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【映画評】流転する地球

流転する地球 (China [Netflix], 2019) 原題「流浪地球

監督 グオ・ファン Frant Gwo
出演 ウー・ジン Wu Jing
   チュ・チューシャオ Qu Chuxiao
   チャオ・ジンマイ Zhao Jinmai

キーワード「ロシュ限界」(Roche limit):主星の潮汐力によって、衛星がそれ以上近づくと破壊されると想定される限界距離

時は2061年。太陽が老いて赤色巨星になろうとしていた。地球は連合政府をつくり、人類文明を保全するため、地球を4.4光年はなれたアルファケンタウリに移動させる計画を開始する。

その過程で、重力を利用する予定だった木星を通過する際に「重力の急激な上昇」が発生し、破壊的地震が起こって地上の推進器の多くを動作不能にする。結果、危険なまでに木星に接近し、地球の終焉が迫る。ロシュ限界の内側に入るのは時間の問題となる。

その破局を回避し、人類を救おうと立ちあがる人々の物語。SFのプロットとしては地球の物語なのだが、映画としては人間、とりわけ親子やきょうだいや友人の物語だ。

佐藤正久氏が中国の宇宙進出の脅威について説明するなかで面白い映画として紹介していた。そんな覇権国家的な中国に、この映画に描かれたような人類愛が本当にあるのだろうかと、一瞬いぶかしんでしまうが、地球の危機という場に居合わせれば、こうなるのかもしれないと思わせるだけの説得力が、この映画にはある。

クライマクスに至る重層的な展開は見ごたえがある。

原作はリュウ・ジキン (Liu Cixin, 劉慈欣、長編小説『三体』でアジア初のヒューゴー賞を受賞) の短編小説「流浪地球」(「さまよえる地球」[「S-Fマガジン」2008年9月号、下], 'The Wandering Earth')。

#映画評 #中国 #SF #地球 #木星

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