昔、婚活をしていた時、ある人とデートした。会話も弾み、楽しいまま別れようとした時、相手が真面目な顔で、「ちょっと良い？」と言ってきた。そして今日の私のファッションで、ダメな点を指摘してきた。

【男】
「言おうか迷ったんだけど、、、デートに長靴は履いてこない方が良いよ。ヒールが苦手でも、リボンとかついたペッタンコの可愛い靴あるじゃん。ああいうのにした方が良いよ。楽かどうかより、男目線で考えてみて！」

私は言いにくいことを指摘してくれた彼に、礼を言って去った。しかし、心の中は穏やかでなく、モンモンとしながら、気が付いたら2駅歩いていた。

この長靴、お洒落だと思って履いたのにな・・・・

その日の私は、足元以外は、女子アナのような服装だった。薄いピンク色の清潔感があるワンピースに、適度に落ち着いたバッグ。これは合コンやデートがあると、制服のように着回していた鉄板コーデだった。

唯一違ったのが、指摘された長靴を履いていたことだ。あの頃の私にとって長靴は、お洒落ポイントになる特別なものだった。

なぜなら私は、晴れ女だったからだ。

外出の際に雨になることが極めて少なく、以前に買った長靴が履けないまま1年たっていた。履きたいな、履きたいな、、と思い続け、やっと雨が降ったのだ。

「ようやく履ける！今日のデートは良い事があるかも！」とさえ、思っていた。

友達にこの話をすると、「えっ、何その人！？偉そう！！長靴だって可愛いじゃん！！」と怒ってくれるのだが、、今思うと、あの長靴は、日本野鳥の会が作った山歩き用のものだった。

ガチな長靴。

あの人は、私が「婚活を成功させたい」と話したから、良かれとアドバイスしてくれたんだろう。（一応、あの後もデートに誘ってくれたので、縁を切るつもりはなかったと思う・・・）

雨に浮かれていた頃のお話でした。

ー　完　－