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Dance 『彼岸より』 田中泯|名和晃平

山羊座の新月だった 1月11日(木)、田中泯(ダンサー)さんと名和晃平(彫刻家)さんの初のコラボレーションとなる舞台、『彼岸より』を鑑賞しにYCC県民文化ホールへ。

1945年生まれで、今年79歳を迎える田中泯さん。

泯さんの、微細にコントロールされていて有機的な身体の動き、その動きの後には音の残響のような、動きの余韻、或いは気配のようなものが残り、身体の動きの速さ、配置や形を自在に変え、静寂や間を使いながら、空間や時間を変化させているようで、本当に素晴らしかった。

その踊りを支える体全体は、とても健康そうな筋肉に包まれていて、その肉体や動きは、今年79歳を迎える人とはとても思えないような肉体や、身体の動き、踊りをしていて、その年齢でこういう方を初めて目の当たりにして、人間の可能性を感じたし、自分もその年齢になったときそうでありたいなと感じた。お百姓と踊りでこれを維持しているのすごいな。

そして今回の舞台は、田中泯さんの踊りだけでなく、美術、演出、構成、音楽、音響、照明など、全てのクオリティが高く、総合的に素晴らしい作品に圧倒された。

名和さんの凛としたハゲタカの作品や、今まで見たことのない感じで地を這わせて宙をやんわり漂うスモークの使い方や、Yukiko Yoshimotoさんの照明もとても美しかった。

個人的には原摩利彦さんによる音楽の格好良さや、中原楽さんによる音響の素晴らしさにも感動した。ビートを入れずに、音の質感、音圧の強弱、重ねたり引いたりしながら作る音の空間。

その中で踊る泯さん。こういう音楽で、こういう風に踊れる人にようやく出会えて嬉しかった。

2014年にドイツのTanzmoto Dance Companyの公演のとき、彼らの公演の前に空間を作っていくDJをしたとき、こんな風な音でこんな風に踊れる人をイメージして、DJをしていたのを思い出した。

公演の翌日、音楽を担当していた原摩利彦さんの2024年1月12日のXの投稿で、

「田中泯 名和晃平彼岸よりが無事終了。作曲に加えて本番オペレーションでした。毎回何が起こるかわからない泯さんの踊りに、音響、照明、舞台装置が即興的に反応していきました。みんな全ての力を出し切って終演後は放心状態でした。

と書かれていて、あれを即興で行っていたのかぁと思うと、さらに凄みが増した。

沢山インスピレーションを得た作品だった。
余韻が凄い。。

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