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むしろ、祈りの静かな力を行使すること。

10月の末が近づいてくると、世間はハロウィーンを気にし始めます。

そこからいったん身を離してじっくり考えてみると、無自覚にその流れに乗ることが危ういと感じられてきます。これは単なる表面的なものではなく、人の内面の深いところに影響を与え得るからです。

先日、ある教会の司祭がハロウィーンに警鐘を鳴らしました。それは悪霊から身を守るために何が必要かという話の中ででした。

何が必要かというと、祈りです。それは特定の祈りで、司祭は古い祈祷書にしか載っていないと話しました。

しかし現在では、幸いなことに、その祈りはインターネット上のウェブサイトで見ることができます。本記事はそれの紹介と、最後にそれ以外のこと(ハロウィーン等)を書きます(最後の部分のみ有料)。ご関心の向きはどうぞ。

目次
 バチカンの声明
 Sub tuum praesidium
 大天使聖ミカエルに向う祈り
 ハロウィーン
  カトリック的
  典礼暦
  3日間
  諸聖人の祭日
  死者の日
  霊戦

_/_/_/

バチカンの声明

ローマ教皇のメッセージをビデオで伝える The Pope Video10月のメッセージ#PrayForTheChurch のタグが付いている。そのあとにタイトル 'Special prayer campaign for the Church – The Pope Video – October 2018' が続く。この同じタイトルの動画が YouTube にあり、そこに詳しい説明が文字(英語)で付いている。日本語の説明も別のところにある。

ほぼ同じ内容を伝えるカトリック中央協議会のページには次のように記載されている。

 バチカンが9月29日、発表した声明によりますと、教皇フランシスコは全世界のカトリック信者に向けて、10月の「ロザリオの月」の間、毎日「ロザリオの祈り」を唱えるよう呼びかけています。
 教皇はカトリック信者に、「神の民としての交わりと悔い改めのうちに一致して、私たちを神から引き離し、仲たがいさせようと絶えず試みている悪魔からの保護」を願い、「神の聖なる母と聖ミカエル大天使に祈る」よう促しています。
 教皇は「ロザリオの祈り」の最後に、古来の聖母への祈り「Sub tuum praesidium」(スブ・トゥウム・プレシディウム)と、悪との闘いでの保護と助けを願って「大天使聖ミカエルに向(むこ)う祈り」を唱えるよう勧めています。
 教皇はマリアに教会の保護を願って祈ると同時に、「教会がその罪と過ち、現在と過去に犯した虐待をより深く意識し、悪がはびこらないように、ためらいなく闘う決意を固める」ことも願っています。

これらの祈りをすべてⅠ枚のPDFにしたものがあり、印刷しておけば便利だ。
→ 冊子 – PrayForTheChurch – 日本語 (PDF)

以下、「Sub tuum praesidium」と「大天使聖ミカエルに向(むこ)う祈り」の2つの祈りについて。


Sub tuum praesidium

現代語訳

✝ 神の御母よ「Sub tuum praesidium」
神の御(み)母よ、わたしたちはご保護を仰ぎます。いつ、どこでもわたしたちの祈りを聴き入れ、御(おん)助けをもってすべての危険から守ってください。アーメン。
(「終業の祈り[聖母の祈り (神の御母よ)]」、カルメロ神父編『祈りの友』、第5版、1983年、132頁;「スブ・トゥウム・プレシディウム」、同書、219-220頁)


文語訳

✝ 聖母への祈り(終業の祈り)「Sub tuum praesidium」
天主の聖母の御保護によりすがり奉る。
いと尊く祝せられ給う童貞、
必要なる時に呼ばわるを軽んじ給わず、
かえってすべての危うきより、
常にわれらを救い給え。アーメン。
(「終業の祈り」、カトリック中央協議会編『公教会祈祷文』、1948年、21頁)


英語訳(1)

The Prayer “We Fly to Thy Patronage”
We fly to thy patronage, O holy Mother of God; despise not our petitions in our necessities, but deliver us always from all dangers, O glorious and blessed Virgin.
https://www.catholic.org/prayers/prayer.php?p=1535

英語訳(2)

Sub Tuum Praesidium
We turn to you for protection, Holy Mother of God.
Listen to our prayers and help us in our needs.
Save us from every danger, glorious and blessed Virgin.
http://www.kofc.org/en/resources/cis/devotionals/prayerstoBVM.pdf


ラテン語訳

Sub tuum praesidium confugimus, sancta Dei Genetrix; nostras
deprecationes ne despicias in necessitatibus nostris, sed a periculis
cunctis libera nos semper, Virgo gloriosa et benedicta.
R. Amen.
http://www.ewtn.com/library/prayer/latrosar.htm

※ ラテン語 praesidium は「保護」の意の中性名詞の対格形。sub は前置詞で、対格をとるときは「下へ」の意。tuum は所有代名詞 tuus「あなたの」の対格形。Sub tuum praesidium で「あなたの保護の下へ」の意。


大天使聖ミカエルに向う祈り

現代語訳

大天使聖ミカエルへの祈り
大天使聖ミカエル、悪との戦いにおいて、私たちを守り、凶悪な企みに打ち勝つことが出来ますように。神の命令によって悪魔が人々を害することが出来ないようにお願い致します。天軍の総帥、人々を惑わし、食いつくそうと探し回っているサタンと他の悪霊を神の力によって地獄に閉じ込めて下さい。アーメン。
https://www.cbcj.catholic.jp/2018/10/01/17671/


文語訳

✝ 大天使聖ミカエルに向う祈り
天軍(てんぐん)の栄(さか)えある総帥(そうすい)、大天使聖ミカエルよ、
かつて悪魔の大軍が、全能なる天主に反(そむ)きし時、
御身(おんみ)は、『たれか天主にしくものあらん』と叫び、
あまたの天使を率いてかれらを地獄のふちに追い落し給えり。
故に公教会(こうきょうかい)は御身をその保護者となし、特に日本公教会は、
御身をその守護者と崇(あが)め奉(たてまつ)る。
願わくは霊戦に当りてわれらを助け、悪魔を退け給え。
われらをして御身にならいて、常に天主に忠実ならしめ、
その御旨(みむね)を尊(とうと)み、その御戒(おんいまし)めを守るを得(え)しめ給え。
かくてわれら相共(あいとも)に天国において、天主の御栄(みさか)えを仰ぐにいたらんことを。
御身の御取次(おんとりつぎ)によりて天主に願い奉る。アーメン。
(カトリック中央協議会編『公教会祈祷文』、1948年、251-252頁)

※ カトリック中央協議会のページ では上の2つの祈りを並べて挙げている。これらは実は違う祈りである(よくみると「大天使聖ミカエルに向う祈り」は「大天使聖ミカエルへの祈り」を日本のカトリック教会向けに敷衍したような内容である)。ところが、先に挙げた説明では教皇が勧めているのは「大天使聖ミカエルに向(むこ)う祈り」とある。これは(日本のカトリック教会のみに関わる内容を含むことから)不適切で、教皇が唱えるよう勧めているのは、「大天使聖ミカエルへの祈り」だと考えられる。The Pope Video の YouTube のページには「大天使聖ミカエルへの祈り」(英語訳)が掲げられている。その英語訳を次に掲げる。


英語訳

Prayer to St. Michael the Archangel
Saint Michael, the Archangel, defend us in battle. Be our protection against the wickedness and snares of the Devil. May God rebuke him, we humbly pray; And do thou, O Prince of the heavenly host, by the power of God cast into hell Satan and all the evil spirits who wander through the world seeking the ruin of souls. Amen
https://www.youtube.com/watch?time_continue=59&v=ecB8ZppHWsw


この祈りの文語訳は存在する。次に掲げる。

文語訳

大天使聖ミカエル戦いにおいてわれらを護り、悪魔の兇悪なる謀計に勝たしめ給え。天主のかれに命を下し給わんことを伏して願い奉る。あゝ天軍の総帥、霊魂をそこなわんとてこの世をはいかいするサタンおよびその他の悪魔を、天主の御力によりて地獄に閉じ込め給え。アメン。
(フェデリコ・バルバロ訳編『毎日のミサ典書』、第11版、ドン・ボスコ社、1966年、763-764頁)


ラテン語版

Sancte Michaël Archangele, defende nos in prælio, contra nequitiam et insidias diaboli esto præsidium. Imperet illi Deus; supplices deprecamur: tuque, Princeps militiæ cælestis, Satanam aliosque spiritus malignos, qui ad perditionem animarum pervagantur in mundo, divina virtute, in infernum detrude. Amen.
(同上)

※ 7語めの prælio は proelio に同じ。「戦い」の意。


別のミサ典書をもとに同じ祈りを掲げる。

英語訳

Holy Michael, Archangel, defend us in the day of battle; be our safeguard against the wickedness and snares of the devil. May God rebuke him, we humbly pray: and do thou, prince of the heavenly host, by the power of God thrust down to hell Satan, and all wicked spirits who wander through the world for the ruin of souls. Amen.
(Reverend J. O'Connell and H. P. R. Finberg, eds., 'The Missal in Latin and English', Burns Oates and Washbourne, 1949, p. 749.)


ラテン語版

Sancte Michael Archangele, defende nos in prœlio, contra nequitiam et insidias diaboli esto præsidium. Imperet illi Deus, supplices deprecamur: tuque princeps militiæ cælestis, Satanam aliosque spiritus malignos, qui ad perditionem animarum pervagantur in mundo, divina virtute, in infernum detrude. Amen.
(同上)

[Michael the Archangel by Guido Reni (1636)]

これがわたしたちの力です。この世の論理にしたがって力で圧倒したり、より大きな声で叫んだりするのではなく、むしろ、祈りの静かな力を行使すること。
     教皇フランシスコ

ハロウィーン

ハロウィーンについてカトリックの立場から警鐘を鳴らす文章は多く存在する。例えば、次のもの。

Halloween and Spiritual Warfare
The Epic Catholic’s Guide to Halloween and Spiritual Warfare
Spiritual Warfare: The Occult Has Demonic Influence

これらはみな霊戦(spiritual warfare)に焦点を当てている。上に見た「大天使聖ミカエルに向う祈り」に出てきた〈願わくは霊戦に当りてわれらを助け、悪魔を退け給え。〉を想起する。善霊と悪霊との戦いである。


カトリック的

しかし、中には思わぬ角度からこの問題に光を当てる考察もある。簡単にいえば、ハロウィーンとはカトリック的なものだという驚くべき主張だ。世間で信じられている「ハロウィーン=異教」説とは180度逆の説だ。しかも、この主張は、淡々と事実のみを述べている。どういうことなのだろうか。ちょっと見てみよう。

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