見出し画像

僕たちはいつからGTOにときめかなくなったのか

地平線に届くように、
限界まで振り切ってくれ

GTOという漫画があります。元ヤンキー教師が不純な動機で私立の教師になり問題クラスを受け持つという漫画なのですが、不良がひたすら戦うだけの前作にちょっとはまれなかった自分がどハマリしたんですよね。どれくらいハマったかというとアニメも全部見た上に主題歌はDriver's highからヒトリノ夜までMDに入れてたほどです。MDの自作タイトルは「TRUTH」でした。なんででしょうちなみに好きなキャラは菊池と吉川です。

当時の自分にとってGTOはちょっと過激な描写もあったからかエロ本に近い認定だったので買いに行くのもすごいいろんな手を使いましてね。当時本屋は2階にあったんですが、入り口の外に渡り廊下と駅側に降りるエスカレーターの二種類ある中で監視カメラが渡り廊下側にあることを発見した私はエスカレーターから監視カメラの最短距離を進む「Short Cut」入ったらまず"真面目な"文庫本エリアに歩みを進める「カムフラージュ」文庫本エリアの、ちょうどレジが見える奥目の位置からレジのスタッフが女性かどうかを判定する「物見」そしてハヤカワ文庫を2冊手にとってGTOを3冊程度掴んで挟み込む「サンドイッチ」レジでのお釣りを少なくするために小銭を事前準備する「じゃらじゃら法」など、実に様々な洗練された手法を使って自室の書棚に有害図書を増やしていったものです。当時の三省堂新浦安モナ店の店員の皆様におかれましては不審者通報していただかないで本当にありがとうございました。

たぶん自分は、決まりきった歪んだ日常を壊していく鬼塚英吉に、そして彼を見守りつつも時に助け、時に叱る菊池に、青春してる吉川に、憧れていたんだろうなと思います。いつかは自分もハンマーで壁を壊すような、あるいは暴走するクラスメイトの唯一の理解者でいられるような、そしてかわいい彼女ができるような、そんな生き方をしたいという願望だったのかもしれません。
そして大人になり、就職し、GTOの続編が出たというのでわくわくしながら手にとって、読み返しました。

ときめきませんでした

嘘だ、そんなはずないと思ってもう一回読んだんですよ。バクマン。の山田孝之さん並みにもう一回読んだんです。でもあんなに熱狂した作品の続編に、もうときめかなかった。

読んだタイミングが自分自身の転換期だったからかもしれません、でも私は、作品のターゲットから外れたんだな、とその時は思いました。本当は続編なので当時の読者もターゲットに入っているはずなのですが、自分はターゲットではもうなかった。

実際はどうだったのかはわかりません。でも我々は、続編に対して。あるいはリメイクに対して。そして実写化に対して。期待半分、恐れ半分で見ます。

「世界中に愛されているディズニー・アニメーション映画『アラジン』の中でも特に愛されているのが、ロビン・ウィリアムズが命を吹き込んだジーニーです。人はノスタルジーを感じるものが壊されると、怒りの感情が湧くものでしょう。ロビン・ウィリアムズのジーニーにオマージュを捧げつつ、自分自身の新しいジーニー像を作り上げる、この両方を成し遂げなければならない。」

これはアラジン実写化でウィル・スミスがインタビューを受けたときの記事の引用ですが恐れの感情は怒る自分への戸惑いと予防の感情だとも思います。幸いにも例えば私の愛する艦隊これくしょんにはアニメ化の話はまだ無い* 様ですが、原作からアニメや実写、あるいはゲームへと進んでいくのに感じる感情はまさに自分自身が知っていた、ノスタルジーを感じている世界から作品が遠くに行ってしまうような、そんな感情なのかもしれません
*諸説あり

それでも一つだけ確かなのは、我々が当時、鬼塚英吉に感じた感情だけは間違いがないということです。寿司を食い逃げし、東大卒の教師と模試成績対決をし、生徒とオートバイで空を飛び、林間学校の資金100万程度を使い込み、その弾劾説明会で沖縄旅行800万をぶち上げ、マグロ拾いなどで金を稼ぎ、マグロ漁船スレスレで最後に逆転ホームランをかまして沖縄に行ってしまう。彼の破天荒さに戸惑い、怒り、大笑いしてどこか期待してしまっていた自分は確実に過去の地層の一層を為しております。あのとき感じた感情は成長過程の一つだったということで、次に進んでいきたいと思います。今週もお疲れ様でした。粛々と社会に貢献していきましょう

Love me Love me
ツヨクヨワイ心

Kiss me Kiss me
アセル ヒトリノ夜

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?