異例のひと

どう足掻いても敵わないと思える人に出会ったことがある。

能力の高さもそうなのだけれど人間的魅力であるとか、その人の地下深くに澄んだ泉があってそこに身を浸していたであろう形跡を感じられる人。

その人の前では俺のあてがうどんな言葉も陳腐に思えてきて、陳腐な言動から空虚な人間性が露呈するのが怖くておどけた態度をとってもそれすらその優しく鋭い眼差しで見破られてしまう。

どうか見破ってください、って思う。

ただただやるせなさだけが残り、己のしょうもなさにまざまざと対峙させられ参ってしまう。

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