive,
Revived with a second chance to live.

逃げ場なんてどこにもないけど
もう一度与えられたこの体で、生きる実感を得ているんだ

Brand new days come and go.
So, if we let time Slip by for eternity...

全く新しい明日が訪れ去っていく
もし永遠を行き来することができれば……

Small regrets will always add
Up to something too big if given time.
What do we do in adversity?

時間が与えられたとしても、小さな後悔が大きな心の穴を生むだけ
逆境の中、私達は何を選ぶ?

Even if I take a fall,
Tumbling down without time for a pause,
I know that I will become...

もしここで倒れたら
待ったもなく全てが崩れ落ちる
そうなった時、私がどうなってしまうか、私はもう知っている

Someone's who's learned to be wiser,
a bit of a fighter.
I can make right what had been wrong.

賢者となるため学ぶ者は、小さな戦士だ
過去の過ちを正すことが出来る者だ

Though I can't be perfect, it'll be worth it. I'll keep on trying and trying.
私は完璧なんかじゃない、だからこそやる価値があるんだろう?
何度だって挑み、試してやる

Without resistance, I'll make a difference.
Even mistakes will never stop me.
Only then,this world can find a new beginning in time...

臆病を捨てれば、違うものが生まれてくる
だから間違いなんて、私を止める理由にはならない
その時、世界は夜明けを迎える

Someone's who's learned to be wiser,
a bit of a fighter.
I can make right what had been wrong. Though I can't be perfect, it'll be worth it.
I'll keep on trying and trying.

賢者となるため学ぶ者は、小さな戦士だ
過去の過ちを正すことが出来る者だ
私は完璧なんかじゃない、だからこそやる価値があるんだろう?
何度だって挑み、試してやる

I'll shout just a bit louder, fight a bit harder.
I will go on. I'm undefeated.
Can't feel the hunger. I won't go under.
I'm my own person. I feel it.

少しだけ大きく叫ぶんだ
少しだけ力を込めて戦うんだ
それを続けてやる
負けてなんかいない、空腹も苦しくはない
諦めはしない、私は私なんだ
それを知っているから

Little bit stronger, going on farther.
No longer do I fear the darkness.
I can fly beyond the distant, new horizon forever.

ほんのすこしだけ強く、遠くへ
もう暗闇を恐れることはない
遠い距離を越え、地平を越え、新たな未来へ飛び立つ

All this time, reality's been fake.
Now I'm breaking through the tempered glass.
Set aside my doubts, won't hesitate.
I've been waiting through all of my life.

いつだって現実は欺瞞だらけだけど
私は今、ガラスを突き抜けていく
疑いも戸惑いももう捨てよう
全ての時間を賭けて、ここまで来たのだから

From today, I've buried it away.
In the end, I just might have to face
Something new with every passing day.

今日からはそんな世界とはオサラバ
これから毎日、新しい何かに出会ってしまう
きっとね

The falling stars align, With darkness close behind.
Locked up in my mind, With solace, I'm confined.

暗闇を裂きながら、流星が真っ直ぐ落ちてくる
今は気持ちを切り替えよう、心を落ち着けよう
悲しみに囚われた私とはさよならだ

Can destiny define
The silence in the night?
And so, I've become
A puppet in the dark.

この夜の静寂が運命なのなら
運命が私を変えてしまったんだ
暗闇に彷徨える、無知で無謀な道化へと


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色々と歌詞から類推したんですが、全部喋ると自己啓発っぽくてゲロクサになったので掻い摘んで紹介します。
説明しなくとも歌詞を浴びれば自然と何か湧き上がってくると思う。ので、補足的にご参照ください。

"Puppet in the dark"とは「暗闇で彷徨っている道化」、
 "Buried away"とは「知ることへの恐れを捨て去る歌い手」

「学習性無力感」という現象があって、長い間共通のストレスに晒されると挑戦する意欲が削がれていきます。
小さいころは好奇心のままに飛び込んでいきますが、怪我をしたり、叱られたり、本当に酷い目に遭ったり遭わせたり……なんてことを繰り返し、
失敗への恐れを育てながら人は大人になっていきます。悲しいかな。

知への探求は果てがありません。「全てを知りたい」を目的とすれば、その果てしなさに膝折れそうになることもあります。
知ることに果てがないから膝折れるのではなく、知らないことに触れた瞬間、自分や周囲をひどい目に遭わせてしまった経験則から、人は恐れを抱き、好奇心よりも恐怖心を増大させていきます。

知識に果てがない様を「暗闇」と例え、結局は膝折れてしまう自分を「道化」だとしているのがこの曲名ではないか……と僕は考えます。
で、そんな恐れを葬り去り(Buried away)、あの好奇心に溢れた日々に戻りたい、もっと多くのことを知りたい、と決意する歌ではないかと。

(puppetは「人形(特に操り人形)」ですが、人間をpuppetと置き換えるなら、誰かの都合のいいように操られる「道化」と置き換えてもいいように思います)

歌い手の気持ちの変遷

The falling stars align,
With darkness close behind.
Locked up in my mind,
With solace, I'm confined.

暗闇を裂きながら、流星が真っ直ぐ落ちてくる
気持ちを切り替えよう、心を落ち着けよう
私は悲しみを携えて囚われているから

このイントロの光景は、「一寸先も見えない暗闇を切り裂いて光り輝くもの = この恐怖から抜け出すきっかけ = The falling star」で、
With solace, I'm confined.とは、「暗闇の中で寂しさに震えている私」を表し、これを忘れ去るために「Locked up in my mind(気持ちを切り替える)」ことをしています。
本当は怖いけど、あの流星の輝きを追いたい気持ちを抑えきれない。

Can destiny define The silence in the night?
And so, I've become A puppet in the dark.

この夜の静寂が運命なのなら
運命が私を変えてしまったんだ
暗闇に彷徨える道化へと

自身の無知と世界の果てしなさを知って孤独に苛まれる……
そうなることは必然だったし、そんな中定石通り暗闇を彷徨っていた自分は道化だったけれど……

Been avoided for so long, I'm tired of lies And moving on for the truth.
ずっと長いこと避けてきた、もう嘘はうんざりだ
本当の気持ちで生きたいんだ

やっぱり自分の本心は「恐怖」ではなく「好奇心」だよね!
……と、帰結しているように思います。
そこからはひたすらに、暗闇から飛び立とうとする自分を鼓舞する嵐ですね。
怖くないんじゃないし、空腹を感じないわけではないけど、探求心を抑えるほうがよっぽど本心から背いている……
と、暗闇でたじろいでいた歌い手は決意します。

Though I can't be perfect, it'll be worth it. I'll keep on trying and trying.
私は完璧なんかじゃない、だからこそやる価値があるんだろう?
何度だって挑み、試してやる

この歌詞すき。
無知を知に変える過程は失敗と痛みを伴うし、知で無知を埋めようとすればするほど「自分はまだまだ不完全だ」という現実にぶち当たるけれど、
だからこそ価値がある、としているんですよね。

二度繰り返されるフレーズ

The falling stars align,
With darkness close behind.
Locked up in my mind,
With solace, I'm confined.
暗闇を裂きながら、流星が真っ直ぐ落ちてくる
気持ちを切り替えよう、心を落ち着けよう
私は悲しみを携えて囚われているから
Can destiny define The silence in the night?
And so, I've become A puppet in the dark.
この夜の静寂が運命なのなら
運命が私を変えてしまったんだ
暗闇に彷徨える操り人形へと

知らぬうちに道化を演じ笑われることを避ける自分と、
道化と分かっていても暗闇を泳ぎ続ける自分。
果たしてどっちが「本当の気持ち」なんでしょうか。

The falling stars align, With darkness close behind.
Locked up in my mind, With solace, I'm confined.
暗闇を裂きながら、流星が真っ直ぐ落ちてくる
悲しみに囚われた私なんて、もう忘れよう
Can destiny define
The silence in the night?
And so, I've become
A puppet in the dark.

この夜の静寂が運命なのなら
運命が私を変えてしまったんだ
暗闇に彷徨える、無知で無謀な道化へと

どうせなら楽しい方を選びたいよな、と、僕も思います。


お読みいただきありがとうございました。
FELTは同人音楽から逸脱するレベルの楽曲をハイペースで量産しているので、もしご存知なければ、これを機会に是非。