詩 発火を止めて
詩 発火を止めて
都市の夜半なんて
気の大きくなった人しか
参画できないから
浴びるように酒精を振るって
焚べるように興奮を増長して
やにさがる光が 大きくなるだけ
いつも その光がつくる影に
じっと 収まりきって朝日が
昇ってくれるのを
野山を駆け巡った陽光が
醒めやらぬ夜を貫く瞬間を
待ち侘びてるだけ
のわたしは
たいそう小さく
狭く
弱い ここでは
とても 惨め
嫌いなのは
酒精に焚べられた
喧騒に取り囲まれた
やにさがる光をまとう
他人
なんかじゃない
その光をまとう
私自身のことが
大嫌い
何をしでかすかも
身の程もわからない
知らぬ間の傷を振るう暴走者に
なるわたしが
湖面のむこうから
いつも
覗いている
だから
この野山の
喧しい静謐から
灰色の心象から
連れ出さないで
鏡面に映る
わたしを
明るみにしないで
『東方天空璋』に登場する山姥『坂田ネムノ』を基にした詩