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詩 幕は開いてまた閉じる



  詩 幕は開いてまた閉じる



 死に損なった、とうのが正しい
 蘇生してやったつもりかもしれないが
 痛みと先の見えなさから
 足を踏み外したかったのに
 一端いっぱしの幸福も謳歌おうかしきって
 そろそろおいとまとしたかったのに
 懐かしの手が連れていくのだから
 うまくいかない

 もう終わりだ、
 ここから先はない、
 何度そう思っただろう
 結局まだここにいる
 とばりなんて落ちたとしても
 また幕が上がるだけ
 二度と目覚めるものかと
 たかくくっても
 また陽は昇るだけ

 いま
 起き上がるために
 手にした温みも
 いつしか、咀嚼そしゃくしきって
 味もしなくなって
 また床にす日々がくる
 そうとわかっていても
 また二本の足を歩ませる
 熱を失って
 それがまた巡ってきた頃には
 旧知の顔をしている
 その相貌そうぼうほだされて
 騙されるように目を輝かせて
 その繰り返し
 その繰り返し

 






東方とうほう輝針城きしんじょう』に登場する天邪鬼あまのじゃく鬼人きじん正邪せいじゃ』を基にした詩