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「血と愛と王位」VS「ブーリン家の姉妹」

昔、映画「ブーリン家の姉妹」を見て、非常に後味が悪かった思い出しかないアン・ブーリンのお話。

この作品を見て「こちらの解釈を採用!」という気持ちになった。

ドラマの中に有識者の解説が加わるドキュメンタリー仕様が新鮮で面白かった。(この解説を読む感じ、これからイギリスの別の時代も描かれるのかな?)



「ブーリン家の姉妹」はナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンという魅力的な女優を起用し、ドラマ以上にドラマティックな史実を描いているのに、個人的にあまり面白くなかった。それは人物描写の肉づけに説得力ある根拠が感じられなかったからだとわかった。

(古いし、公式じゃないかもw)

特にアンとメアリーのキャラ設定が、今思えばキモかったな。
「常に優しく従順で控えめ、愛され大切にされた妹のメアリー」
「頭がよく高慢で野心家、戦略が上手だっただけで真に愛されたわけではなかった姉のアン」
姉妹とヘンリー8世の、それぞれの初夜が正反対に描かれていたことが印象的。

当時、時の権力者に盾つかず押し黙って横暴に耐える美女、すなわちメアリーのような人は五万といただろうよ。クセ強ヘンリー8世が愛したのは、そんな宮廷の多数派のような女?その一方で、気の強い美女に仕掛けられた駆け引きで、新興のテューダー朝を背負う一国の王が信仰や国の制度を変えようとまで思うかな?

アンの絶望を煽ったラストも本当に救いがなくて、この映画が伝えたかった教訓は「愛されるのは生意気な女ではなく、物言わぬ美しい女」「身の丈に合わない野心は持つな、慎ましい人間だけが幸せになれる」なのでしょうか。だとしたら、つまんね。


しかし「血と愛と王位」を見て納得。

その他大勢の愛人たちと同様に、事を荒立てない性格でヘンリー8世の愛人を無難に務める姉のメアリー。しかし、妹のアンは違った。(アンとメアリーの出生順は諸説あるそう。)

当時としては命の危険もあるほど急進的な思想に興味を持ち、主体性のある強い女性。国王の最たる望みが世継ぎの男子であることを理解し、愛人のまま妊娠しても世継ぎにならないためセックスしないときっぱり断る。(愛人の子供は王位継承権を持てない)

成り上がり貴族の娘であるアンが大きなことを成そうと思えば、ヘンリー8世の寵愛を利用するしかない。国王の思想に影響を与え、イギリス国教会樹立、そして離婚まで実現させ、王妃の座を手に入れる。

栄光もつかの間、因果応報か息子に恵まれなかったアンは失脚。国王から切り捨てられてしまう。

しかし、アンの一人娘・エリザベスがアンの夢を体現する。女王として君臨し、イギリスに黄金期をもたらした。大きな野心を抱き、時代や権力に逆らうことも厭わなかったアンと賢く強かなエリザベス1世。個人的にカタルシスのある展開だった。

同じ題材を扱っても味つけで全然違う仕上がりなのが面白い。

「ブーリン家の姉妹」は無名のメアリーに無理矢理スポットライトを当て魅力的に描くことを頑張った結果、ストーリーが少しいびつになった感。「血と愛と王位」のシリーズはこれからも楽しみにしていきたい。

※バナー画像はNetflix公式よりお借りしました。

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