プラシド・ドミンゴ

おそらく最初で最後、ドミンゴさんの生歌を聴いて参りました。

三大テノールで私が一番好きだったのは彼の歌声。
周りの歌仲間は多数がパバロッティ派。少数カレーラス派。
私はドミンゴさん。理由は声に宿る色気が、テノールという、ヒーローまたはドンファンを演じることの多い声種にマッチしているからです。また外見も然りで、王子様、モテモテの女たらし、というような役が多い時、とてもしっくりくると思うのです。

81歳のドミンゴさんは、下手から現れたその姿は貫禄もありながら、軽い足取りでダンディ。

昨今はバリトンの歌を歌われることも多いようですが、その音程の正確さ、リズムも狂いなく、さらになんとも言えない表現力には、驚くばかりでした。甘い歌声です。

お得意のスペイン物は、声の明るさが際立ち、大変素敵でした。

非の打ちどころのないステージ。生身の王様を凝視しました。強いて言えば、かつて彼の<カラフ>(トゥーランドットのカラフ王子。かの有名なアリア「誰も寝てはならぬ」を歌うテノールの役)が大好きだったので、聴きたかったなぁ、とちょっと残念に思いました。そもそもあのアリアをリサイタルで歌うというのは、大変なことのようですけれど。

81歳の王様を目の当たりにしますと、私もあと30年近くは勉強を続けよう、一度の人生!!!  そんな風に思わせてくださった演奏会でした。

そうそう。出待ちのチャンスがあり、なんと、ドミンゴさんとゲオルギユーさんにサインをしていただきました。宝物にしたいと思います。

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