Typing 32|May 22,2022

2022年5月22日(日) 6:04am 天気:晴れ

さて、今日もタイピングしていくのだ

わしはだれじゃろうか

いきなり
年寄り風なのでてきたね

でもわしが年寄りなんて誰がわかるのじゃ

わたしは年寄りではないよ

いきなり自由に泳いでますね

また違うおれが言っている
そしてまた若者風の俺は
女性になろうとしていて
わたしはワンピースをきたいわ
と言っている
そしてもう既に
今日は迷宮入りしているらしく
いきなり始まったな
もう歩いているんだね
そう声が移り変わっていく世界なんだよ
これは今は鏡に囲まれた部屋にいて
鏡は虹色の光が反射し続けている
その鏡に映った無数のわたしの姿は
まだぼやけていて
はっきりとわからないのだ
顔もどういう顔をしているかみえない
わたしは鏡の中にいながらも
同時に椅子にすわりPCでタイピングしていた
タイピングをしていくとどんどん
景色が移り変わっていく
タイピングの手をとめると
その鏡に囲まれた部屋に戻ってくる
おれはどうやったらその部屋をでられるのだろう
そのとき頭上をみると
どこが終わりなのかわからないほどの
鏡の壁が聳え立っていた
入り口は大人が二人入れる程度の
いびつな円形をしている
そこから光がわたしのいるところまで降り注いでいる
色は白で雲はない
そこは外なのかもわからない
出口なのかもわからない
どうやったらこの鏡の部屋を抜け出せるのだろうか
そもそもなぜここにわたしはいるのかもわからない
鏡を一枚一枚手で触れてみると
冷たいものもあれば
あたたかいものがあり
一枚一枚温度が違う
そして鏡によっては
ぐにゃぐにゃに変形しては手を離すとすぐ戻ったりときにはゆっくり戻ったりしてくる
そしてわたしはしばらく歩き回り
その感触を楽しんでいた
すると一つの鏡の中に手を入れたとき
その手がゆっくりと引っ張られていった
いや引っ張られたというよりは
ゆっくりとでも確実に力強い
力で吸い込まれていった
わたしはその虹色に輝いている鏡の中に入っていった
わたしの体をさまざまな角度から
虹色が侵入してくる
目や口や鼻や耳や肛門
そして頭皮や毛穴一つ一つからも光が侵入しては出ていく
虹の光があたたかい水になりわたしの体を包んでいく
いや
わたし自身が虹の光になっているのかもしれない
その光は上昇しいていきスピードが早くなっていく
ものすごい音だ
鼓膜が破裂してしまうのではないかとおもったとき
わたしは手で耳を閉じた
その音は一瞬で静かになり
わたしは真っ暗闇の中にいた
そこは静かでとても大きな空間で
夜空そのものだった
わたしは夜空の中に浮いているようだったが
どこを見渡しても真っ暗だった
わたし一人しか存在しない空間すると
どこからともなく
白から黄色
青から赤
色々な光になっては変化していく点があらわれ
それはやがて大きくなってこちらへ向かっては
通り過ぎていく
その数は数えられないほどとても早いスピードで
どんどん増えていく
もはやわたしは何をタイピングしているのかわかならい
ふと我に帰ってPCにタイピングされる文字を眺めている
そこに言葉がタイピングされていくが
わたしが書いているのかどうかもわからない
ただただ
わたしの手が動いているのだ
コーヒーを一口流し込んだわたしは
冷蔵庫の機械音に気をとられた
そして目の前から地下水が湧き上がる音が飛び込んでいき
わたし自身はその音にもはやなっていて
でも水にはなっておらず水路にわたしはながれていない
わたしは繰り返されるように聞こえる
流れる水の音になっていた
その音は流線を描きながら上から下に落ちていく
落ちているのにどうやって繰り返されているのかわたしにはわかっていない
上に登っている感覚もない
上から下に落ちて流れていないのにどうやって繰り返されるのだろうか
音になっているわたしは気づいたらそんなことまで考えていた
音にも理性があるのかとわたしはわたし自身に関心していた
言葉まで使えることに驚いていた
するとわたしは遠くに聞こえる車の音に耳を奪われ
その瞬間にその音になっていた
大地を叩き助けるように進む音にかわったり
軽快に走っていく音に変化したり
自由自在に変化していくがなぜか翻弄されていない
そしてわたしは道路になりわたしのうえをたくさんの車のタイヤが通過していく空を見上げていた
わたしは踏まれ続けるのだ
それがわたしの人生
不思議と後悔はない
どこまでも続いている道路にわたし自身は満足していた
そして空を見上げながら
大雨に打たれたり雷の光のダンスを楽しんだり
空や雲の会話を見守っていたのだ
人間より人間らしい彼らの生き様を見ていると
タイヤに踏まれ続けることはすっかり忘れていた
わたしもあの空になってみたいなと思った瞬間
今度はわたしが道路を見下ろしていた
思った瞬間にその対象にわたしはなってしまうのだろうか?
さっきからこの連続な気がしている
そのくらいスピードは速く
しかも行き来できる距離も制限がない
自分がどういうふうに思えるかですべてがかわる
そんなことまでわたしは考えていた
もはや自分が何者かはまったくわからない
PCをタイピングしているのが俺なのかわたしなのから彼なのか彼女なのか
わたしは身体的にセックスしていなくても
セックスをしているのだ
その瞬間にセックスをしているのだ
いや
セックスではないのかもしれないな
それは
身体をともなっているものがセックスなんだろう
この実態のないセックスのことを言葉ではなんというのだろう
わたしにはわからない
妄想
という言葉で片付けられているが
実際にはそうでないのかもしれないと思っている
妄想とはなんなのか?ということなんだとおもう
それを違う言葉で表現していく必要がある言葉が無数にある
このように考えているのは手なのか理性なのか
いつのまにか
夢から覚めたわたしはコーヒーをいれる
起きながら夢をみることができることに気づいてしまったようだ
寝ている時と起きている時の
夢の境界線はあるのだろうか?
同じに感じるが
わたしにはそれが同じだということはわからないし
説明することもできないし
それをする必要がそもそもあるのかすらわからない
わからないことだらけなんだ
わからないことが前提
そしてわたしはこの夢から覚めたいとすら今は思っているが
夢がどこで覚めているのかすらわかっていない
このタイピングをしている手をとめることがその方法かもしれない
止めてみよう
そしてまた動かす
すぐまた夢へ入っていく
夢と呼ぶのかもわからないが
よし
また止めてみよう
ほら止まっていない 今この言葉がここにタイピングされているということはあなたの手が止まっていない証拠だ
ほら止めてみよう そうすれば夢から覚めるかもしれないし覚めないかもしれない
では

――-


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?