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【詩】天蓋の簒奪


  詩 天蓋の簒奪


 方向なんてどうだっていい
 遠い彼方まで連れてって
 悲しみでも喜びでも
 絶望でも希望でも
 どっちでもいい
 目的や思想も
 大義名分や理想も
 あってもなくても気にしない だから
 とにかく 遠く離れたどこかへ
 連れ出して
 この たったひとり
 あるいはふたりしか居ない
 閉塞から 袋小路から 天蓋のもとから
 連れ出して

 宇宙でも異界でも
 新常識でも大発明でも
 悲劇でも喜劇でも
 より遠くに連れ出してくれるなら
 なんだっていいじゃあないか
 縮こまって わたしたち一人ひとりの
 違いを数えて、理解しようとしたって
 そんなの、きりがないじゃあないか
 いつまでも、わかりあえたりしないじゃあないか

 終わらない閉塞に身を投げたつもりはない
 あなたとの時間は たったそれだけのものじゃない
 遠くへ
 とにかく遠くに行きたくて
 あなたの瞳を信じたの、だから

 二人だけの操縦席から
 今、降りて
 天蓋を開け放って
 衛星へ 衛星へ






東方Project『少女しょうじょ秘封ひふう倶楽部くらぶ』系列作品に登場する女子大生『宇佐見うさみ蓮子れんこ』を基にした詩