「巡る」#掬することば

※2月4日の「World Cancer Day」に向けて、豆本詩集『汀の虹』の詩を、noteに1日1篇ずつ置いています。
19篇目は「巡る」です。

Flowers 「エクスプレッション」(2017.1 花店note)

季節が2周するまでは、ただただ堂々巡りしているような気持ちでした。

春の風を感じると、流産や治療の記憶がぶり返し、夏の日差しでまた寛解から1年経ったことを実感し。秋になると「産まれていたら何歳か」と数えてしまうので、仕事をたくさん入れてしまう。冬になると、また春が巡ってくることがこわくなる。

いつまで経っても、同じところをぐるぐるしているような。

でも『ココロイシ』を制作して、今まで表現できずに抱えていたものを少しずつ整理して「交わすこと」ができるようになった3周目の春から、気持ちが少しずつ変わってきました。

同じ季節を巡ってはいても、細々とでも、時にこんがらがりながらも。目を逸らすことはせず、見つめ、考え続けてきた。その途切れずに続いた時間が、細いながらも道となって、のこっていきました。

その軌跡を辿ると、決して同じ道ではない。続けるうちに、深まり広がるものもあるんだなと、そんなことを教わった3年でした。

それは本人の努力以上に、まわりの存在があってこそだったというのは、今になって気づいたことでした。

本人が気がすむまで、納得いくまで自分なりに描き続けることを、あたたかく見守り受けとめてくれた人がいた。だからこそ気がすむまで、納得いくまで巡ることができたんだなと。そんなことを感じています。

最後に添えた映画は、がんになる前年、町の映画祭の企画に関わっていた頃何度も観た映画です。

「選択と結果、選択と結果。その積み重ねが今だろう」という台詞も、モノクロームのワンシーンワンシーンの中を生きていた人たちの佇まいが忘れられません。

それぞれの歌にも「それでも生きてゆこう」と思う力をもらった気がします。

めぐる【巡る】
1 周囲をまわる。周囲に沿って進む。
2 周囲を取り囲む。取り巻く。
3 あちこちまわり歩く。巡回する。
4 まわって再びもとに返る。
5 ある事柄を中心としてそのことに関連する。
6 一点を中心として回転する。
7 輪廻 (りんね) する。
8 この世に生きる。世の中に交わる。
(デジタル大辞泉)
『汀の虹』のみちしるべ 
『汀の虹』は、がんによる孤独の中で握りしめていた“ことばの欠片”を道標に制作しています。握りしめていた“ことばの欠片”の大半は、それまでの人生で大切な人から贈られたことばや、何度も触れた本や音楽、映画のことばでした。

そこからことばをひとつ手にとってはタイトルとして置き、心の奥に沈んだ治療前後の記憶を一つずつ掬い上げ、重ね綴っています。この本や歌、映画の中にあることばや情景をみちしるべにしていたような…という作品のタイトルだけ、最後に添えていきます。(以下、敬称略)

「巡る」
三宅唱『Playback』
Mr.Children『もっと』
BUMP OF CHICKEN『ギルド』『fire Sign』
スガシカオ『春夏秋冬』

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読んでくださりありがとうございます。この文章が何かを「交わす」きっかけになるとうれしいです。

ありがとうごさいます🐱
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『汀の虹』

流産とがんを経験した3年間の心の変化を、小さな詩と花とともにおさめた豆本詩集。がんになって5年目の節目に、綴ったことばをもう一度掬い上げて置きなおしています。
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