算数の割合は、公式を使わなければカンタン!
■「割合の公式」、覚えていますか?
皆さんに質問です♪
小学校時代、算数を習って、一番難しかったのはどの単元ですか?
おそらく割合と答えられる方が多いのではないかと思います。
何パーセントとか何割とか出てきた例の「あれ」です。
この割合の不人気さは他の単元に比べてダントツでトップです。
だって、小学校で習う(小5の3学期に習います)割合は
割合=比べられる量÷もとにする量
比べられる量=もとにする量×割合
もとにする量=比べられる量÷割合
みたいなわけのわからない公式を暗記させられて、この公式に文章題の中に書かれている数を当てはめて計算して答を出す世界。
今風のことばで言えば「なんなん?」って言いたくなりますよね。
ところで、今、これらの公式を覚えていますか?
おそらくあまり多くはいらっしゃらないのではないかと思います(学校や塾、それに理系関係で働いている方を除いてですが)。この公式、小5の3学期で習うのですが、小6の段階ですでに記憶があいまいになっている子がほとんどで、中学生になると「そんなの、習ったっけ?」です。
そういえば、塾生のお母さんと話をしていて、割合の公式を紹介すると「私たちの頃はこんなの習っていないですよね」と聞き返されたことはこれまで幾度となくあります。どの世代も習っているのですが…。
■大人は割合の問題で悩まない
それでは再び質問です♪
200円の5割はいくらですか?
かんたんですよね。5割と言えば、半分のことですから、答は100円です。
あれだけ嫌だった割合の問題が、大人になるとなぜか結構解けるって不思議だと思いませんか。しかも公式を忘れているのにもかかわらず、です。
「〜割」とか「〜パーセント」は日常生活に溶け込んでしまっているので、なんとなく計算できているのです。
なぜ計算できるかといえば、意味がわかっているからです。1割は「10分の1」、1%は「100分の1」ということがわかっているから、「このカバン、3割引だって、ラッキー!」「消費税が8%から10%に上がるよね。やだな〜」みたいな会話をしてもお互い理解できるわけです。
■小学生の立場で、割合の問題を解いてみる
ここで、もう一度さきほどの問題にもどります。「200円の5割」は「200円の半分」で100円と答が出て終わりなのですが、学校のテストでは式を書かなければ、点数は半分しかもらえません。ということで、無理やり式にします。
200÷2
だけど、この式を算数のテストで書けば、式を×にされる可能性があります(実際に、うちの塾生が学校のテストで過去何度も式を×にされています)。
なぜでしょうか?
それは公式を使っていないからです。
小学生はなぜか公式を使って問題を解かなくてはいけないことになっているので、こんな超楽勝問題が大変です。
問 200円の5割はいくらですか。
ええと、この問題は5割が公式の「割合」にあたるから、200円は「もとにする量」か「比べられる量」だ。たしかその見分け方は問題文の中の言葉に注目して「〜の」のように「の」がついていたら「もとにする量」、「〜は」のように「は」がついていたら「比べられる量」だと先生、言ってたよな。この問題は「200円の5割」だから、200円が「もとにする量」だ。ということは、答にあたる言葉は3つの言葉のうちの残りだから、ひとつに決まるぞ。「比べられる量」だ。ええと、「比べられる量」を求めるんだから、式は「もとにする量×割合」だ。じゃ、計算だ。…いやいや。割合の公式にあてはめるときには、割合の数字は小数になおさなければならないんだった。ひゃー、あぶないあぶない。最後の最後でまちがえるところだった。ここは要注意点だった。1割は 0.1 だから、5割は 0.5 だ!で、最後の仕上げ。あとは数字を公式に当てはめて、200×0.5の計算をするだけだ。ややこしいから筆算でしなくちゃ。…ふ〜。答は100円だ。
「200円の半分」がここまで複雑になるなんて、まるでお笑い芸人が行うコントの世界のようでもありますが、これが小学校算数の現実です。もちろんドリル学習で何度も何度も反復しているうちに同じパターンであれば途中ですばやくできるようになりますが、3つのパターンが混在してくると話はちがってきます。上記のような思考の流れで解かなくてはいけなくなるのです(しかもこの流れで解けば最後の小数のかけ算で間違えて1000円と出すケースも結構あります。時間がかかるわ間違えるわ、もうふんだりけったりですね)。
割合が算数の中で最も難しい単元とされる原因はこのあたりにあります。
■公式を使わない方がよい理由
でも、小学校のテストでは、公式を使わないと×にされる可能性があるのだったら、やはり公式を使わない方法はありえないのでは?
と疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
それでもやはり、公式を使わない方法をお勧めします。
理由は3つあります。
公式に数字を当てはめれば意味を考えなくても解けるので、問題をたくさん解いても割合の理解は深まらず、割合の本質をつかむことができない。
一方、公式を使わなければ、意味を考えながら解くしかなくなるので、問題を解けば解くほど、割合の理解が深まる。
割合の公式を使うのは小学校時代の算数のテストだけ。中学生とちがって、ふだんのテストが高校入試に影響するわけではないので、公式を使わないで悪い点数を取ったとしても気にする必要はない(ただし、お子さんに対するフォローは必要。悪い点数を取ったことで落ち込むだろうから)。
中学数学では割合の問題を方程式を使って解くから公式は必要なくなる。公式を暗記しなくても割合をきちんと理解しておけば、方程式で解く割合の文章題も理解しやすくなり、応用問題も解けるようになる。また理科で出てくる「割合に関する、たとえば、水溶液の濃度、湿度などの問題」などにも影響してくる。
大人のように、割合の意味を考えながら解くことによってのみ、問題を解けば解くほど割合の理解は深まっていきます。
だから、小学校のテストの点数ぐらい、目をつむってもいいと思います。
PS
さきほど福岡市で使われている現在の教科書を調べてみると、割合の公式は2つに減ったようです。もとにする量=比べられる量÷割合の公式はむずかしいということで、その代わりに比べられる量=もとにする量×割合の公式に▢を使った式を立て、次に逆算の計算をするという手順で答を出しています。だけど、これでもまだまだ割合の意味を深めることはできないでしょう。公式は3つだろうが2つだろうが「もとにする量」「比べられる量」を使っている点で子どもにとってわかりにくさはそんなに変わらないと思います。
~次の記事へ続く~
「割合」の理解度テスト ~「公式病」という病にかかっていませんか?~
※「公式を使わない割合講座」をYouTubeに投稿しています。
※ 全部で7本あります。時間がない方は次の2本を優先的にご覧になることをお勧めします。
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