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ブルーズの基礎知識(3) 'dust my broom'

※ 旧「英詩が読めるようになるマガジン」(2016年3月1日—2022年11月30日)の記事の避難先マガジンです。リンク先は順次修正してゆきます。

ボブ・ディランのフォーク音楽の基礎をつくったのが、バラッドとブルーズ。そのうち、ブルーズ詩の基本をおさえています。

これまでの2回で基本の型については一応おさえました。2AA の型が8割であること、行の真ん中に休止があることなどがそれです。

そうした型を駆使し、「真実」を分析する材料を聴衆に提供するのがブルーズだということを見てきました。

今回は中身のことばの一端にふれましょう。ブルーズの定型句とも言える 'dust my broom' というフレーズについて考えます。

目次
'dust my broom' の意味
Robert Johnson, 'I Believe I’ll Dust My Broom'
Ted Gioia, 'Delta Blues' (2008)
Elijah Wald, 'Escaping the Delta' (2004)
Pearson and McCulloch, 'Robert Johnson' (2003)
解釈

※「英詩が読めるようになるマガジン」の本配信です。コメント等がありましたら、「[英詩]コメント用ノート(201707)」へどうぞ。

これまでに扱った基礎知識のトピックについては「英詩の基礎知識 バックナンバー」(「英詩の基礎知識(6)」に収録)をご覧ください。

Bob Dylanの基礎知識(1)」「Bob Dylanの基礎知識(2)」「Bob Dylanの基礎知識(3)」「Bob Dylanの基礎知識(4)」もあります。

バラッドの基礎知識(1)」「バラッドの基礎知識(2)」もあります。

ブルーズの基礎知識(1)」「ブルーズの基礎知識(2)」もあります。

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'dust my broom' の意味

'dust my broom' とはどういう意味か。「箒の塵を払う」という文字通りの意味なのか。知る限りではどの辞書にも出ていない。

しかし、ブルーズでは「去る」の意味で使われている。なんでそんな意味に? と誰しも思う。その点を考えてみようというのが今回の趣旨。

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