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角打ちはオトナの駄菓子屋@三兵酒店(池袋)

 富士屋本店に別れを告げた我々が向かった先は、池袋。年間10億人が乗降する世界2位のターミナル。ちなみに1位は新宿。というか、20位くらいまで日本の駅が独占している。そりゃラッシュも殺人並みになるわけだ。

 東口に西武、西口に東武の池袋だが、北口はもはやチャイナタウンと化している。駅出るといきなり中国語の新聞が売られているし、中国人御用達の免許センターや不動産の専門店もある。犬もどっかの中華屋で食べられるそうだ。

 押し寄せる大陸の波の狭間で、ひっそりと佇む酒屋「三兵酒店」。
線路側に面した正面入口は普通の酒屋だが、自販機を3つ進むともう一つ入口があり、三兵のもう一つの顔に出会うことができる。角打ちだ。

 北九州が発祥と言われる角打ちの定義は諸説あるが、酒屋で買った酒をそのまま店内で呑めるのが大前提だろう。酒代しかかからないので当然安い。飲食店ではないので、つまみも調理不要なスナック菓子とか缶詰という具合だ。あくまで酒屋のサービス程度の扱いだった。

 ただ最近は立呑ブーム、コンビニの進化による酒屋離れもあり、酒屋と角打ちの主従が逆転している。池袋にもリカーショップ常盤のようなストイックな角打ちもあるが、流れとしては角打ちスペースがどんどん充実し、もはや立呑屋と区別がつかなくなっている。なので、私は、呑みスペースからチラッとでも酒屋スペースが見えるなら角打ちと呼ぶようにしている。酒屋がやっていても、富士屋本店は立呑だが、四谷の鈴傳は私的には角打ちだ。

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 店内は、なんか小物がガチャガチャしていて楽しげな雰囲気。マスター自作のPOPもカワイイぞ。

 カウンター内にいるマスターが酒屋スペースと角打ちスペースを行ったり来たりしている。

「ホッピーと柿ピー、お願いします」

「あい」

 さりげなく、韻を踏んでみたがスルーされる。

 マスターが頭上にある透明なポット容器から赤い蓋に柿ピーを流し込む。「じゃらじゃら」と心地いい音色。ハートチップルも蓋に載せられてやって来た。おー懐かしい! 一緒に訪れた下町の酒仙Sさんの写真を拝借。

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 なんか、子供の頃よく行った駄菓子屋みたいだ。童心にかえりウキウキしてきたが、歯止めをかけるように、壁にフィギュアスケートの安藤美姫さんの隠し撮り写真や新聞の切り抜きがたくさん貼ってある。いまや一児の母。久々見たが改めて肉感的な女性だな。マスター、、、好きなのかな。ちなみにサウンドは矢沢の栄ちゃん。

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 三兵のホッピーセットは400円とちょっと高め。でも「中」の焼酎が1合分あるのだ。180cc。これだけで結構酔っ払う人いるんじゃないだろうか。半分の90ccにすると70円引きとなる。同じく1合焼酎のサワー類は340,350円なので、やはり角打ち価格で嬉しい。ハイリキは300円。

 三兵の魅力の一つは、つまみのクオリティだろう。駄菓子だけじゃない。本日のおすすめたちは一律200円!

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マスターいわく、日本一具の多いマカロニサラダは触れ込みに違わず侮れない。隣で呑んでいた工事現場帰り風の兄ちゃんが食べていた、なす肉炒めも相当美味そうだった。

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 三兵に酔いしれていたら、西荻のモモンガさんが合流してきた。お仕事帰りで夕食はまだというので、毒々しいパープル色のバイスサワーとナポリタンを注文。少し突かせて頂いたが、こちらも手抜きのない味だ。小皿サイズなので、酒場のアテとしては量もちょうどいいのがいいね。

 子供の頃、赤坂にあった平野屋という駄菓子屋によく通っていた。耳の遠いばあさんが店番で、結構もうろくしていたから手癖の悪いガキによく万引きされていた。あの頃は100円もあれば、麩菓子にうまい棒によっちゃんイカを買って、残った50円で店先にあったアーケードゲームの「ソンソン」を一回やって大満足だった。そう考えると、1000円あれば、結構いろいろ楽しめる三兵の角打ちって、オトナの駄菓子屋みたいだな。

 マスターのブログも楽しい三兵酒店。楽しかった。

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