詩 滴だらけの星の夜
詩 滴だらけの星の夜
雨曝しの夜空
星も月も駆けることはない
けれど雨粒が
流星の代わりに走って
肌に落ちてくるから
星になったみたいに
笑おうと思った
月面さえも見えない
厚い雲に隔たれた
この星の流星の夜が
いちばんに好き
雨に唄おう
雨に踊ろう
華を散らす驟雨の
優しい慈雨を浴びる
兎もつられて躍り出る
地上の流星の夜が
いちばんに好き
帰る場所のことも
明日のことも
意識から取り除いて
憐憫も高揚も
一体に混じり合う
滴だらけの夜が
いちばんに好き
『東方永夜抄』に登場する不死人『蓬莱山輝夜』を基にした詩