あの頃の旅の記憶
ひとりで飛行機から降り立つ。
親と一緒に乗っていた飛行機もいつからひとりで乗れるようになったんだろう。
出口には、誰もいない。お迎えがいなくても、ひとりで目的地まで着くことができる。
空港からのリムジンバスに乗って中心地に出る。
自分で電車の時間を確認して、切符を買って、ホームへ向かう。
1時間に数本しかない電車。
ボタンを押してドアを開けて乗り込んだ。
電車に乗って、海を眺めていると、この町で過ごした記憶が思い出された。
よく行ったお寿司屋さん。
夏の楽しみだったプール。
欲しいものをねだったおもちゃ屋さん。
思い出すことはできるけれども、今はない場所たち。
ひとりでできるようになったことなんてたくさんある。
ひとりで飛行機に乗って旅に出れるようにもなった。
けれども、ひとりではできなかったあの頃の旅の記憶は今でも心には残っている。
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