パリアメ・アンリについてぐるぐる考える

Twitterでミュージカル垢を始めてから、すごく楽しくて、観劇した後にはレポ(という名の独り言)で皆様のTLを埋め尽くしたりしています。その節はすみません。

しかしTwitterという場所は基本的に140字ごとしか呟けないので、何かまとまった文章を書くには向かない場所で。そして、これからアンリについて書こうと思うのだけど、一つのツイートだけを取り出して見ると誤解されるかもしれないと思って、noteというものを活用してみることにしました。

ただし基本的に長文を書く訓練をしていないので、ツイートするくらいのまとまりしかないだらだらとした文章になると思われます。ていうかめっちゃ長くなっちゃった。

文章にまとめたいのは、自分のためが一番大きいのです。普段のレポも自分の備忘録が一番大きな理由です。書くことで整理されたり、吐き出してすっきりするためのものです。笑 それをもし万が一、共感してくださる方がいたら、それだけで〜最高の〜し〜あ〜わ〜せ〜!(メロディーに乗せて)

アンリというキャラクターについて

4月に開催されたオフステージトークで、映画版との違いについてというテーマで、唯くんがアンリについて話してくれました。海外スタッフからの指示は、アンリは中性的なキャラクターであるということ。そして、ゲイでもいい、と言われたというお話でした。ストレートでもゲイでもいいと。決まってないんだそうです。その時唯くんは、「僕がどんな設定で演じているかはご想像にお任せします…笑」と言ってましたね。

ちなみに、アンリの性的指向について決まっていないことにびっくりしている方を見かけましたが、個人的には、決まってなくたって全然いいと思っています。異性愛者がデフォじゃないのです。劇中ではっきりと示されない限り、その役はどっち(そもそも二択ですらないけど)の可能性もある。この前見たキンキーブーツでは、春馬ローラは異性愛者であるように見えたし、ビリー・ポーターさんは同性愛者として演じていたそうです。話がずれた。笑 まあキンキーブーツの話もそのうちnoteにまとめるかも。

というわけで、アンリは異性愛者かもしれないし、同性愛者かもしれない。バイセクシャルかもしれない。それは、共通の設定ではないのです。演じる俳優に任せられている、ということだとわたしは解釈しました。

唯アンリについて

ここからは、完全にわたしの想像です。唯くんが「ご想像にお任せします」って言ってたから想像してみただけです。全然違うかもしれない。わたしがそう受け取ったというだけです。

まず唯くんアンリはおそらく、異性愛者、少なくとも異性を恋愛対象として見ていると思っています。公四季の対談で、唯くんは「アンリはきっと、どこかのカフェで普通にリズと出会いたかったと思う」と言ってます。唯アンリはリズのことを心の底から愛してるし、そして戦争中の体験によってその愛が「普通の形」を取れないことにどうにもならない悔しさともどかしさを感じているような気がします。

唯アンリはきっと、自分が結婚しようと言ったらリズは断らないだろうことを分かってる。手紙に逃げようとするのは、断られるのが怖いからじゃないと思うんです。そうじゃなくて、リズが自分の顔を伺って、「正解」を探してYESと言ってくれたことに気づいてしまうのが怖いんじゃないかと。だから、母親に無理やりお膳立てされた時に、自分が答えを求める前にリズが自発的に一緒にアメリカに行くと言ってくれてあんなにも幸せそうな顔をするんです。あのシーンの唯アンリは、最初すごく不安そうで、おどおどわたわたして、そして「する」と言ってくれたリズを見て心底幸せそうな顔を見せてくれます。超絶可愛いです。「君のおかげで僕はすごく幸せだよ!」と言いながら、本当に本当に幸せそうな顔をする。だけどわたしは、その前にリズがセーヌ川のほとりで同じように本当に幸せそうな顔をして踊っていたのを観ているから、唯アンリのその顔を見ると泣きそうになっちゃう。

リズの幸せを想い、唯アンリが下す決断は「正しいこと」なんだと思う。ラストシーンでジェリーのところに現れたリズはすごくすごく晴れやかな幸せな顔をしてるから。だけどジェリーのところに行くリズの背中を見送った唯アンリは、どうしたらいいの。「奪えはしない…」ってあんな切ない笑顔で歌う唯アンリは、どうしたら幸せになれるの。でも、それが人生なんですよねきっと。唯アンリには、いつか幸せになってほしい。アメリカに行って、ミュージカルスターになって、その中で誰か素敵な人と出会えたら、そして幸せになれたらいいなと祈っています。

だいぶ重いね。唯アンリ大好きなんです。パリアメも、大好きなんです。初めて観たときは、アンリを幸せにしろーーー!!!ジェリーめ!!!て思ったけど、でもリズがジェリーに見せる笑顔を観たらそんなこと言えないよ。マイロを幸せにしろーーー!!ジェリーめ!!!とも思ったけど。でも、なんども観るうちにジェリーのことも大好きになって(酒井さんがありえないスピードでパワーアップしてるのも大きいと思うけど)、唯アンリの決断も含めてこの物語が大好きになって、それでこんなに足繁く通ってるわけなんですよね…

すすアンリについて

それが、5月10日に、個人的2回目となるすすアンリを観まして。1回目は2月に急なキャス変で出たときだったので、わたし自身の心が穏やかじゃなく(唯くんが心配で)、ほぼ今日が初めてと言って差し支えないです。そしたら、アンリという人物が全然違う人に見えてきて、衝撃を受けました。

あくまでわたしの受けた印象ですが、すすアンリは多分、ゲイなんだと思いました。なんかすごくアウティングしてる気分で居心地が悪いな。笑 劇中のことだから、アウティングにはならないよね?

この作品の舞台は1945年、まだまだ同性愛者に対して寛容とは言えない社会で、アンリはさらに裕福な家の一人息子。とても自分がゲイだなんて言えなかっただろうし、責任感の強い彼は両親のため、リズのため、そして自分を守るためにリズと結婚しようとしていたんだと感じました。リズのことは愛しているけど、それは家族としての愛であって、恋愛対象ではない。むしろ最後まで、戦時中と同じような「守るべき存在」として接しているように感じました。

先ほど唯アンリの可愛さについて語りましたが、同じくプロポーズをお膳立てされるシーンですすアンリは全然わたわたしないんですよ。むしろ、この場をどうやって乗り切ろう、まずいことになっちゃったな…的な感じ。その表情を見て、「ん?このアンリ、リズのこと好きじゃない…??」と感じました。そう思って見てみると、いろんなシーンがアンリの秘密を匂わせているように見えてくるんですよ。

ジェリーが言う「自分だけの秘密を抱えてる人はたくさんいる」も、'S Wonderful後のカフェデュトワで「母は僕の恋愛対象が女性以外だっていうんだよ〜はっはっは〜」のシーンも、ボーレル家でのパーティーで「僕の秘密を知られちゃ困るんだ!」「どの秘密?」も、ジェリーとリズの「アンリは私をとっても愛してくれてる」「ああ、僕が最初に飼った子犬を愛したようにね!」も、モンマルトルでアンリが両親に言う「僕は自分の本当の望みを隠して来た」も急に意味深に聞こえてきて、劇中わたしの心中は大嵐でした。

特に、カフェで三銃士が会話するシーン。アダムがアンリに「人生において正直になれないなら〜」っていうセリフがありますが、アダム(とジェリーも?)はもしかして勘付いていたのかしら。そしてリズの手紙は唯アンリとは全く逆の意味に聞こえて、衝撃でした。すすアンリは、「これはロマンチックな愛なのかしら」と躊躇するリズの文章を見て、自分がその意味ではリズを愛していないことを彼女に見抜かれていたんだ…みたいな演技をしたんです。プロポーズもOKもらって、これで大丈夫、両親も安心させてあげられるとホッとしていたのに。唯アンリは、リズのほうが自分を愛していないことを悩む手紙だと思ってショックを受けるのに(実際リズはその意味で書いてる)、全く逆でした。すすアンリが言う「そうだよ、愛は育つよ!」は自分の問題に解決策が見つかったようで。

どちらが良い悪いではないという話。これが一番大事。

今まで観ていた人物が、急に全く違う人に見えて、そうすると当然周りの人との関係も会話も変わって見えてきて、こんだけ回数観た作品でこんな体験をするとは、衝撃でした。

すすアンリの解釈に従って今日本編を観終わったら、すごくハッピーエンドな幸せな気持ちになりました。義務やしがらみから解放されたのはリズだけではなくアンリもまた同じで、ジェリーもリズもアンリもアダムも、みんなそれぞれの形で幸せに向かっていったように見えて。「正しいこと」がみんなにとってもそれぞれに良いことで、パズルのピースがぴったりはまったような、綺麗なストーリーでした。唯アンリの涙ぐんだ顔とは全く違うものでした。

だけど、どっちが良い悪いじゃないんですよ。これ大事。ほんと。それぞれ好みはあると思います。だけどどっちが正解とかではないし、製作スタッフが設定を固定していない以上、どちらもありなんですよね。パズルのピースがぴったりはまったら気持ちいいけど、それが全てではないと思うんです。アメリカ映画みたいにみんながハッピーエンドに、綺麗に終われなくても良い。唯アンリが幸せな笑顔を見せられない終わり方もわたしは大好きなんです(鬼のように聞こえますね)。アンリはフランス人だからきっとC'est la vie.って言うかな。

そして同時に、矛盾するようだけど、これは芸術作品だから、現実に変えられないものを変えてくれる、丸ごとお祝いのような作品であっても良いと思うんです。やっぱりハッピーエンドじゃなきゃねっていう気持ちもあります。つまり、どっちも好きです。

色々長々書きました。基本、全部わたしの妄想だと思ってください。受け取り方は人それぞれなので、今日の同じすすアンリを観て全く違うことを感じた方もいるでしょう。唯アンリの解釈が異なる方もいるでしょう。みんな違ってみんないいです。あくまで、わたしが感じたことです。結論としては、パリアメ大好きです。また観る。もっと流行れ(念じる)!!

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