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豊かさとは

数日前、お店をお休みさせてもらい、長崎へ向かった。
その理由は2つあって、岡田屋でいつもお世話になっている平戸で塩造りをしている今井弥彦さんに会うためと、雲仙にあるオーガニック直売所タネトを営む奥津さんに会いに行くこと。

平戸での滞在で真の豊かさというものを感じられた。


・塩炊き屋、今井弥彦さんについて
今井弥彦さん(ここでは弥彦くんと昔からの呼び方をさせてもらいます)。
弥彦くんが初めて三重に来たのは21歳の頃だそう。
この頃は両親の営むオーガニックレストラン月の庭のまだ無く、昔からのものが蔵に雑多にしまい込まれていたそうだ。
居候をしていた彼は蔵の片付けに参加し、綺麗にするととても良い空間が出てきて
月の庭ができた。

その後、弥彦くんは知り合いの家族たちと共に、高知の廃校になった学校に自分たちの理想とする生き方を実現するために、共同生活を始めたが、それぞれの家庭の出産、育児と重なり、解散。
その後、師匠の元で、天然塩造りを学び、日本全国の沿岸部を旅をして今の長崎の平戸に辿り着き、そこで塩造りをして20年になる。

以前に弥彦くんのところに訪れたのは、僕がまだ働き始めてばかりの頃。
もう10年以上前になるけど、平戸の海はその頃と変わらない綺麗さがあった。
それは実はとても難しい。
漂流物なども含めて、その環境が汚れていく要素はたくさんある。
弥彦くんは話していた。
「自分はこの海を守るために生きている。そして塩造りはその副産物。
だから海にも、自分自身にも無理はさせない。」
そのバランスが、弥彦くんの生き方、海との一番ベストな関わり方なのだと思った。

今回、訪問した時も、「まず海入るか?」」と聞かれた。
海水パンツを持ってきていなかったが、そんなことはどうでも良い。
パンツ一丁で海に入った。

平戸の夕日


その日の水温はとても温かく、心地よかった。
海に入りながら綺麗な夕日を見た。
いつも弥彦くんはこの海に入り、身体で海と対話をしながら塩造りをして生きているんだと体感することができた。
夜は近くにある漁師さんが営む隠れた居酒屋で新鮮な魚料理を堪能した。
暑い夏の日に生ビールが染み渡った。
そして家に戻り持ってきたワインを飲みながらいろんな話をした。
昔話から、現在と未来の話、海の話や農業の話。
そして僕も愛するニワトリの話も。

一緒に行った友人のうっちーとニワトリ。

翌日は朝ごはんを頂いてから、少し動物たちと遊んだ後、田んぼの作業へ。
田んぼの雑草の子供をすき込む作業と、竹林の選定。
ある程度終わったら、海に入る。
外での肉体労働の後の海は最高に気持ち良かった。
弥彦くんはいつも塩炊きの際にも海に入る。

お昼は朝に続き、弥彦くんの奥さんのゆきさんの美味しいご飯。
お米や野菜を育て、動物を飼い、それらの恵みを頂きながら、生きる。

塩作りの様子
シェアスペース


その営みの中に塩造りがある。
塩造りや農業以外にも、平戸の町の方で仲間たちとシェアスペースを作り、
イベントの企画や移住者のサポートなども行なっている。

その二人の自然さがとても心地よく、真の豊かさを知った。
豊かさとはなんでもすぐ手に入る経済力や便利な社会では無いなと感じた。
自分自身、今お店を営んで全国の生産者の方からの商品を販売しながら伝える活動をしている。
いつも何かしら欠品だったり、入荷しないものも多くある。
現に弥彦くんのお塩も入荷したと思ったらすぐに売り切れる。
とても複雑な心境である。
色んな方に知ってほしいし、使ってもらいたいけど、そうなると塩が足りなくなるし、大量に注文することはそのバランスが崩れてしまう。

お客さん目線で考えると、困ることも多くあるが、ない事、不便なことも含めて楽しめるようなお店にもしたいし、当たり前にものがあることは実はとてもすごいことなんだと。ものによっては不可能でもある。
自分もその時に手に入るものをありがたくいただき、「足るを知る」精神で生きていきたいと思った。
それはおおらかで広く温かく、いつも家族のように迎えてくれる弥彦くんと
平戸の海のように、、、。

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