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3つの狭間が織りなす万華鏡。小松未歩さんの『夢と現実の狭間』

 記録的な暑さから一転、ようやく秋の雰囲気が漂い始めた今日このごろ。みなさんいかがお過ごしでしょうか?

 隔月開催となった恒例の小松未歩さんの曲で1時間語るラジオ企画。11月に開催されるのですがテーマ曲は『夢と現実の狭間』となりました。
 3rdアルバムの落ち着いたなかに少しばかり幻想的な雰囲気を持つ曲について色々書いていきます。今回もよろしくお願いいたします。


 さて…。どうしたものか。

正直言いまして、テーマが『夢と現実の狭間』に決まってから改めて自分歌詞を眺めたものの途方に暮れました。分からなくはないけど、分からん…。

 ただ分からんだけでは始まらないので、まずはタイトルにあるので、夢と現実の仕分けをしてみましょう。

夢と現実

 まずは歌詞における現実を表していると思われるものを書き出します。

僕の信じていたイメージは いつもここで途切れ涙込み上げてく 現実へと
簡単な言葉が胸を突き刺す 

何も昨日と変わらないさよならは本当だったと心の温度差は分かっていた

僕を奮い立たせる想いは 強く純粋だからコントロール出来ない

愛はつまづきながら見つけてくのね

こういったとこでしょうか。
 現実においては「さよなら」してます。
 予感もしてたみたいですね。で、相手への想いは強いけどどうやらその強さが原因ぽく思えます。

 続きまして夢、あるいは夢の話ぽいものを書き出します。

どこか遠く 誰かの呼ぶ声が泣き濡れた枕元で優しく抱き寄せて 甘いキスくれた

間違いから火が付くこと願っていた

僕の信じていたイメージ

今度は本当になれ おやすみ

夢と先程挙げた現実。その狭間となると以下のような話になるのかな?と。


 さよならした現実。間違いから火が付いてくれたりしないかな…と夢見ながら、涙しながら眠りにつく。 眠りの中で甘いキスをもらえた夢を見て目覚めるものの現実は変わらない。
 けど、この夢を現実にしたい。つまづき、傷つきながらでもやり直せるよう夢みて。
 相手に許してほしい。そう言いたい。自分のなかではやり直せるイメージできてる。でもまだ現実にはなっていない…。


 夢と現実には乖離があり、その狭間はなかなかに混沌としています。ただ、混沌としているのは夢と現実だけではありません。 
 この曲の世界では夢と夢も混沌としています。

狭間は3つある。

 実は夢という言葉は厄介です。
 夢には眠って見る「夢(ゆめ)」と願望や目指す将来像を指す「夢(ユメ)」とがあります。
 これらは同じ人物においても同一なものではなく繋がりなく存在する別個の概念です。

夢(ゆめ)のなかでキスもらえてる。
でも今はそこまで夢(ユメ)見られない状況で、まずは仲直りしたい。
夢(ユメ)みる元気が欲しくてキスくれるような夢(ゆめ)を見るためベッドに身を沈めて、ゆめのむこうそして現実の相手に届くはずのないの「おやすみ」を言い眠りにつく。

そんな具合にこの曲においては「ゆめ」と「ユメ」という2つの狭間もあるわけです。そしてそこに現実が加わります。
 「ゆめと現実」「ユメと現実」「ゆめとユメ」という3つの狭間。それらはけして地続きなものではないものの明確な境界はなくひどく曖昧にして、それぞれの世界が混ざりあっていて、ぼんやりとした世界になっているようにも感じられます。
 寝て見たゆめである優しくキスくれたのが思い出になってたりしてそうな、そんな感じ。

 そんな世界を生きる主人公のその心模様は千変万化。まるで3つの鏡を合わせて無限な模様を織り成す万華鏡のように感じられます。 
 『夢と現実の狭間』は五里霧中にして恋夢中な男性のお話として解釈してみました。

最後にもうひとひねり

 いろいろいいましたが、この『夢と現実の狭間』の主人公ですが、どう思われますか?
 私が勝手に解釈しているだけですが、寝ても覚めても相手のことばかり考えて愛を見つけようと頑張ってます。また、強い想いをコントロール出来ないでいます。ストーカー系かDV系か。
 どちらにせよこれは相手にとってはかなりの恐怖ではないでしょうか?
 余計なお世話でしょうが相手のことが心配になってきます。
 しかし…。

 そんな相手は実在するのでしょうか?

この『夢と現実の狭間』において、主人公は「僕」という一人称が与えられていますが、相手には呼称がありません。
 「僕」以外に出てくるのは遠くで呼ぶ「誰か」。
 夢とは言え随分と頼りない表現です。となると、さよならしたとか言ってるのは空想上の存在か、あるいは思い出の中にある片想いの人物だったり、そういうぼんやりとした、それこそ夢と現実の狭間にしか存在しない人なのかもしれません。
 だとしたら、主人公は思っている以上に危険な人かもしれません。
 まあ、片想いの人物との決別ともとれそうなのでその場合はまだ大丈夫な気もしますが、どうでしょうか…。
 と、いうことで『夢と現実の狭間』でした。この記事をベースにラジオ企画で話します!
 ぜひお聴きください。

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