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詩 友への贖い


 詩 友へのあがな


あてどない苦しみを
ひとつひとつ 数えて
区別して り分けて
体重をかけて つぶす
作業を くりかえした

雨の岩戸を
抜け出すこともしないまま
願いの核を
まなすこともしないまま
違いを
いさかいを
不満を
ひとつひとつ り分けて
終わらない地獄に
足を踏み入れていただけの
生涯を経てできた
魂は
神様なんかじゃないでしょう
相応ふさわしくなんかないでしょう

果てのない同調化を
共通項を躍起になって探す
ふたりのようで
さみしい孤独を
もう 繰り返す必要なんて
ないでしょう
怨みは
「同じ」という言葉が産んだ
誤解から構成されている
瑕疵エラーでしかない

染まってしまった
怨嗟は
もう 宿敵の根ざす
月にて
彼の者との心中により
わたしごと消してしまうほか
ないのです
憎しみの中で
憎めない人を見出してしまった
愚かな末路に
唯一残された
愛のためにできること
それが あの星で迎える
最期







東方とうほう紺珠伝かんじゅでん』に登場する無名の神霊『じゅん』を基にした詩