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130/1096 一緒に、同時に、完璧に。

吾輩は怠け者である。
しかしこの怠け者は、毎日何かを継続できる自分になりたいと夢見てしまった。夢見てしまったからには、そう夢見る己を幸せにしようと決めた。3年間・1096日の毎日投稿を自分に誓って、今日で130日。

(この毎日投稿では、まず初めに「怠け者が『毎日投稿』に挑戦する」にあたって、日々の心境の変化をレポートしています。そのあと点線の下から「本日の話題」が入っているので、レポートを読みたくないお方は、点線まで飛ばしておくんなましね。)

130日目は雨の金曜日。雨の日は家にこもることに暖かな幸せを感じる。

小学生の頃、わたしは編み物にハマってしまった。
母はかぎ針編みをする人だった。わたしはそれを素敵だと思っていた。
テレビで誰かが編み物をするシーンを見たりすると、なぜなのかたまらなくなった。わたしは母のするのとは違う、棒針編みに憧れた。
編んでみたいという思いは日に日に募り、なんとか親にお金をかけさせずにやる方法を考えようとした。家は貧しかったため、道具一式を買ってくれと親にねだるのは気が進まなかったのだ。

わたしはまず編み棒を手に入れるため、割り箸に目をつけた。そして彫刻刀で削り出すことを思いついた。自分を天才だと思った。そして早速必死こいて編み棒を制作した。手を切ったが、それすらも喩えようのないほど楽しい行程だった。

編み棒ができたら、早速自分でセーターの編み目を観察して編み方を試行錯誤しはじめた。しかし、毛糸の行方を追ってもやり方などさっぱりわからない。
わたしは、これは一筋縄ではいかないことなのだと理解し、子供心にも自分の無謀さに戦慄した。しかし、それがさらなる闘志に変わり、全存在をかけて自力で編み方を知ろうとしはじめた。

そして失敗し続けているのにどうしても諦めることができず、ひとり粘着質に追求した。ひどく絡まってしまってははほどき、編み目になりかけては絡まり、棒から外せばほつれ、心は何度も折れかけた。しかし面白さが勝ってしまい、しつこくしつこく異常な執着心で棒と毛糸と格闘し続け、ついには編み方を発見して、超興奮とともに数段の編み目を作った。そしてわたしは我が栄誉と誇りと勝利のファンファーレとともにそれを母に見せたのだ。

ところが、母は編み目を見ながら顔を曇らせ、何かがおかしい、真逆にやっていると言う。
わたしはひどくショックを受けてもう居ても立っても居られず、とうとう母に頼み込んで、子供用の編み物のやり方を学べる本を買ってもらったのだ。

すると、ちょうど鏡に映したようにまったく反対のことをしていたことがわかった。やり方は合っていたのだが、左から右に編んでいたのだ。
わたしは悔しくて、しかしそれ以上に考え方が合っていたのが嬉しくて、飛び上がって喜んだ。わたしはその日、正しいやり方を知って編む喜びを存分に満喫した。

その後のある寒い日のこと。外は雨で、わたしは家にこもって編み物をしていた。暖かい。そして手には編みかけのマフラー。外とはまるで別世界だ。
そのときだった。わたしは降りしきる雨の中で屋内にいるという事を、とてつもなく幸せなことだと理解したのだ。目の覚めるような衝撃だった。

家のサッシを隔ててほんの数十センチズレると、そこは激しい雨が叩きつける屋外だ。たった数十センチの差だ!!と思った。
わたしは建物の中にいて、濡れることもなく、暖かく、編み物を楽しめる。
屋内にこもっていられるということは、最高の保護のもとにあることだと感じたのだった。

家というのは優しさの塊だ。わたしの心には今も、家の中から外の雨を見るときに、この時の気持ちがありありと再現される。
屋根の下で、暖かいところで、手には棒針と毛糸。わたしにとって、それは幸せの象徴だ。

毎日投稿を書くときに、外が雨だとこの記憶が蘇る。手に触れるのは毛糸ではなくキーボードではあるが、建物の中で守られながらひとりで何かを静かに創作するときの幸福感よ!

わたしは今日のような雨の日に、チクチクと温めながら書き綴ったものを投稿するのがとても好きだ。たとえそれが、あの当時にわたしが編んだマフラーのように、とても稚拙なものだとしても。

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わたしの住むこのヴェネツィアのマルコーンという街は、世界最高の観光地のひとつであるヴェネツィアの人工島から車で10分強の距離にある。

ヴェネツィアのあの人工島を実際に見たことのある人はわかると思うが、どんな言葉を使ってもその素晴らしさを語り尽くすことのできない、驚異の島だ。

ゲルマン人の侵略から逃れ逃れこのヴェネツィアの海にたどり着いた当時のイタリア人たちが、大きな丸太を切り出してきて、それを海の潟に打ち込むことで少しずつ面積を増やしながらその上に建物を建てて造りあげたこの島は、最もがっかりしない観光地と言われるほど、実際に訪れてみたときのインパクトが大きい。

これまでにわたしが案内した人も皆、言葉が出ない、ただため息しか出ない、やばい、という感想を漏らした。
わたしもはじめてヴェネツィアに来た夜の、飛行機から眺めた島の光景の、あの強烈な衝撃を忘れることができない。人類の創り出すものの凄さを知った。

あのときわたしは、考えるより先に、人は神なのだと悟った。

編み物の他に、わたしはキルトづくりにも憧れたことがある。
いろいろ調べるうちにわたしは、東京国際キルトフェスティバルに出された作品や、世界の名キルトを本で見て、目を剥いた。度肝を抜いた。まったく言葉が出なかった。この世界には、とても人の業とは思えない、とんでもないキルト作品が存在するのだ。
このときも悟った。人間の発想力、想像力、創作力、手先の器用さは、すべて神のそれである。

G線上のアリアを聴いても思う。モネの絵を見ても思う。手塚治虫の漫画を読んでも思う。防弾少年団のダンスを見るときも、Windowsの更新時にも思う。人間とはなんとすんげえ生き物だろうかと。

道を歩いていると思う。アスファルトを最初に作った人のことを。そこに車が通って思う。それを最初に夢見て、創り出そうとした変な人のことを。
夜真っ暗な家に帰って電気を付けるとき、電球を見つめるときに思う。登校を拒否して電気を発明したエジソンを。

わたしが車に乗ってスーパーに行って買い物をして帰ってくる。
それはエジソンの発明と、アスファルトを作った人たちの努力と、大型の建物を創り出そうと創意工夫した人たちが使った膨大な人生の時間と働きと、ここにはとても書き切ることのできないたくさんのたくさんの人たちのやってきたことの上に成り立っている。

そして何より、わたしを生んだ父母がいなければ起こらないことだ。
その父母を生み出し育てた祖父祖母があって、その祖父祖母を生み育てたその親、その親、その親があって、彼らの食べ物を育てた人、釣ってきた人、みんなの力を合わせて作った現実だと思う。

祖父祖母が出会った条件を考えてみる。ほんの一歩、ちょっとでも彼らの人生が違っていたら、起こらなかったであろうその出会いを。
彼らの人生を寸分たがわずにその人生にしてくれた、すべての要素を思う。
彼らの親のひと言も、学校での思い出も、近所にいた気のいい爺さんも、何もかもが揃っていなければ、違っていたであろう人生を。
わたしたちは時間の制限から自由になっていない。そのちょっとした要素がなければ、わたしが車でスーパーに行っていないのだ。

わたしが今、この投稿を書いていること。
この内容、この言葉のチョイス、わたしにやってくる思い、これはわたしという人がひとりで創っているのだろうか。
祖母が道端に花を見たこと、祖祖母がある日川に触って冷たいと思ったこと、わたしの腫瘍を治した医師が子供の頃に夢見たこと、ヴェネツィアに杭を打ち込んだ男たちがいたこと、あの空に月があること。
それらがすべて折り重なって、わたしはこれを書いている。

この投稿を読むあなたを思う。脳の何億という細胞を使って、視神経を使って、心臓が動いてそれを支えて、あなたのお母さんがある日あなたを生み出したこと、お父さんが走ったいつかのこと、悔しかったあの日、悲しかったあの日、外に風が吹くこと、インターネットを発明した人の力、洗剤と洗濯機とを考え出した人の喜び、この世界に果物があること、わたしが転んだあの日、編み物をしたあの日、あなたが笑ったこと、誰かが今恋をしていること・・・これを読むあなたは、この世にある、あらゆる要素を抜きにして成り立ちはしないということに思いを馳せる。

ねえ、そうしたら、わたしたちは一体誰を恨めばいいのだろう。誰を崇拝すればいいのだろう。誰が悪くて誰が正しいのだろう。何が何を支えているのだろう、こんなにも、世界のすべては、同時に起こっているというのに。

嬉しいことも、あなたの知る悲しい要素のピースがハマってその瞬間に立ち上がる、完成されたパズルに浮かび上がる絵だ。

わたしたちの見る一瞬一瞬も、あのキルト展の名キルターの創った傑作キルトと同じだ。あなたという神の創る、美しい現実。
それを分解したら、そこにはバッハの音楽もあの星空も含まれているのだ。

この世に無くてはならない、美しい、神の傑作であるあなたへ。
今日もここを通して、共鳴してくれてありがとう。
生きていてくれてありがとう。人間って本当に、すっげーな!

今日はこんなところで。それではまた、明日!!

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