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もう1回きいてみましょうか?小松未歩さんの『あなたを愛してくこと』

毎月恒例、小松未歩さんの1つの曲をじっくり語っていく企画『1曲1時間ラジオ』
 今回は『あなたを愛してくこと』がテーマとなりました。
 『君の瞳には映らない』のカップリングにしてアルバム未収録ながらファンからの支持やマリーゴールド効果(?)もあって独特な存在感を示している曲ですね。
 そんな『あなたを愛してくこと』なのですが…。

主人公はどんな人?

私が思うこの曲の主人公の性格はというと

 自信はあるけど弱気になる

というわりと小松未歩曲に広く出てくるタイプ。
 ただ私はもうひとつこの主人公の特徴を見ていてそれが小松未歩さんの他の曲の歌詞から考えるとちょっと面白くなりそうなのです。その特徴とは

 ちゃんと計算する人

というものです。
 実は小松未歩さんは他の曲の歌詞においては、計算された行動に関しては少しばかり否定的です。

 計算ならすごい罪 『1万メートルの景色』
 計算じゃないわ 『通り雨』

簡単に言うと、
 計算は悪で、心に突き動かされた行動は善みたいな恋愛価値観です。
 ただし計算に関して恋愛関係における弱者側にいる主人公には認められている感じはします。
 まあ、そうですよね。相手に振り向いてもらえるようにするためにあれこれ考え、思い悩むて恋愛の醍醐味ですもんね。

年齢を変えて2度聴いてみませんか?

 で『あなたを愛してくこと』における主人公とあなたの恋愛における関係性ですが、

 過去の過去(大過去)からの経緯で過去の今(過去)は 主人公 < あなた

という計算してあなたを振り向かせてなんぼな状況です。しかし、今の今(現在)においては

 主人公 ≧ あなた

みたいな感じです。
 あれ?あなたより強くなってそうだけど計算してて大丈夫?なんて思ったりしますがこの状況における計算とは、恋愛関係における主導権争いではなく人生設計という、恋愛関係とはまた別の領域にあるので大丈夫です、というふうに私は思っています。
 先程からなんの但し書きもなくいきなり

 過去の過去(大過去)
 過去の今(過去)
 今の今(現在)

なんて書きましたが、今回は『あなたを愛してくこと』を2周して主人公とあなたの物語を感じてみたいと思いましてこういう表現になりました。
 具体的に言うと1周目は主人公が高校を卒業した18歳くらいの片思いをしていた時のお話として考えて、2周目は26歳位で結婚を考える年齢になった時の話として、歌詞を読み解こうという試みです。
 そう見た場合冒頭の歌詞

 過去は過去で今は今

が18歳バージョン(1周目)の今は18歳だけど、26歳バージョン(2周目)では付き合い始めた18歳から7年先の未来だった25歳でさえすでに過去。ましてや18歳時点での過去なんて大がつくくらいの過去です。
 そうなると当然同じ歌詞でも見え方、捉え方は変わります。
 それが顕著に現れるのが2番の歌詞。

嫌がらずに答え探して プラスになる答え

1周目だとここはあくまで私にとってプラスになる答えを求めています。
 「付き合ってください」と言って!という主人公の自分勝手な願望が強い印象です。その言質を取ろうとしていろいろ計算して動いています。
 しかし2周目となるとどうでしょう?結婚という話になると一人の勝手で話は動きません。なのでここで言うプラスになる答えとは、

 主人公とあなた、二人にとって将来を踏まえた上でプラスになる答え

を求めていると言えます。
 ここでの答えは主人公としては当然「結婚しよう!」的答えは期待していますが、その言葉を言わせようとしているというよりも、どちらにせよ二人のこれからの結論を出そうよ。それがたとえ別々の道をゆくことになろうと二人にとってプラスになるなら受け入れるから。という感じです。
 同じ歌詞でも2周目だと大人になった感が出てきます。その延長線で

 釣り合うようなLadyになるわ

を考えると…。
 1周目で強く「Ladyになる!」宣言したわけですが、2周目だとそんな過去の自分を思い出しつつ、そんなLadyになれたかな私…と思い彼の審判を待っている。そんな姿が見えます。
 そんな主人公を想像すると大人になりつつも弱気なところも残っている感じがして個人的にはとても楽しいです。
 で、結果はどうなのかといえば…。言わなくても良いですね。
 あなたもあなたで大切な言葉を押し出せない弱さを見せるタイプみたいなので、いいコンビだと思います。

最後に

 この曲の最後ですが

駆け寄る私を抱きしめて 

とありますが私の脳内だと、1周目は主人公が走っていきあなたが受け止める感じなのに対して2周目は互いに走り寄っていくイメージです。で、抱き合ってくるくる回ってる。そんな感じです。
 おめでとう!

結論

一粒で二度おいしい

ということで花の砂時計的『あなたをあいしてくこと』でした。
 お付き合い頂きありがとうございました!

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