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You're Not You Anymore - Counterparts【和訳】

" 僕はもう、君そのものを愛せない
君はかつての君ではなくなったんだから
"


カナダ産叙情系ハードコアバンドCounterpartsの5th Album "You're Not You Anymore"から同名曲でありリードトラックです。

この楽曲は彼らの楽曲Collapseに用いられるフレーズが多々あり(into the black(Be all that I can see), GardenEncapsulating, sewn, stitch……)、歌い手とその恋人との関係について綴られている二曲となっています。

MVの演出はCollapseと大きく異なります。
Find it hard to feel alive(ちょっと難しいですが、「生きたくなくなってしまったら」とかはどうでしょう……)と内側に刻まれた箱に入ったカプセルを飲んだ若い男が、幻覚の中でかつての恋人との関係を回想していきます。
映像の合間にはメッセージが挟まれ、進行も非常にドラマチックで攻撃的なものになっています。
そしてコメント欄のMV解説がめちゃくちゃ長い。僕も人のことは言えないんですが長い。これの和訳に手間取りました。

Collapseでは、彼女を思うばかり縫い付けたように開かない本音の口を、血を流しながらやっとの思いで開いて
小さな問題から目を背けずに戦うことでしか二人の正常な関係は保てないと歌いました。
それから3年の時を経てリリースされたこの楽曲You're Not You Anymoreでは、二人の関係についてこう語られています。

Taking steps towards each other
We could end both our lives
(And that'd be fine)

互いのもとに歩み寄って、
互いの生涯を終わりにしよう
もうそれでいいじゃないか


- Title: You're Not You Anymore (2017)
- Lyrics: Brendan Murphy, Blake Hardman, Adrian Lee & Kyle Brownlee
- Album: 5th Album "You're Not You Anymore" (2017)


A garden grew between us in the love we lived without
Remaining faithful to the flood, our tears have purpose in a drought

互いに何の愛情も抱かなかった時間が育てた庭園
そいつが肥大化して、僕たちの距離を埋め尽くしていく
わずかに残った互いへの誠実さが、
涙となって溢れ出し、枯れ果てていく

Tread lightly so footprints can't disturb the bed we've made
With restlessness reserved for both the bodies it contains

あんまり音を立てて歩かないでよ
そんなことで僕らのやったことが変わるわけでもない
互いの体に染み込んだ不安でやってしまった事実が、変わることはない

Aim your sharpest arrow at the center of my chest
A memorial to signify the sense of helplessness

僕の胸元をその切っ先で貫いてくれ
あの日々の記憶は無力感で埋め尽くされてる

We dare not mourn our past lives, our loss will be reborn
Because I couldn't love who you were but you're not you anymore

かつての日々を悼む気なんて起きもしないで
この喪失はきっとまた蘇るんだ
僕はもう、君そのものを愛せない
君はかつての君ではなくなったんだから

Sew your skeleton to mine, I'm no good on my own
Stitch yourself to either side of me so I will never be alone

そんな姿を見せないでくれ
僕は1人じゃ全然ダメなんだ
そんな一面を見せないでくれ
僕は1人じゃ決してダメなんだ

We mend our past mistakes as a symbol that we've grown
So we no longer place our weight on top of broken bones

僕らはすっかり育ってしまった過ちを修繕するのに必死で
粉々になった骨が散らばって、身体を預ける場所もない

Mark an end to aimless roaming with a double-sided knife
If we develop eyes for others, may we both be stripped of sight

両刃のナイフを持って焦点も定まらず彷徨う
そんな時間はもう終わりにしよう
僕らの視界は、何かを見ようとしたばかりに、真っ暗になってしまったんだ

Liken our divide to partitions in the earth
Wrapped in walls of vines, growing out of common ground

僕らの住む場所は、国の境目みたいに区切られる
僕らの共通認識によって生まれる蔓の壁で

A garden grew between us
Our tears have purpose in a drought

足を搦めとる庭園は、僕らの間で大きくなってしまった
僕らの涙はいよいよ枯れ果てていく

Sew your skeleton to mine, I'm no good on my own
Stitch yourself to either side of me so I will never be alone
We mend our past mistakes as a symbol that we've grown
So we no longer place our weight on top of broken bones

そんな姿を見せないでくれ
僕は1人じゃ全然ダメなんだ
そんな一面を見せないでくれ
僕は1人じゃ決してダメなんだ
僕らはすっかり育ってしまった過ちを修繕するのに必死で
粉々になった骨が散らばって、身体を預ける場所もない

Mark an end to aimless roaming
With a double-sided knife

両刃のナイフを持って焦点も定まらず彷徨う
そんな時間はもう終わりにしよう

Taking steps towards each other
We could end both our lives
(And that'd be fine)

互いのもとに歩み寄って、
互いの生涯を終わりにしよう
もうそれでいいじゃないか

Aim your sharpest arrow at the center of my chest
A memorial to signify the sense of helplessness
We dare not mourn our past lives, our loss will be reborn
I couldn't love who you were but you're not you anymore

僕の胸元をその切っ先で貫いてくれ
あの日々の記憶は無力感で埋め尽くされてる
かつての日々を悼む気なんて起きもしないで
この喪失はきっとまた蘇るんだ
僕はもう、君そのものを愛せない
君はかつての君ではなくなったんだから

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曲名のYou're Not You Anymoreとは、「君はもうかつての君じゃない」という訳が最もシンプルかと思います。
細かいところでいうと、not... anymoreと似た意味を持つno longer...、この二つの意味を比較すると、前者は「今後について」を、後者は「現時点において」を示しているようです。(参考)
つまり、今後もきっと、壊れてしまった関係と愛情は戻らないと諦めてしまっている。
3年前の楽曲Collapseではどれだけ傷ついたとしても互いの問題を解決していくことが必要だと訴えていましたし、傷だらけになりながらも彼女の幸せそのものを願っていましたが、この楽曲ではとうとうその思いが終わってしまった……ということになります。

I couldn't love who you were but you're not you anymore
僕はもう、君そのものを愛せない
君はかつての君ではなくなったんだから

Collapseで歌われた彼女への無私の愛が未だに残っているとするなら、この歌詞は「根本から愛せなくなった」というよりも「愛する彼女と決別するため無理に理由を見つけて叫んでいる」の方が近いように思います。
どうしようもなく愛しているけど、これ以上は互いのためにならない。

また、MVの演出では最後に恋人の方からyou're not you anymoreと言っています。
彼女にとってのこの言葉は、「根本から愛せなくなった」と「決別するため無理に理由を見つけて叫んでいる」のどちらの比重が大きいのでしょうか。

とまあ、歌い手はボロボロになってもなおめちゃくちゃ頑張ったけどやっぱり失恋に終わってしまった、という曲になっています。
ハッピーエンドにはならなかったし、Collapseの最大の願いは叶えられなかった。

Genius Lyricsの楽曲解説から一節。

In their song “Collapse” off their album Tragedy Will Find Us from 2015, Brendan sings, “I would love to love you, if you were someone else.”
The line in this song could refer to the same situation,
implying that the issues they had during that period are now gone.

彼らのアルバム"Tragedy Will Find Us (2015)"に収録された楽曲"Collapse"において、Brendanはこのように歌っている。
I would love to love you, if you were someone else.
「僕は君を愛することを愛したいんだ。君が赤の他人だったとしても」
この文脈は、You're not you anymoreで歌われる以下のフレーズと同じ状況を表している。
I couldn't love who you were
But you're not you anymore

「僕には君のあるがままを受け入れることはできない。君はもうかつての君じゃないから」
このフレーズは、彼らの問題が終わってしまったことを表している。

Collapseで「君の本質そのものを愛したい」と歌っていたのに、
You're Not You Anymoreは曲名の通り「君の本質そのものが変わってしまった」と歌っていて、
これは紛れもなく、愛するべき彼女はかつてのものと大きく変わってしまった......ということを表しているのでしょう。


補足と言ってはなんですが、記事の最初で触れた、Youtubeのコメント欄に長文を投稿している猛者の考察を和訳してみます。
MVに出てくるメッセージを読み解いた結果、薬物依存と互いの関係に関連性を見出しているそうです。
確かにMVでは錠剤が多用されますし、またCollapseの歌詞にはEncapsulating(カプセル化する、カプセルに凝縮する)が出てきます。

長くなりますが原文と共に掲載します。

(Luffy Joke.氏のコメント)

"Take one to enter. Take one to exit. Do not exceed"
This is probably related to any drug addiction problem.
Whether it's love, cocaine or even anything that gives us relief from our sense of helplessness".
Once you fall in love or take a drug in such a way to prevent yourself from mourning your past life (probably a troublesome past which is something we all deal with) , the prescription is clear. It works but Do not exceed.
入口へ連れて行って。出口へ連れて行って。限界を超える前に
この文章は恐らく、何かしらの薬物依存と関係がある。
依存の対象は愛かもしれないし、コカインかもしれないし、つまりは無気力から解放してくれるような何かだ。
過去(恐らく、彼ら二人が直面した、煩わしい過去について)を悼み嘆くのをやめるために、愛に溺れたり、薬で気を紛らわすことに一度手を染めれば、すぐにでも望んだ効果は現れる。いとも簡単に。だけど決して限度を超えてはいけない。

"Wander where you please"
The drug will take wherever you want to go to feel the safest.
It's all a perfect illusion in your head and based on your own needs.
君の好きな場所へと迷い込む
薬物は最も安心を感じる場所へと連れて行ってくれる。
それはあまりに完全な姿をした幻影で、本当に求めていることの姿をしている。

"Migrate as you may"
While you might get TEMPORARY relief from the drug you're taking,
remember it's all an illusion.
Migrate as you may is a way of telling the concerned person to not rely on it all the time and seek for a better alternative to deal with the problem as early as possible.
行きたいところへ行ってくれ
一時的な解放感に浸っていたとしても、それがただの幻覚だということを思い出してほしい。
「行きたいところへ行ってくれ」というのは、大切な人に対して、薬に頼るなんてことは後生やめてほしい、抱えた問題がなるべく早く解決するような別の方法を探してほしい……という意味を込めたメッセージだ。

ここまで主に薬物依存に関して物申すって感じの解釈ですね。たとえ愛情の在処が分からず逃げる先を探していたとしても、クスリにだけは手を出してはいけないと。
まだまだ続きます。

"Keep your hunger at bay"
The problem with any drug you take to run away from anything that's bothering you is that you will unavoidably start wanting more of it.
You'll rely on it too much cause the new reality is not good enough and you need something stronger.
Which is the wrong way of looking at things cause it is all an illusion that you're making up in your head.
It's all in your head and what you need to fix is the reality in your life that's forcing to rely on the drug to escape.
Not constantly escaping.
But no, you don't do so.
You don't think rationally anymore.
You can't spend anymore minutes in this harsh reality.
"You mend your past mistakes as a symbol that you've grown.
So you no longer place your weight on top of broken bones
".
飢えを耐え凌ぐんだ
互いの苦悩から逃れるために薬を使ってしまうことは、さらなる渇望と服用を促す行為となる。もっと薬が必要になる。薬が切れたら現実には全く満足できなくなり、より強烈なものが必要になるからだ―――
これは起きた物事の側面の1つにすぎない。これ自体、彼が頭の中で生み出した幻想そのものだからだ。
本当に必要なのは、逃走のために薬に頼ってしまうような人生の中で、確かな現実を見つけることだ。
逃げる時は一気に現実から脱出するべきで、常に逃げていちゃいけない。だけど彼らは常に現実から逃避していた。最早、合理的に考えることすら出来なくなっていた。
目障りなだけの現実を過ごすことが、彼らには容認できなかった。
僕らはすっかり育ってしまった過ちを修繕するのに必死で
粉々になった骨が散らばって、身体を預ける場所もない

この解釈をもとにするならば、Collapseで言っていた「一つ一つ精査するように互いの問題を解決する」という理想と比べて、事実は全くの逆で、「クスリで現実から一時的に、しかし度重なる服用によって逃れる」ことが行われていたのかもしれません。
楽曲の歌詞が表している内容が、実際にクスリを使う行為なのか、何らかの短絡的な解決手段に対してクスリというメタファーを用いているのかは分かりませんが......

"Wrapped in walls of vines, growing out of common ground.
A garden grew between you.
Your tears have purpose in a drought.
"
Your tears have purpose in this Fantasy world.
The illusion brought to you by the drugs is magnificent and you want more of that illusion,
but that illusion becomes a new chaos. "
僕らの共通認識によって生まれる蔓の壁で
足を搦めとる庭園は、僕らの間で大きくなってしまった
僕らの涙はいよいよ枯れ果てていく

彼らは偽りの幻想のために涙を流している。
薬物でもたらされる幻想はあまりにも強烈で、更なる幻想の世界を求め、幻想は新たな混乱を生んでいく。

Cause the whole premise of taking it was that you were just supposed to be in that illusion after taking one and having to exit with another one.
By wanting to spend so much more time with that illusion,
you're taking steps towards your beloved illusion but you're no longer her sense of relief,
you become her nightmare
You're Taking steps towards each other,
you could end both your lives...
and that'd be fine.

大前提として、薬物を使えば幻覚がもたらされ、そこから抜け出すために新たな薬物が必要になる。
幻覚を感じる時間をより多く過ごしたいと思うことで、彼女よりも幻覚の世界に魅了されていき、彼女にとっての悪夢と化してしまう。
二人は歩み寄るべきだし、互いの手でその悪夢を断ち切るべき」で、言ってしまえば「それ以外に方法はない」。

クスリで短絡的な解決を試みたのは彼女だったのか彼だったのか、或いは二人ともだったのかもしれません。
どちらにせよ幻覚の中に相手への望みを預けてしまうことで、現実の関係はさらに乖離し、「(二人の足を絡めとる)は二人の間でどんどん大きくなり、歩み寄ることもできなくなっていった

Cause you'd rather be dead than not be with that illusion and that illusion would rather be alone than have you become her nightmare.
So after exceeding the drugs,
your beloved illusion will Aim its sharpest arrow at the center of your chest.
A memorial to signify YOUR sense of helplessness.

Your dare not mourn your past life, your loss will be reborn...
The person you found within that illusion couldn't love who you were but...
You're not you. Anymore.
Best Counterparts video.
From unarguably one the best songs and best album they've ever written.
幻覚と共に過ごすことでむしろ死に迫っているし、現実の彼女にとっての悪夢となることで孤独を深めている。
つまり薬に依存すればするほど、彼を魅了する幻影は「彼の胸の中心にその切っ先を向ける」。「あの日々の記憶が彼の胸中の無力感をさらけ出してしまう」。クスリに頼るほど、「かつての日々を悼む気なんて起きないで、喪失はまた蘇る」......
幻覚の中で見つけた人物は「君自身を愛することなんて出来もしない」し、幻覚の彼女に愛されるような「君は本来の君じゃない」。
Counterparts史上最高傑作のMVであり、
紛れもなく歴代最高の楽曲とアルバムだ。


すごく長くなりました。ここまでお読み頂いてありがとうございます。

最後に、この曲とこの解釈を見て、僕がなんとなく思ったことをつらつらと書いて終わりたいと思います。
……なんですけどこっからも長いな。和訳の根拠だけ見たい方は是非お立ち退きを……


僕はCollapseの和訳記事で「平穏な現実なんて誰かが作った砂上の楼閣の上でたまたま成り立っているだけ」と書きました。そしてCollapseの歌詞の「何かを守るには不断の努力が必要だ」という主張は、これと関連して深く頷くところがあります。
努力なんて大層な言葉を使えば「苦労の道を選ばなければ」と誤解することもあるんですが、ようは要領よく守りたいものを守るために何が必要かを見極めることと、それを自分にとって続けられる形に変換して実行していくことが大切だと思います。
苦労による精神的苦痛がデフォルトになっているようなドがつくようなマゾヒストなら別かもしれませんが、そんな人でも守りたいものを何年も、何十年も守り続けるのは困難ではないでしょうか。
結局「いかに負荷をかけずに維持できるか」が大切になってくるように思います。プロの世界と同じです。人生何かを続けるにはあまりに長いし。

長くなるんですが言いたいことは二つあって、ひとつは薬物に染まるのは決して人間性の弱さという一言で片づけられるものではないんじゃないか、ということです。
人間性や愛情を、ありとあらゆる、どんな状況でも保っていられる人はそれほど多くありません。通り魔に愛する人が殺されたら。100万人に1人の難病を抱えたら。何度やっても何度やっても最大の願いが叶えられなかったら。それで気がおかしくなったとして、「あの人は心が弱かった」「彼はもっと辛いことに直面していたのに」なんて風に遠ざけたら、本人はますます「自分の痛みは誰にも理解されない」と孤立を深めます。孤独を極めます。だからこそ幻覚に頼ろうとしていく。自分を認めてくれる存在へと、自分の真の痛みを理解してくれる存在へと逃げていく。
結局人間は本質的に孤独だと僕は思っていますし、なぜなら痛みの形や望みの形は一人一人全く異なるし、似ていたとしても似ているということは異なる点を持つという示唆で、結局は同一の願いや痛みなんてありはしません。
すごく悲しい事実に思いますが、これを分かっていれば多少人は人に優しくできるんじゃないかなと思います。
仮初でも、偽りでも、砂上の楼閣でも、それを維持できるのは、火を灯し続けられるのは、結局のところ長い時間をかけて賽の河原を積むように愛を証明していく他ないと思います。理解したい気持ちを証明していく他ないと思います。そうでなければ人は本質的な孤独に沈んでいく。
クスリに逃げる人は決して特別弱くなんかなくて、より人間の本質に迫った存在なんだと僕は思います。

長くなりましたね。ふたつめです。

僕はこの楽曲You're Not You Anymoreを訳す上で結構悩みました。
Collapseで守りたいものに対して誠実な姿勢を示した歌い手が、こんな悲しい結末を迎えるなんて思いたくなかったし、だから最初の訳は「二人の関係が終わった」ではなく「二人の問題は水に流れて元通りになった」と訳してしまっています。
でもそれだとどうしても整合がとれなくて、Brendanのtwitterから楽曲のコメントを探したり、インタビューを探したりしたけど、この楽曲の歌詞について言及されたものはなくて……ようやくこの和訳を出した、って感じです。

ボロボロになっても志を抱いて何かのために戦っていた人が崩れ落ちるっていうのは僕にとって悲しいです。それもCounterpartsでは3年ぶりに出されたCollapseの続編、という年月が重なった上でこの結末を迎えたわけですし。

ですが一方で、彼らは戦った末に思考をシフトしてこの結末を迎えたのかもしれません。そしてそれは決して、願いが崩壊したのではないのかもしれません。

Collapseの歌詞を見るに、分岐の末にこの結末を迎える可能性は既に示されていたんですよね。

Breathe life into me
Be all that I can see
Or carry on without me
And just know I wished you well

もう一度この体をゆり起こしてくれ
僕に視界を取り戻してくれ
それも無理なら、僕なしで生き続けてくれ
君が上手くいってくれるなら、もうそれでいいんだ

Collapseの時点で、二人で地道に現状を変えていくか、それで彼女が幸せにならないのなら彼女自身の時間を優先したい……という二つの分岐について示唆している。You're Not You Anymoreは結局その分岐のうち別離の結末に向かっただけ……という捉え方もできます。

結局のところ歌い手は未だに彼女を無私に愛しているし、だからこそCollapseの時点で示唆した「彼女の幸せのための別離」を選択したのでしょう。
Collapseの時から何度も志に基づいて現状を変えようと挑戦し続け、幻覚を見るほど更に傷は深くなって、それでもCollapseで抱いていた「彼女の幸せのための別離」という選択肢を取った……ということは、ボロボロになっても彼自身の志は失われなかったということになります。
これはある種勝利ですし幸せではないでしょうか。

この楽曲が慟哭のような未練のような叫びを伴って歌われ、本心とは異なるようなYou're Not You Anymoreという言葉で締め括られるあたりからは、この別離が彼にとってあまりに耐えがたいものであることも想像できます。
それでも、それでもなお、彼女の幸せのための別離を選んだ。

何度挑んでも叶わない願いに、孤独を極め幻覚へと逃避したその先に、
それでもなお、はじめに抱いた「彼女のため」を失わなかった。
これが勇敢でなくて、偉大でなくて何だというのでしょう。

結果は操れません。失敗は何度も起こりえます。挑戦が報われるなんて保証はどこにもありません。それでも挑んで、挑んだ先で転びに転んで、それでも最初に抱いたものを守り続けた。
そんな生き方をしてみたいものですね。