8.9 長崎原爆の日 被爆三世の想い

私の大好きな地、長崎。


父の故郷であり

心から尊敬し、愛している祖父母が住んだ街。



祖父母は、原爆が起因のがんで

去年の12月に祖父、

今年の4月に祖母が相次いで亡くなった。



「原爆が起因の病気ならしょうがない」

と、今まではそう思っていた。


けれど、

今年は長崎平和祈念式典を観ていて、

苦しくて仕方がなくてわんわん泣いた。

初めての感情だった。



…原爆さえなければ

2人とももっと長生きできていたのかな


そう気づいた瞬間、

2人を失った悲しさとともに

憎しみの感情が沸き上がってきたのだ。




2人が亡くなってから、

もっと被爆体験を聞いておけばよかった と

頭を過ったこともあったけれど

実際は


「あの日のことを教えて」



なんて聞けないんです。



家族としては辛いことを思い出させたくないし、

ふつうに会話をしている中で、

原爆の話題を出すことも容易じゃない。


特に祖母は原爆のことを考えたり思い出すと

その日は眠れないと言っていたから。


あの惨劇から奇跡的に助かって

生かされている今、

そんな苦しい思いはさせたくない。


生き残ったからには

幸せな思いしかして欲しくなかった。



少しでも思い出させたらかわいそうだよな。

でも後の世代に伝えなきゃいけないよな。

今、楽しそうにしているし、

いつか原爆の話題を

おばあちゃんのほうからしてきたら

その時に聞けばいいか…なんて思っていたら、

すべてを聞く前に亡くなってしまった。



今でも、

すべてを聞いておくべきだったのか?

私に被爆三世として後世に伝える活動などをしてほしかったのか?

祖父母の思いを聞いておけばよかった と

後悔の念を抱くこともあるけれど

どうすることが正解だったのか、

いまだにまったくわかっていない。


この答えは、一生でないような気もする。




去年の原爆投下時刻のときはちょうど、

祖父が入院先の病院から、

自宅にいる祖母に電話をかけているのを

私と両親が見守っているような

状態だったのだけど、



「..11時2分だ。

ああ、2人ともあの瞬間のことを

思い出さないで済んでよかったね」



と 心から感じて、

電話が終わってからも

私と両親とは原爆の日の話は一切せず

病院を後にしたのを、ふと思い出した。



原爆投下時刻に祈りをささげるべきなのかは、

人それぞれ。


ただ私はその時

二人とも思い出さなくてよかったね

と感じたのだ。

どこか不思議で、

どこか不謹慎なのもわかっている。


でも、

今が、73年前にちょうど原爆が落ちた時刻だ

なんて


居た場所とは反対側の壁まで

爆風で吹き飛ばされて気絶して

目が覚めたときに

なんか重いな...と思って自分の上に

乗っかっているものをどかしたら友人の死体で

辺りを見回すと生きているのは自分一人で

死者で埋め尽くされていたその光景が


リアルに、普段思い出す以上にリアルに、

脳裏によみがえるに決まっている。


もうそんな思いしなくていいよ。

こんな経験忘れられないんだから、

思い出して苦しむような時間を、

少しでも少なくしよう。

今年は2人で電話してたから

思い出すこともなかったね。よかったね。


家族としては、そんな思いだった。




戦争が良くない、核が良くない

だから

語り継がなきゃいけない、風化させてはいけない

それはもちろんその通りだと思う。


けれど、


被爆体験者に生の声を語らせるのは

想像以上に酷であるということ



だから私たち二世、三世が語り継ぎたくても

まず「話して欲しい」と伝えることすら厳しい

というのも、実情なんです。

本当に思い出させたくないんです。



家族の勝手な感情でもあるのだろうけど、

私たち家族では

明らかに避けていた話題であったから。




あと...

母が父と結婚するとき、自分の両親に

"相手が長崎の被爆二世なんだ"


と伝えることに勇気が必要だったそう。


このご時世、被爆二世、三世に対しての偏見はかなり少ないであろうが、

本人たちの中にはその事実はずっと残っていて、一生離れない事実で

被爆三世である私はひどく体調を崩すと

念のために甲状腺の検査を毎回しています。



戦争や原爆ってリアルじゃないし、

はるか昔のことのような気がするけれど


親世代や

私みたいな20代の若い世代でも

戦争や原爆の残した後遺症に苦しみながら

人生に大きく影響されていたりしていて、


「戦争って案外身近なんだよ」


ということを少し知ってほしいな、

と思います。



現在までに語り継ぐことが出来なかった分、

こういうこと思いは伝えていきたいと、

今回noteに書いてみました。


私の知り合いなどがこのnoteを読んで

少しでも身近に感じてくれたらいいなあと思っています。



#長崎  #原爆の日 #8月9日 #戦争


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