「考える学習」のすすめ

問題です。
解いてみましょう。

500×2

かんたんですね♪
ほとんどの方が見た瞬間
すぐに1000と
答を出されたことと思います。

ただ、ここで問題にしたいのは、
答ではなく、解き方です。

解き方から、
その単元の習熟度が見えてきます。

そして、
習熟度を高めるために
学習方法が深く関係している
ことは
意外にもあまり知られていません。

学習方法には
大きく分けて2種類あります。

「パターン学習」と
「考える学習」です。

「パターン学習」とは
学校で習った通りに
機械的に解く学習方法です。
いわゆる「解き方」を暗記して
「考えずに解く」ことができるので
少ない時間で
たくさんの問題を
すばやく解く練習ができます。
目の前のテストで良い点数を取るためには
かなりの効果を発揮します。

一方、「考える学習」
その名の通り
「考えて解く」ので
問題を解くスピードは落ちます。
制限時間が設けられているテストには
向かない学習方法です。
だけど、原理原則を通して
仕組みをじっくり「考える」ので
応用された問題、
まだ解いたことがない問題に対して
取り組むことができ、
本物の学力が育つという
お勧めの学習方法です。

と言われても
「パターン学習」は
ふつうの学習方法なので
イメージしやすいと思いますが、
「考える学習」は
具体的にどんな学習なのか
イメージしにくいのではないでしょうか。

そこで今回は
具体的な問題を通して
「考える学習」の解き方と
「パターン学習」の解き方を
比較することによって
「考える学習」とは何か
説明していきたいと思います。

先ほどの問題にもどります。

500×2

当たり前ですが、
これはかけ算の問題です。

が、ほとんどの方が
たし算を使って
解いたのではないでしょうか。

一体どういうことなのか。
説明しましょう。

500×2を見た瞬間、
多くの方は
かけ算の意味を瞬時に考え
「500が2つ」、
つまり
「500を2つ合わせれば」と解釈し直し、
たし算で答を1000と出したと思います
(ただその処理があまりにも瞬時に
行われてしまったため、
どのような手順で解いたか
意識することもなく、
見た瞬間に答が思い浮かんで
しまったかもしれません)。

一方、もし500×2を
習ったとおりの解き方、
つまり
かけ算で解くと
ほんの少しですが
ややこしくなります。
まず5×2を計算して10を出し、
その答に0を2つつける
ということをしなくてはいけません。

たいした手続きではなさそうに
思われるかもしれませんが、
10の中にすでに0がひとつ入っていて
後から0を2つ加えるので、
頭の中だけで暗算しようとすると
混乱しがちです。
もしかして
答を10000としてしまうかもしれません。

そういうわけで、
多くの方は経験的に
「こちらで解いた方が早くて正確」と判断して

無意識的に「たし算」で解く方を選ぶのです。

このように
学校で習ったことにとらわれず
本質的に、自由に、
問題を解くことが
「考える学習」です。


というのは、
たとえば900×7であれば、
9×7=63
それから、0を2つくっつけて、
6300という答に至るのがふつうです。
まさか900を7回たす人はいないでしょう。

500×2の式を見たとき、
かけ算にもかかわらず
たし算の計算方法を選んだということは、
「状況を考えて判断した」ということなのです。

「状況を考えて判断する」ことが
「考える学習」の基本的なあり方です。

ただ残念ながら、
上の学年に上がるにつれて、
学習内容が高度になり
「理解する」ことが難しくなるので
「考える学習」が成立しにくくなります。
決められた手順通り解くという
「パターン学習」の段階に
とどまってしまいがちです。


それでは実験的に学年を上げていきます。
さきほどは小3の学習内容でした。
今度は、小6で習う「速さ」の問題です。

時速4kmで30分間歩きました。
何km歩いたでしょうか。

このあたりから
単元の習熟度に個人差が出てきます。
きちんと内容が理解されているかどうか。

この問題、
意味がきちんと理解されている人にとっては
超楽勝問題です。

一方、この単元が
「パターン学習」の段階で
とどまっていたならば
難問になります。


解き方を忘れた人は
解くことができず、
解き方をまだ覚えている人は
大変だけどなんとか解ける問題です。

もし「考える学習」ができていたら
どのように解くでしょうか。

「考える学習」においては
算数の「速さ」の単元を
どのようにとらえていくのか
説明していきましょう。

「考える学習」において
もっとも大切なことは
「キーワードとなる用語の意味を
きちんと理解する」です。

「速さ」の単元において
キーワードが「速さ」「時間」「道のり」の
3つがあげられますが、
その中でも特に
「速さ」という用語がポイントになります。

ですから、この用語の意味をきちんと
理解することが「速さ」の問題を
得意とする鍵になります。

「速さ」「単位時間あたりに進む道のり」
説明されます。
具体的には、次の3つに分けられます。

「時速」…1時間にどれだけ進んだか
「分速」…1分間にどれだけ進んだか
「秒速」…1秒間にどれだけ進んだか

時速という用語と意味を観察すれば、
あとの分速、秒速は推測できますね。

つまり、「考える学習」において
大切なことは
「覚える」ことよりも
よく「観察し」て「理解する」ことです

無理矢理覚えようとしなくても
「観察し」て「理解し」ようとしている段階で
いつのまにか「覚え」てしまっていることは
よくあることです。

「速さ」を理解したならば、
問題を再度読んでみましょう。

時速4kmで30分間歩きました。
何km歩いたでしょうか。

さきほどあきらめてしまった方も
今度は考えることが
できたのではないでしょうか。

「時速4km」というのは
「1時間に4km進む」ということ。
「30分は1時間の半分」だから、
4kmを半分にして、答は2km。

という思考の流れで
すばやく解くことができます。
速さの公式を使うことなく
かんたんに解けるのです。

もちろん問題によって
公式を使うかどうか
判断が必要です。
それは500×2や900×7のような
問題を解くときに
状況に応じて判断することに
似ています。

ちなみに
この思考の流れ
「4kmを半分にする」を
式で表すと4÷2ですが、
学校のテストでこの式を書くと
公式を使わなかったという理由で
減点されることが頻繁に起こります。

このように「考える学習」が
テストにおいては
不利には働くことがある
のです。

一方、この問題を
「パターン学習」の解き方の世界に
とどまっていたら、
この楽勝問題が
難問のように感じられます。

学校のテストで
確実に○をもらえる解き方

解いてみることにします。

一般には
問題文をよく読んで
どの公式を使うか
を考えよう!
と授業で教わります。
おそらくみなさんも
授業でそのように
教わった方が多いのではないでしょうか。
つまり、「パターン学習」において
公式の暗記は大前提なわけです。

次の3つの公式が「速さの公式」です。

道のり=速さ×時間
速さ=道のり÷時間
時間=道のり÷速さ

「時速4kmで2時間歩きました」

というような単純な問題であれば
この公式に数値をあてはめて
計算するだけで
自動的に答が出るのですが、

時速4kmで30分間歩きました。
何km歩いたでしょうか。

このように単位がちがっていた場合には、
単位をそろえるために
「速さ」か「時間」のどちらかを
変換する必要があります。
もし「速さ」を変える場合には
「時速」を「分速」に変えます。
もし「時間」を変える場合には
「~分間」を「~時間」に変えます

「速さ」の変換ルール
・時速を分速に変えるときには60で割る
・分速を時速に変えるときには60をかける
「時間」の変換ルール
・~時間を~分に変えるときには60をかける
・~分を~時間に変えるときには60で割る

よく観察すると、
速さと時間では、
かけ算とわり算の処理が反対になっている
ことに気がつきます。

そうなんです。
「パターン学習」においては
おそろしく複雑な暗記が要求される
のです。
その場で「考えたら」ふつうにわかることでも
いちいち暗記リストに加えられます。
公式然り。変換ルール然り。

一方、「考える学習」に移行すると
暗記事項が激減する
ことになりますので
後になればなるほど
「考える学習」は効力を発揮します。

それでは、実際に
「ふつうの解き方」で
解いていきましょう。

この問題では「道のり」が要求されていますので
「道のり=速さ×時間」の公式に
数値を当てはめなくていけません。
問題文の中の数値をそのままあてはめると

4×30

答が120kmになります。

「1時間に4kmしか歩けへんのに
30分でなんで120kmも歩けるんや!」
という突っ込みを
くらいたくなければ、
「「速さ」と「時間」の単位が
そろっていなければならない」という
暗記事項を思い出し、
変換ルールを使って
数値を変換しなければいけません。

ということを念頭に
この問題を考えていけば
次のように解く流れになります。

「変換ルールに従って、
30分を60で割って0.5時間にし、
公式に数値をあてはめて
時速4km×0.5時間を計算し、
答は2km」

式で表すと次のようになります。

30÷60=0.5 4×0.5=2

意味を考えて解くと

4÷2

でいいのに、
ふつうの解き方だと
小数の計算が登場し、
ややこしいですね。

ということで、
最近では「速さ」の単元のテストで
このタイプの問題は
最近、見かけなくなりました。

小学校のテストを見ると
出題される速さの問題は、
速さや時間の変換なしで
そのまま数値をあてはめて
答える問題ばかりという印象です
(これまで塾生が持ってきてくれた
テストの答案用紙や
市販されている
教科書に準拠した問題集を
見た限りにおいてですが)。

だから、ますます「パターン学習」の方が
効率よく「よい点数」を取ることが
できるということで
ドリル学習が人気があるのだと思います。

それでは、さらに学年を上げていきます。
中2数学からの出題、
一次関数の問題です。

2点(0, −1)(1, 1)を通る直線の式を求めなさい。

さて、どうでしょうか。
今度はこれまで以上に
苦戦されるかもしれません。

というのは、おそらく
関数の問題は
「考える学習」のレベルまで
到達している人は
少ないと思われるからです。

これは基本問題ですから
ほとんどの方が
かつて中学生だった時には
すらすら解けていた問題です。

とはいえ、
y=ax+bという一般式に
数値をあてはめて
解くことがあまりにも多いため
関数の本質を考えずに
解いていた方が多いと思います。

この問題ももちろん
「考える学習」で解くことができます。
つまり、y=ax+bという一般式に
数値をあてはめなくても
解けるというわけです。

特に、このレベルの問題なら
見ただけで軽く答が出ます。

ただ、「考える学習」のレベルで
一次関数を説明するのは
今ここでは困難です。
表やグラフを使わないと
できませんので。

ということで、
この問題は動画を使って
次回から解説することにします。

次回、まず一時関数の最大ポイントの
y=ax+bの意味を、

次々回、このような問題を
y=ax+bに数値を代入することなく
どのように解いていくのか
解説していきます。

お楽しみに♪

PS
この記事の続きの前に、動画は計算講座を先に行うことにしました。
申し訳ございません。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

大吉 いいことあるかも
4

道草学習の部屋

夢は「やさしい学習革命」! そのためには子どもたちが喜んで取り組むことができるような学習方法・教材が必要です。そのことばかりずっと考えてきました。この場で少しずつ公開していきます。学習のおもしろさが伝われば幸いです。

算数エッセイ

算数に関する読み物です。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。